大洲を出て、内子にやってきました。
内子は、以前は内子線という盲腸線が、伊予大洲の隣の五郎という駅から通じているだけでした。
しかし、現在では予讃線の短絡線に組み込まれ、すべての特急列車が停車する駅に出世しています。
もともと木蠟と和紙で栄えた町で、古い町並みを保存してくるなど、観光地としての資質はあったため、現在では有名な観光地となっています。
まずは、その古い町並み、「八日市・護国の町並み」を歩きます。
すでに夕方近く、観光客もほとんどなく、静かな雰囲気です。
こちらは上芳我邸。木蠟資料館になっています。
本芳我家。屋根や建物上部の飾りに目が行きますが、窓の格子や扉、柵の細工もなかなかのものです。
雨戸の戸袋にもちょっとしたアクセントが。
単に古い町並みだけではなく、建物一つ一つの随所に凝った造りが見られ、昔の繁栄ぶりがしのばれる町並みでした。
続いて、内子座にやってきました。
ここは、内子が経済的に裕福だった時代に建てられ、その後老朽化のため取り壊されるところを復原され現在に至るとのことです。
単なる保存建物ではなく、月に数回の公演が行われる現役の劇場です。かつては故 十八代目中村勘三郎さんの襲名披露公演も行われたことがあります。当然ですが、公演があるときには見学はできません。
見学は、一階の升席、二回の桟敷席とかの客席だけではなく、
勘三郎さんも立った舞台や
奈落も見ることができます。
奈落は、ひんやりした空気が流れています。
そして、せりの上下は今でも人力です。
これだけ本格的な劇場の舞台裏を見学できる機会はないと思うので、貴重な体験ができました。
さて、これで本日の行程は終了、宿に向かいます。高知県の中村からの移動距離は約150㎞の強行軍でした。
本日の宿は内子の町からはすぐのところにある「オーベルジュ内子」です。
内子の町の南側にある小高い丘の上、龍王公園の中にある公共の宿です。やはり公共の宿の「オーベルジュ土佐山」と同じ高知オリエントホテルの系列になります。
龍王公園はフィットネスクラブ、野球場やスポーツ施設、マルシェ内子という売店等がある総合公園施設ですが、その駐車場の一角に、きれいに整備された植栽とデザイナー系の建物と明らかに異質な空間があります。そこが「オーベルジュ内子」でした。
敷地内にはいろいろな花が咲いていますが、この時期は紫系の花で統一されているようです。
中でも見事なのが、レストラン前の藤棚で、ちょうど満開でした。
ここも公共の宿なので、温泉は日帰り温泉で、レストランも外来客も利用できます。
客室は5室しかなく、すべて独立した離れとなっています。本館からは結構離れていて、100m位あるでしょうか、雨の日でなくてよかったです。
移動する道は宿泊客専用で、途中から内子の町を見晴らすことができます。
宿泊棟は打ちっぱなしのコンクリートとガラス張りの モダンな造りです。周囲にはシャガの花が一面に咲いています。
入口にも花が。部屋によって違う花が飾られています。
部屋の中はこんな感じ、内装は白木と和紙で構成されています。
ベッドは非常に大きく、ふつうのホテルならダブルとして使われそうなサイズが2基並んでいます。
リビングです。大きなガラスは開けることができます。網戸もついているので、無視の多い時期でも外の空気を入れることができます。
遠くに内山線の列車も見えます。
バスルームとテラスです。ここは障子はなく、ガラス張りのままです。代わりにすだれがついています。
お茶菓子は草餅と内子の町並みせんべいです。なお、冷蔵庫の飲み物はすべてフリーで水、お茶だけでなく缶ビールまで入っています。
この非日常感は素晴らしいです。これで公共の宿ですから、なんともすごい宿を作ったものです。
<その4に続く>