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ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ファンタスティック Mr.FOX

2011-03-16 23:22:37 | は行
これは楽しい!
気分を変えるのに最適です。

「ファンタスティックMr.FOX」80点★★★★


「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の
ウェス・アンダーソン監督が

パペット(人形)を1コマ1コマ動かして作った
驚異の(!)ストップモーションアニメです。



野生のキツネMr.FOX(声、ジョージ・クルーニ)は
盗みのプロフェッショナル。

だがある日、彼は狩りの最中
愛するMrs.FOX(声、メリル・ストリープ)と
罠にはまってしまう。

絶対絶命のピンチのなか
Mrs.FOXは彼にこう言う。

「もし生き延びられたら
盗みをやめてほかの仕事を探して……」

――そして2年後(キツネ時間で12年後)。

Mr.FOXは新聞記者になり
Mrs.FOXと息子(声、ジェイソン・シュワルツマン)と
そこそこの暮らしをしていた。


だが
もうすぐ42歳(キツネ年)になる彼は
ふと思う。

「俺の人生、このままでいいのか?!」


かくしてMr.FOXは
再び危険な稼業に足を踏みれ始め――?!



これは最高にいかしたアニメーションだ!


とりあえずこの1シーンを見て
おもしろそう!と思ったら
間違いなく、見て大丈夫です(笑)




キザなキツネのMr.FOXと
しっかり者の妻、

優等生のいとこにコンプレックスを抱くヒネた息子、

パニックになると目をぐるぐるさせてしまう
ネズミの管理人……


個性的なキャラたちが繰り広げる
“ほのぼのシュール”な日常と冒険に
大笑いしちゃいました。


どこか昔のロシア人形アニメみたいな
古臭さがあるのに

テンポも笑いの呼吸も
めちゃくちゃクールで新しい。


キザなMr.FOXの声を
ジョージ・クルーニーが当てていてるのが
またピッタリで笑えます(笑)


原作は「チョコレート工場の秘密」の作者
ロアルド・ダールの「すばらしき父さん狐」。

監督は小学生のときにこの本を読んで魅せられ
構想から10年かけて
本作を作ったのだそう。


取材用にメイキング画像をちょっとだけ
見せてもらったんですが
まあ、職人たちの努力のものすごいこと。


パペットたちのミニサイズの世界に合わせ
洋服から小物から
何から何まですべて手作り。

スタッフたちは
監督の「こう撮って」という指令に
必死にくらいついていき

くしゃみ一発ですべてがおじゃん!な
素晴らしき世界を
完璧に構築していく。

本当に涙ものでした。

昨年のアカデミー賞2部門ノミネートも
当然でしょうこれは!という。


こんなときだからこそ
笑いも大切です。

ぜひ、楽しき世界に
没頭してください。


★3/19からシネスイッチ銀座ほかで公開。

「ファンタスティックMr.FOX」公式サイト


さてさて
『週刊朝日』(来週発売と思います)ツウの一見で
パペットアニメ「ニャッキ!」などでおなじみの
アニメーション・ディレクター
伊藤有壱さんにお話を伺いました。


「現場スタッフはおそらく
呪いの言葉を吐きながら作業したはず(笑)
と伊藤さんも言うほどの

驚愕のシーンの数々。

読めばおもしろさが100倍になること
請け合いです。

劇場用のパンフレットにも
聞き書きさせていただいた
ロングバージョンが載ってますので

どうぞお見逃しなく!
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トゥルー・グリット

2011-03-15 13:49:12 | た行
今日から映画ブログを再開します。

被災されたかたにも、それを見守るかたがたにも
少しずつでも
日常を取り戻して欲しいと願いつつ。

でも公開延期になった
作品も多いんだよね~。

まずは
アカデミー賞ノミネートでも話題になったこちらを。

「トゥルー・グリット」65点★★★


コーエン兄弟×スピルバーグ製作総指揮の西部劇です。


父の仇討ちを誓った
14歳の少女マティ(ヘイリー・スタインフェルド)は

犯人を追うため
トゥルー・グリット(=真の勇気)を持つという
保安官コグバーン(ジェフ・ブリッジス)に協力を依頼する。


大酒飲みで強面のコグバーンは
はじめはマティを子ども扱いして
取り合わないが

次第にその執念に動かされ
依頼を受ける。

チェイニーを追っていた
テキサスレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり
3人の旅が始まったが――?


元ネタは1968年に発表され
教科書にも載るようになった文学。

「勇気ある追跡」(69年)のタイトルで映画化され
ジョン・ウェインに
悲願のオスカーをもたらしたそうです。



「正しい裁きがなされないなら
自分がやるしかない」

困難に立ち向かう
少女の冒険とスピリットが
アメリカ人の琴線に触れまくったらしい。


確かにこの映画も
毅然と目的に向かって進む
少女マティのスッと伸びた姿勢が
とても気持ちいい。


まあ荒くれ物たちをやりこめるほど
口のへらないマセた少女でもあり(笑)

