「恋歌」で第150回直木賞を受賞した朝井まかてさんの最新作。
14年1月~15年6月「小説現代」に掲載された連作短編9編を収容、320頁。
物語~小児科医の天野三哲は、何につけ「めんどくせぇ~」とサボってばかりいる藪で風采のあがらない町医者。娘の「おゆん」や医師見習いの「次郎助」、産婆の「亀婆さん」、薬種商の「佐吉」など、人情味豊かな人々に支えられて何とか「ふらここ堂」を営んでいるのだが・・・。
とても面白く読んだが、やはり「まかて」さんは、長編が似合う作家だと思った。例えて言うなら、小さなおにぎりをいくつか食べるよりも、赤飯を大きく握ったような豪快なおにぎりの方が、食べた時の満足感も大きいし腹持ちも良い。
また、江戸期の小児科医という仕事がどれほどのものだったのか、この小説を読む限りよくわからない。いつもサボってばかりいる医者ではあっても、それなりの医術を披露してもらわないと書く意味が薄れる。