青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

サイモンとガーファンクル ~“OLD FRIENDS LIVE” TOKYO DOME 2009

2009-07-13 | 素晴らしかった興行・イベント

日本のドーム公演最高齢記録となる67歳のポール・サイモンとアート・ガーファンクル。2人のハーモニーは色あせてはいなかった。11日土曜日の東京ドーム。「懐かしいな~」と歌を聴いているうちに、自然と中学~高校の頃を思い出してしまい、気が付いたら涙が流れていました。

6月13日からオーストラリア~ニュージーランドを回り、来日したサイモン&ガーファンクル。今回の来日公演は、今年2月13日にニューヨーク・ビーコン劇場で行われたサイモンのステージに、ガーファンクルの飛び入り参加したのがきっかけ。「サウンド・オブ・サイレンス」「ボクサー」などS&G時代の名曲を2人で披露。あまりの反響の高さに再結成を決意し、ワールドツアーが決定した。サイモンは「(全米のみだった)2003年のツアーでは日本や豪州、ニュージーランドに行く約束が果たせなかった。S&G名義の(来日)ツアーはこれが最後になると思う」とコメントを寄せていた。

81年のセントラルパーク・コンサートの時のように、2人は声が出るのだろうか?それが心配だった。でも、例え声が擦れようと、息が続かなくても、最後になるだろうコンサートはどうしても観ておきたかった。しかしそんな心配は全くの危惧に終わった。1960年代の数々の名曲を歌い、往年の美しいハーモニーをドームに響かせたのだ!それどころか、歳を重ねた2人のハーモニーはいぶし銀のような、枯れた味わいまで漂わせていた。僕にとっては、これまでに観た2人の最高のステージだった。

平均年齢が僕より高いであろうファン層で満員になった東京ドーム。開演前はグッズ売り場も満員。この日は土曜日でもあり、17時開演。予定より約15分遅れだった。

ステージ横のスクリーンに、伝説の番組"Song of America"のシーンが映され「アメリカ」のインストゥルメントが流れ、サイモン&ガーファンクルの2人が舞台に登場。ポール・サイモンのギター1本でアルペジオを奏で、「旧友~ブックエンドのテーマ」を静かに歌い始めた。この曲は2人の老人が、流れ去る時代のなかで公園のベンチにじっと座っているという内容で、この中で「70歳になるなんて奇妙なこと。公園のベンチに座っている自分を想像できるかい?」という印象的な歌詞だ。今回の来日が決定した時、僕が1番聴きたかった曲だ。それを2人だけで1本のギターで歌うオープニング。素晴らしい幕開けだった!

そこからは、本当に豪華なバックバンドと共に、名曲のオンパレード。どの曲を聴いても、その曲をよく聴いていた昔のことが思い出されました。でも自分でも気がつかなかったのですが、少しづつ1曲づつ確実に、僕は思いもしなかった空間に誘われて行ったのです。英語で歌う彼らの1曲1曲の意味が、全て日本語で考えることなしに、英語で意味が分かりました。歌詞が心に直接語りかけて来るのが理解出来たのです。こんな経験は初めてでした。

途中アート・ガーファンクルが「あの・・あの・・」と日本語を話し、そこで途切れて笑いを取ったり、「11才でふたりが出会い(日本語で)“ジュウイッサイ!”15才で活動を始めた“ジュウゴサイ!”」とMCを披露すれば、ポール・サイモンは「この曲は2人で演りたかったけど、当時は距離をおいていた。その曲を今夜はふたりで演ります。」といって“スリップ・スライディン・アウェイ”を演奏するなど、2人の歴史を感じるシーンもありました。途中、アート・ガーファンクルがソロで歌いあげた「ブライト・アイズ」は、6月に急逝したマイケル・ジャクソン追悼にと、名古屋ではコメントをしていたと聞きました。