彼女と猛者たちのやりとりが
笑いを誘います。



真の勇気とは信念とはなにか、を描く
正統な映画……には間違いないのですが


セリフ回しがまどろっこしかったり
とにかく銃声が大きかったりと
逆に
超古典的“西部劇”なところが
自分にはあまり好みでなかった。


コーエン兄弟らしさも薄い。


クオリティは高いので
元ネタを知る世代や西部劇ファンには
違った楽しみ方があるかもしれません。


★3/18から全国で公開。

「トゥルー・グリット」公式サイト
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復興を願っています

2011-03-13 17:25:11 | は行

地震、本当にすごかったですね。


番長一家は無事です。
小太朗もだいぶ落ち着いてきました。


いま何をすればいいのか
模索中ですが

まずは
被災されたかた、動物たち、不安に心を痛めているかた

すべてのかたがたに
お見舞を

一刻も早い救済と復興を

そして
一日でも早く
笑顔が戻るよう祈りたいと思います。
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ランナウェイズ

2011-03-10 14:44:55 | ら行
YouTubeで昔の映像を見たら
ダコタ・ファニング(左)もクリステン・スチュワートも
本物にそっくりでした。



「ランナウェイズ」57点★★☆


1976年に
♪チ・チ・チ・チ…チェリーボム!という曲を
大ヒットさせた
元祖ガールズバンド“ランナウェイズ”の

結成から解散までを描いた作品です。



1975年、ロサンゼルス。

ジョーン・ジェット(クリステン・スチュワート)は
ロックをやりたくてたまらない15歳。

しかし
学校でもギター教室でも
「ロックは男のもの」取り合ってもらえない。


あるとき彼女は
有名プロデューサーと出会い
デビューのチャンスを掴む。

さらにルックス担当の
シェリー・カーリー(ダコタ・ファニング)をスカウトし
ガールズバンドを結成。

たどたどしい練習のなか
即興で作った
チェリー・ボムが大ヒットし――?


う~ん
若さとピチピチ感は伝わるんだけど

ドラマにインパクトがなく
いまひとつピンとこなかった。


バンド結成の裏側も
セックス&ドラッグの日々も
まあまあ派手に見せてくれるんですが

起こる問題が結局、メンバー間の嫉妬とか
方向性の違いとか
フツーなんだもん(笑)。


もともと
シェリー・カーリーの自伝本が原作だそうで

ショービズ界の渦に巻き込まれる
少女らの幼なさを
そのままなぞったような感じ。

まあ実際にバンド創成や
ブレークのきっかけなんて
こんなふうにテキトーと偶発なのかもしれませんが。

ただ
「女の子がバンドをやる」なんて
数年遅れの我々世代では当たり前のことが

当時、こんなに大変だったんだ
というのには驚いた。

彼女たちの功績は確かに
後の世代に継がれたのかもしれません。


ボーカルの足腰たたなさを
小鹿のようなダコタ・ファニングが
演じたのはピッタリで

「トワイライト」のクリステン・ステュワートも
達者な歌で驚かせてくれました。


でも一番、インパクトがあったのは
レズっけも満々な彼女らが
ファラ・フォーセットを
オカズにするシーン。

ふうん。こういう女性がねえ・・・(笑)

★3/12からシネクイントほかで公開。

「ランナウェイズ」公式サイト

おなじみ『週刊朝日』の最新号(3/12変則発売)
ツウの一見で
フォトグラファーの畔柳ユキさんに
お話を聞いてます。

学校の机に乗っかって
「チ・チ・チ・チ・・・♪」をやったというユキさん(笑)
後に来日したジョーン・ジェットの
撮影もしたそう。

貴重なお話が満載です。
ぜひご一読を~
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塔の上のラプンツェル

2011-03-09 19:01:05 | た行
ディズニーシーの
新アトラクションとして
建設される予感がします。


映画「塔の上のラプンツェル」70点★★★


ある王国の王女として生まれた
ラプンツェル(声・中川翔子)。

しかし彼女は赤ん坊のころ
ある理由で
悪い魔女にさらわれ

以来ずっと
深い森のなかの
高い塔で暮らしていた。

長い金髪の美しい少女に成長した
ラプンツェルは

外の世界を見たいと願う。

そんなある日
塔をよじ登り、やってきた人物がいて……?


しょこたんの吹き替えが聞きたかったので
3D版を選択。

落ち着いた声で表情も豊かで
とても上手でした。


しかも本人がラプンツェルのキャラに
異様にかぶっているのがウケる。

絵が上手で、歌がうまくて、可愛らしくて
母親(この場合は悪い魔女なんだけどさ)と
異常に深い密着度で育った女の子って……(笑)


でもねー
歌を歌ってる人は違う人なんですよ。
ちょっとがっかり。

かなりミュージカル調の映画で
登場人物たち歌ってばっかりだから

それなら歌は
地の歌で聞きたかったな~と。


まあそれはそれとして。

勇気あり笑いあり、そして乙女心をくすぐりまくる
王道ディズニーファンタジーなのは間違いなし。

特に3Dの意味あり、と思ったのは
ラプンツェルの波打つ金髪。

束の質感などがスーパーリアルで
めちゃ美しく驚きました。


ラベンダー色のドレスといい
久々にカワイイお姫様キャラなので

いま小学生だったら
確実、グッズ集めに走ってるだろうな……。


濁流に呑まれるアドベンチャーシーンや
ロマンチックな夜景シーンもあり

これは間違いなくTDSの
新アトラクションになるでしょう。

★3/12から全国で公開。

「塔の上のラプンツェル」公式サイト
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