バレンタイン・デー、昔はともかく年老いた今でも、チョコレートを頂けるのはとても嬉しいものです。ありがとうございます。
バレンタイン・デーで思い出したのが、2009年2月6日と12日のジェフ・ベック来日コンサート。当時のベックは相変わらず気まぐれ。64歳にもなれば、もう少し丸くなれよと思いました。12日のコンサートでは、弾き始めたフレーズを突然やめたり、演奏で入るべきところに、入らなかったり。また間の悪いことに機材が不調で、ギター音に「ジーッ」というノイズが出た!演奏中にも関わらず、スタッフが復旧を試みるものの、ノイズが消えない為に、「機材が治ったらまた・・・」と言って観客に向って合掌して、途中で引っ込んでしまいました。
でも、見せ場はありました。「Behind the Veil」の後、「機材の調子が悪くてすみません」と謝り、復旧作業を眺めている不機嫌なベックを見て、ドラムのヴィニー・カリウタが突然ビートを刻み出したのです。そして、ベースのタル嬢が即座にそれに呼応し、即興セッションがスタート。すると、それを見たベックが、タル嬢の左に立ってネック側から腕を伸ばしてベースの低音弦を弾き始めた。するとタル嬢はハイポジションでソロを取る。分かり易く言えば、1本のギターを二人で演奏、つまり二人羽織奏法を披露したのです。これはサプライズでした。
タル嬢というのは、あの時の来日メンバーで特筆すべき、紅一点の若干23歳のベーシスト、タル・ウィルケンフェルドのこと。150数センチのその愛くるしい佇まいから想像出来ない的確なテクニックと、しなやかなリズム。さすがチック・コリアやオールマン・ブラザーズ・バンドと共演しただけあって、来日前から彼女目当ての観客が多かった。
ジェフ・ベックの3年半ぶりのジャパン・ツアー初日6日の公演は満員御礼ソールドアウト!5,000人の観衆。会場に訪れていたファンのほとんどが、チョイ悪親父風の50~60代。しかしこんなに雰囲気の良いROCKの会場も近年にない感じでした。後半に掛けて徐々にノってきたのが手に取るように分かったコンサートでした。
来日メンバーは4人。Jeff Beck(g)、Tal Wilkenfeld(b)、David Sancious(key)、Vinnie Colaiuta(dr) 。笑ってしまったのは、照明が落ちた途端に客席からベック・コールではなく、タルちゃんコールが起きたことでした。みんなが注目していたのは分かりますが、すっかり人気者になっていました。
オープニングは定番となっていたジミー・ペイジ作の「Beck's Bolero」。まさにベックの音としか言いようのないギターの音色。ピックをほとんど使わない演奏に加え、アームとスライドを多用して演奏する。このあたりの演奏はクラプトンとは趣が違います。昔懐かしい『Blow By Blow』や『ワイアード』からの選曲が懐かしい。
MCは一切無く、次から次へと演奏が続いて行き、「Cause We've Ended as Lovers」あたりから会場も盛り上がって行く。MCが無かったと言うより、ベックが喋ったのはアンコール前のラストで、メンバー紹介をした時だけでした。あ、最後の最後に「THANK YOU」とも言いました。(笑)ショーは約1時間30分、観客を魅了しました。
2009年2月6日@東京国際フォーラムホールA セットリスト
1. Beck's Bolero
2. The Pump
3. Eternity's Breath
4. You Never Know
5. Cause We've Ended as Lovers
6. Behind the Veil
7. Blast from the East
8. Stratus
9. Angel
10. Led Boots
11. Nadia
12. Snake Oil
13. Goodbye Pork Pie Hat / Brush with the Blues
14. Blue Wind
15. A Day in the Life
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16. Where Were You
17. Big Block
18. Scottish One