芥川賞作家の吉田修一氏は、たしかに有能な才能の持ち主だと思う。
先に読んだ「悪人」や「路(ルー)」など、特に、現代の若者を取り巻く環境やかれらへのシンパシーなどに共感するものがあるのだが、他方、才能にまかせて、あれこれ書き散らす傾向もあるようだ。

この物語もそのひとつで、人生、種々の困難に遭遇しながらも、それらと闘って成長する人間には共感を覚えるが、この小説のように、どんどん壊れて行ってしまう人生を読むのは辛い。
現実は、あるいは、その方に近いのだろうが、どんどん壊れて行く人生に、読者はどう寄り添えば良いのであろうか。
また、小説の技工に酔ったような造りになっているのもどうかと思った。
この本のキャッチが、「本当に騙したのは、妻か夫か? やがて、読者も騙される」というのだから驚く。
蛇足:第150回直木賞は、朝井まかてさんの「恋歌(れんか)」(講談社)と、姫野カオルコさんの「昭和の犬」(幻冬舎)の受賞が決まった。芥川賞は、小山田浩子さんの「穴」(新潮9月号)が受賞した由。
先に読んだ「悪人」や「路(ルー)」など、特に、現代の若者を取り巻く環境やかれらへのシンパシーなどに共感するものがあるのだが、他方、才能にまかせて、あれこれ書き散らす傾向もあるようだ。

この物語もそのひとつで、人生、種々の困難に遭遇しながらも、それらと闘って成長する人間には共感を覚えるが、この小説のように、どんどん壊れて行ってしまう人生を読むのは辛い。
現実は、あるいは、その方に近いのだろうが、どんどん壊れて行く人生に、読者はどう寄り添えば良いのであろうか。
また、小説の技工に酔ったような造りになっているのもどうかと思った。
この本のキャッチが、「本当に騙したのは、妻か夫か? やがて、読者も騙される」というのだから驚く。
蛇足:第150回直木賞は、朝井まかてさんの「恋歌(れんか)」(講談社)と、姫野カオルコさんの「昭和の犬」(幻冬舎)の受賞が決まった。芥川賞は、小山田浩子さんの「穴」(新潮9月号)が受賞した由。