ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

シンデレラ

2015-04-20 23:21:11 | さ行

正統派が、なーんか気持ちいいんだよね。


「シンデレラ」70点★★★★


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貿易商の父と、美しい母の間に生まれたエラ(リリー・ジェームズ)は
幸せな子ども時代を送っていた。

しかし、母が病気で亡くなり
父は継母(ケイト・ブランシェット)を迎える。

連れ子の二人の娘を連れてやってきた継母は
エラに冷たく
あげく使用人のようにこき使う。

そんなときエラは森で
一人の青年に出会うのだが――?!


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ケネス・ブラナー監督作。

フランス人形のようにきれいな娘さんと
ドレスに見とれる実写ディズニー映画。


おとぎ話の行間を丁寧に埋め、
状況を改めて納得させるような作りと

意地悪な継母にケイト・ブランシェット
魔法使いにヘレナ・ボナム=カーターと
サブキャラに重点を置く配役で

意外に(?)年かさが見ても楽しめるつうのが
すごい。

実際、評価高いんですよね。

ワシですら
このフワッフワのブルーのドレスには
年甲斐もなくときめいたもん(笑)


ヘレナ・ボナム=カーターがかける魔法で、
カボチャが馬車に変身したりするシーンも
おもしろいし

3歳児でも、小学生でも
お嬢さん連れていったら絶対に親株上昇だと思う。

結局これって
「アナ雪」の魔法シーンの気持ちよさに通じる
陶酔のツボかもしれませんね。

同時上映で「アナ雪」の短編もあるそうです。
(そちらは見ていないのだった

★4/25(土)から全国で公開。

「シンデレラ」公式サイト
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インヒアレント・ヴァイス

2015-04-17 22:57:20 | あ行

意外に?(なんて失礼な!笑)おもしろかった。


「インヒアレント・ヴァイス」70点★★★★


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1970年代のロサンゼルス。

ヒッピーで私立探偵の
ドック(ホアキン・フェニックス)の前に
突然、元カノのシャスタ(キャサリン・ウォーターストン)が現れる。

シャスタは不動産業界の大物と付き合っており
トラブルに巻き込まれ、ドックに助けを求めてきたのだ。

いまだに忘れられない元カノのために
調査を始めたドックは

けっこう根深い問題に首を突っ込むことになり――?!


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「ブギーナイツ」「マグノリア」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
そして「ザ・マスター」の
ポール・トーマス・アンダーソン監督が
トマス・ピンチョンの原作を映画化。

――って、かなーり
クセモノ感漂っていますが(苦笑)

決してセンスやムード、理屈先行でなく
ちゃんと話が形になっている。……というと失礼だけど

話が破綻したり、幻覚だったり、過剰にバイオレンスだったり
観客置いてけぼりだったり、とかがなく
「ああ、そこが繋がってたのか!」と
ちゃんと“探偵話”として展開し、オチに進んでいくのがいい。

でも余韻として残るのは
心地よいヒッピー&グルーヴィな
70年代ロサンゼルスの脱力の風で。

なんていうんだろう
「そんなにがんばらなくていいじゃん?」と
リラーックスしていながら、

でも意外とね、仕事はしてまっせ、みたいな?(笑)
それ理想だよねー、という。

セリフとシチュエーションが生み出す
クスッと笑いとともに
肩の力抜きたくなりました。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ザ・マスター」に
今ひとつ乗れなかった人にも
(あんま、いないか。笑)

これはいいかも。


★4/18(土)から全国で公開。

「インヒアレント・ヴァイス」公式サイト
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海にかかる霧

2015-04-16 23:41:20 | あ行

ポン・ジュノ氏がプロデュース。


「海にかかる霧」68点★★★☆


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1998年、韓国の港町。

不況と不漁で金策に困り果てた
チョンジン号の船長(キム・ユンソク)に

中国からの密航者を
漁船に隠して運ぶ仕事が持ちかけられる。

危険を覚悟で仕事を引き受けた
船長と5人の船員たちだったが

船の上では思いがけない自体が待ち受けていた――!


