僕が大学1回生の時。当時は大阪駅前・第四ビルの地下1階にあった「ニノミヤムセン」のビデオ&カセットテープのコーナーでアルバイトをしていました。このニノミヤの店長と反りが合わず、辞めようかなと考えている時、「マグナックス」の営業の人が、僕にアルバイトを持ちかけて来ました。
マグナックス・・知らない人がほとんどだと思いますが、フジやマクセル、TDKと同じように、ビデオ&カセットテープのメーカーです。アメリカ合衆国のエレクトロニクス会社アンペックスと、小西六写真工業(現:コニカミノルタ)が合弁で小西六アンペックスを設立したことがあり、ここがオーディオ用カセットテープ、ビデオテープを、マグナックス(Magnax)というブランドで製造販売しました。
そのマグナックスがビデオ&カセットテープを、阪急ファイブの2階のレコード屋「大月5」の一角で、次週のファイブバーゲンで販売する。それを引き受けて欲しいとの依頼だったのです。ド短期3日のバーゲン期間のバイト!
いや、驚きました。今では想像もつかない人手でした。物凄い数の人で一杯になるので、お店からトイレまでの数メートルを歩くのに10分!それくらいぎっしりの人で、あれは間違いなく消防法違反!現在では起こりえない事態でした。ファイブ(鉄筋コンクリートのビル)の床が抜けないかと、怖かったくらいでした。
当日、営業の人が、「〇〇君頼むな。売れても売れなくてもいいから店番をお願いな。もし売れたら、売上金の1割をボーナスで給料にプラスするから」と言い、ダンボール箱に入ったテープを、カセットレーベルなどの販促品と共に置いて去って行きました。バーゲンなので5割引きで売っても良いとのこと。
初日3時間経過で売上ゼロ!人気の無い商品なのは、二ノミヤで知っているものの、これだけ売れないと暇で仕方が無い。これを何とか売れないものか・・・と考え、あるアイデアを思い付きました。そして、実行!
僕は全商品を完売しました。初日完売!2日は更に沢山運び入れた商品を完売。最終日は更に増えた商品を完売したのです。
これにはからくりがあって、全部を5割引きにせず、全体で5割になるように、時間帯を分けて、「さ~今から30分だけ!ビデオ10本買えば6割引き!」というように叩き売り、通常時間は3割引きとか、電卓を片手に在庫と売れた数を管理しながら販売展開をしたのです。割引の少ない時間帯は販促品を付け、割引の大きい時間は付録なし!
売れるハズの無いマグナックスのビデオ&カセットが、安さに目がくらんだ、洋服のバーゲン会場に来ている女の子、つまりオーディオの知識の無い女の子に「はまった」のです!この場所、この時だから成功した、僕のアイデアと販売トークが大成功を呼びました!隣のTDKやソニー、マクセルが売れないのに、マグナックスが完売!(笑)
男子は色や音の良いメーカー、自分のこだわりがありますが、女の子は録音・録画がきちんと出来れば問題なしなので、そこを突きました。「お父さんにバレンタインのプレゼント用に!」なんてことも言いました。
これを見ていた大月5(レコード屋)の店長が、僕をスカウト。翌週から僕は、このレコード屋の洋楽コーナー担当になりました。商売って面白いと思いました。10%のボーナスを含めたアルバイト代は、3日でニノミヤムセン2週間分以上の金額になりました。(笑)
写真、ファイブ2階の見取り図にある、お店の名前、女の子なら懐かしいのでは?