安倍首相は、24日の通常国会の冒頭、施政方針演説を行った。
翌25日、新聞(朝日)にそのフルテキストが掲載されたので、隅々まで丁寧に読んでみた。
結果わかったのは、首相は、現在、国民がどのような問題に直面し、どの程度困っているかについてはトンと関心がなく、むしろ、自らの右翼的心情に基づいて、この国をその方向へ大きく変えたいと熱望しているらしいことだ。
つまり、震災復興の現状ですら「福島では浮体式洋上発電が稼働し、宮城では大規模イチゴ栽培が始まった。瓦礫の処理がおわり、災害復興住宅の高台移転や作付を再開した水田、水揚げにわく漁港、家族の笑顔であふれる公営住宅」などと描きだす。
また、景気の現状についても、「3本の矢によって、長く続いたデフレで失われた自信を回復した。4四半期連続してのプラス成長でGDP500兆円の回復も視野に入る」と述べ、地方も含め消費が拡大し(景気回復の)裾野は広がっていると言う。
さてさて、庶民の暮らしの実感からして、こんなに楽観的な現状認識で良いのだろうか。ちなみに、安倍政権が発足して1年になるが、この間、企業の内部留保は5兆円も増えたが、勤労者の賃金は、97年以来減り続けているのだ。
非正規雇用者は、2,000万人を越えて40%近くにのぼり、これが企業の潜在力の低下や、貧困化による犯罪の増加につながっている現状など一顧だにされない。
一方、少子高齢化の進展がどれほど深刻になっているのか、また、生活保護費の減額や認定の厳格化に象徴される福祉や医療・介護サービスの後退、円安によるコストアップや消費税増税を含む各種負担増による生活不安が広く社会を覆っている現状などにも目をつぶる。
一方、「牛を肥やす」として復興特別法人税の1年前倒し廃止や、さらなる企業減税の検討、キャリアアップ助成など、企業の業績向上には、種々の手厚い対策を施すとする。
加えて、
・TPPは大きなチャンス、国家百年の計。
・人材育成のための教育改革。教科書の改訂と教育委員会の見直し
・エネルギー戦略の見直しと原発再稼働
・日米同盟の強化と沖縄辺野古への基地移転
・積極的平和主義の名による国家安全保障戦略と集団的自衛権の容認
など、戦後68年かけて培って来た「平和国家日本」の在りようを根本的に変えたいとの意向を強く反映した施政方針になっている。
一方、自らの「靖国参拝」がもらたした日中、日韓関係のさらなら悪化や、国民の反発が強い「特定秘密情報保護法」については、一言も語らない。それどころか、米国と肩を並べて戦争できる国へ造りかえるための「集団的自衛権」の容認に向け、検討を始めるとする。
こうして見て来ると、国民の暮らしや安全は二の次、自らの右翼的心情で国を造りかえるに熱心な施政方針との印象であった。
翌25日、新聞(朝日)にそのフルテキストが掲載されたので、隅々まで丁寧に読んでみた。
結果わかったのは、首相は、現在、国民がどのような問題に直面し、どの程度困っているかについてはトンと関心がなく、むしろ、自らの右翼的心情に基づいて、この国をその方向へ大きく変えたいと熱望しているらしいことだ。
つまり、震災復興の現状ですら「福島では浮体式洋上発電が稼働し、宮城では大規模イチゴ栽培が始まった。瓦礫の処理がおわり、災害復興住宅の高台移転や作付を再開した水田、水揚げにわく漁港、家族の笑顔であふれる公営住宅」などと描きだす。
また、景気の現状についても、「3本の矢によって、長く続いたデフレで失われた自信を回復した。4四半期連続してのプラス成長でGDP500兆円の回復も視野に入る」と述べ、地方も含め消費が拡大し(景気回復の)裾野は広がっていると言う。
さてさて、庶民の暮らしの実感からして、こんなに楽観的な現状認識で良いのだろうか。ちなみに、安倍政権が発足して1年になるが、この間、企業の内部留保は5兆円も増えたが、勤労者の賃金は、97年以来減り続けているのだ。
非正規雇用者は、2,000万人を越えて40%近くにのぼり、これが企業の潜在力の低下や、貧困化による犯罪の増加につながっている現状など一顧だにされない。
一方、少子高齢化の進展がどれほど深刻になっているのか、また、生活保護費の減額や認定の厳格化に象徴される福祉や医療・介護サービスの後退、円安によるコストアップや消費税増税を含む各種負担増による生活不安が広く社会を覆っている現状などにも目をつぶる。
一方、「牛を肥やす」として復興特別法人税の1年前倒し廃止や、さらなる企業減税の検討、キャリアアップ助成など、企業の業績向上には、種々の手厚い対策を施すとする。
加えて、
・TPPは大きなチャンス、国家百年の計。
・人材育成のための教育改革。教科書の改訂と教育委員会の見直し
・エネルギー戦略の見直しと原発再稼働
・日米同盟の強化と沖縄辺野古への基地移転
・積極的平和主義の名による国家安全保障戦略と集団的自衛権の容認
など、戦後68年かけて培って来た「平和国家日本」の在りようを根本的に変えたいとの意向を強く反映した施政方針になっている。
一方、自らの「靖国参拝」がもらたした日中、日韓関係のさらなら悪化や、国民の反発が強い「特定秘密情報保護法」については、一言も語らない。それどころか、米国と肩を並べて戦争できる国へ造りかえるための「集団的自衛権」の容認に向け、検討を始めるとする。
こうして見て来ると、国民の暮らしや安全は二の次、自らの右翼的心情で国を造りかえるに熱心な施政方針との印象であった。