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久々の韓国発、サスペンス。


「殺人の追憶」脚本家シム・ソンボの初監督作で
ポン・ジュノ監督がプロデュースです。

荒海の上の船で起こる事件
舞台は満点だし

いろいろ展開を想像いたしました。


で、まさか最初
船に乗り込んできた密航者たちがこうなるとは思わなくて
「えっ」となったけど、

後は例えば
「男だらけの船上に、女性が放り込まれれば
まずこうなるわな」というような

いずれの想定も予想を出ないもので
エグさもキツさもある程度、コントロールされていてホッとする反面、
衝撃度があまりないのが惜しかったな。
勝手なこと言ってますが(苦笑)。

ただ、
この話、2001年に実際に起こった事件がもとになっているそうで

それを知ると
ちょっとゾッといたします。


★4/17(金)からTOHOシネマズ新宿ほか全国で公開。

「海にかかる霧」公式サイト
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グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~

2015-04-15 23:37:04 | か行

自分が生まれてから
起こっていた出来事。

まだまだ知らないことばかりだと、痛感する日々。


「グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~」69点★★★★


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1983年、激しい内戦に揺れる
アフリカ、スーダン南部。

ある村が襲撃され、全員が皆殺しになるなか
辛くも生き残った姉弟たちがいた。

まだ幼い彼らは苛酷な旅を経て、別れ別れになりながらも
難民キャンプにたどり着く。

13年後。

難民キャンプで育った姉弟のひとりマメール(アーノルド・オーチェン)に
アメリカ移住というチャンスが舞い込むが――?!


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1999年から2002年の間にアメリカが行った
実際のプログラムに基づく話。

スーダンの内戦で故郷を失った子どもたちを
アメリカに移住させるもので

そんなプログラムがあり
2011年の3.11を境に機能することが難しくなった、ということなど
初めて知りました。


本当に映画でいろいろ知らないことを学んでおります。


主演のリース・ウィザースプーンが
出てくるのが中盤くらいなので

それまでの前半、
水もなく、食糧もなく、徒歩で逃げるしかない姉弟たちの
苛酷な道中が
想像以上に辛くて胸が苦しくなりもします。

そして
彼らが晴れてアメリカに渡ってからは
カルチャーギャップにあたふたする描写なども描かれて、
少しホッとする。

ただ
前半の厳しさ、辛さを補うだけの高揚が
後半に完全にないのが“映画”としては惜しかったかなーと思います。


それだって
誰かの苦境を知ることと、それ助ける人々がいること、
それを
知ることの意味は変わりなく大きいわけで。


学ぶこと多い作品だと思います。


★4/17(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。

「グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~」公式サイト
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デュラン・デュラン:アンステージド

2015-04-14 23:45:30 | た行

いや~、デュラン・デュランって
いいじゃん?(笑)

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「デュラン・デュラン:アンステージド」69点★★★★


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デヴィッド・リンチ監督による
デュラン・デュランのライブの映像。

2011年にネット配信されたものだそうです。


ほぼ全編、モノクロのステージ映像に、
リンチらしいイメージ映像を二重写ししてて、

そのイメージ映像がまたギザギザと、ノイジーで
高速道路のネオンや、自転車のスポークなど
学生ビデオなみに、けっこうチープ(笑)

なんだけど、やっぱ“世界”がある・・・のかな。
(よくわかんないけど。笑)

「お、これはリンチ味」というカットもあるんですけどね。


まあ主役はアーティストだし。

久々に見るサイモン・ル・ボン、かなりぷっくりしてるけど
歌声は変わらず張りがあり、けっこうハマります。

デュラン・デュランってあまりマジメに聴いてなかったけど、
あ、いい曲じゃん!とか
そりゃ007だよな!とか
延々ライブ映像でも、けっこう知ってる曲で飽きなかった。

ただ
舞台裏の素顔とか
もそっと見せてもらえればなーとは思いました。

ま、とりあえず
帰ってさっそくポチりました。

「オーディナリー・ワールド」いいよね!


★4/17(金)から全国で公開。

「デュラン・デュラン:アンステージド」公式サイト
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