感動の頂点は「明日に架ける橋」。1番をアート、2番をポールがソロで歌い、そして3番を2人で歌う。2人それぞれの素晴らしいソロと、美しいデュエット、そして曲のクライマックスでのガーファンクルの絶唱を聴いていると、感動で不覚にも涙がこぼれて来ました。こんな経験は今までにしたことがありませんでした。歌詞の一言一句が心に伝わって来るのです。エンターティメントというより、アートだったと言いたいコンサートでした。

ちょっと珍しかったのは、曲の途中で席を立つ人達が多かったこと。これはお手洗いでしょう。しかし、17時スタートのコンサートなのに、2度に渡るアンコールを大拍手で迎えようとしている最中に席を立つ人がとても多かったこと。これはもったいないと思いました。

高齢を感じさせない2人が、「サウンド・オブ・サイレンス」「ボクサー」など全25曲を熱唱して、割れんばかりの拍子が鳴り止まなかったステージ。名曲たちは、これからも我々の心に生き続けます。ライブCDやDVDには収録されていない、「コンドルは飛んで行く」も最高でした。

少し残念だったのは、「僕のコダクローム」が演奏されなかったこと。先月6月22日、米写真用品大手イーストマン・コダックは、1935年に世界初の市販カラーフィルムとして発売され、以後世界中で愛用され続けてきた「コダクローム」の製造打ち切りを発表しました。デジタルカメラの普及による決断ですが、ファンからは鮮やかな色彩で数々の印象的な作品を生み出してきた名フィルムの退場を惜しむ声が上がっています。コダクロームは、一般的なネガフィルムとは逆に、現像したフィルムに画像が実物通りに再現される「リバーサルフィルム」で、伸びやかな色彩の再現性には定評があり、プロカメラマンを中心に絶大な支持を誇って来ました。歌手ポール・サイモンの曲(邦題は「僕のコダクローム」)になり、「コダクロームは夏の緑を再現してくれる」と歌われました。

ちなみに日本のドーム公演で史上最年長ライブ記録保持者は、ローリング・ストーンズのドラム、チャーリー・ワッツ(67)。06年3月の東京ドーム公演当時65歳だった。今回の2人はそれを2歳上回る。ちなみに邦楽アーティストでは、昨年11~12月にドームツアーを行った小田和正の61歳。

ドームからの帰り道に笑えたのは、特製メニューでお客さんを呼ぼうとするお店もあれば、「店内では、サイモン&ガーファンクルの曲を流していま~す」というお店もあったこと。クスっと笑えました。

SET LIST July 11, Tokyo Dome

旧友~ブックエンドのテーマ/Old Friends ~ Bookends Theme
冬の散歩道/Hazy Shade of Winter
アイ・アム・ア・ロック/I Am a Rock
アメリカ/America
キャシーの歌/Kathy's Song
ヘイ・スクールガール/Hey Schoolgirl
ビーバッパ・ルーラ/Be Bop A Lula
スカボロー・フェア/Scarborough Fair
早く家へ帰りたい/Homeward Bound
ミセス・ロビンソン/Mrs Robinson (includes Not Fade Away)
スリップ・スライディン・アウェイ/Slip Slidin' Away
コンドルは飛んで行く/El Condor Pasa
- - - Art Garfunkel solo - - -
ブライト・アイズ/Bright Eyes
ハート・イン・ニューヨーク/A Heart in New York
パーフェクト・モーメント~ナウ・アイ・レイ・ミー・ダウン・トゥ・スリープ/Perfect Moment ~ Now I Lay Me Down to Sleep
- - - Paul Simon solo - - -
ボーイ・イン・ザ・バブル/Boy in the Bubble
グレイスランド/Graceland
時の流れに/Still Crazy After All These Years
- - - - - - - - - - - - - - -
ニューヨークの少年/Only Living Boy in New York
マイ・リトル・タウン/My Little Town
明日に架ける橋/Bridge Over Troubled Water
- - - - - encore 1 - - - - -
サウンド・オブ・サイレンス/Sound of Silence
ボクサー/The Boxer
- - - - - encore 2 - - - - -
木の葉は緑/Leaves That Are Green
いとしのセシリア/Cecilia
バンドメンバー紹介~いとしのセシリア/Cecillia

 


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