ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

カミハテ商店

2012-11-08 23:58:45 | か行

久々に珍しいタイプの映画。

なんていうんでしょうか
ガロっぽいというのか、つげ義春のような、というか。


「カミハテ商店」63点★★★


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山陰の小さな港町。

まるで地の果てのような
寂しいその場所は
その名も“上終(カミハテ)”という。

そこにただ一軒ある「カミハテ商店」では
初老の店主(高橋恵子)がひっそりと暮らしている。

そこを訪れる人々は
みな彼女の焼くコッペパンと牛乳を買い
崖のほうへと歩いて行くのだった――。

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かなり独特のリズムで、余白も多く
久々に出会うタイプの映画。

林海象プロデュース、で
ちょっと納得しました。

山陰の山奥、「上終(カミハテ)」を
訪れる自殺志願者らしき人々。

みなカミハテ商店のコッペパンと牛乳を最後に買い
どこかへと消えていく。

そして
翌朝、彼女は崖上に空き瓶と靴を回収にいく……て、
なんつうシュール!(苦笑)

限りなく億劫そうな高橋恵子氏も
なかなかド級のどんずまり感を醸し出している。

そして暗~いムードながら、
どこかにヘンなおかしみがあるんですねえ。

妙にフッと力が抜けるのは
アコーディオンとパーカッションによる
独特な音楽の効果もあるでしょうね。


正義も何も言わない。
ただそこで起こる物事を、静かに朗々と描いたことが、
いろいろ考えを巡らせ、深めさせます。

しかし
カミハテ商店もだけど
人々を“果て”まで運んでくるバスの運転手さんも
相当に「背負ってる」よなあと、ふと。


★11/10(土)からユーロスペースほか全国順次公開。

「カミハテ商店」公式サイト
コメント
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