
“ 村の鎮守の神様の、今日はめでたいお祭り日、どんどんひゃらら、どんひゃらら~
どんどんひゃらら、どんひゃらら、朝から聞こえる笛太鼓 ”
こんな昔懐かしい歌がどこからともなく聞こえてきそうな、この日は子供歌舞伎で有名な村国座で
歌舞伎が上演される日です。
歌舞伎が上演される前に、本殿で執り行われた神事には、地元の小学生の女の子達がお祭りの日
だけの巫女となり、神楽にあわせて舞いを務めていました。

各務原市にある村国座は、国の重要有形民族文化財にもなっていて、農村歌舞伎の中でも特に
子供歌舞伎が上演されることで有名です。
関係者の男子は紋付羽織姿で、、、、ここにも昔からの伝統あるお祭りであることがわかりますね。

ここが歌舞伎が行われる舞台と観客席です。
まだ準備中のようですが、天井から下がったお祭りへの寄付をされた人々の名前を書いた紙がぎっしりと。
凄いですね。そしてこんな光景も珍しいですね。
金額はお祭りなので倍の金額を書き入れるのが習わしなのだそうです。

いよいよ舞台も整い珍しい子供歌舞伎の始まりです。
舞台のそでには唄いの方々も入り、本格的な歌舞伎の幕開けとなりました。
本日の演物は三つありましたが、これは最初に演じられた「絵本太功記」です。
この村国座は明治十年に村国神社の境内に建てられ、催事に合わせて地芝居を奉納されて
いたものが、いつの頃からか大人にかわり子供が演じるようになっていったのだそうです。
今では全国でも珍しいようですね。

現在は地区内の三つの組が毎年持ちまわりで担当し、今年は東組の小学生四十人が舞台に立ちました。
8月の暑いさ中から五十日間も歌舞伎の関係者からの演技指導を受けたのだそうです。
こうした演技も中学生になるともう舞台には上がらないとか。
歌舞伎への出演は小学生までだそうです。

物語は明智光秀が織田信長を討ち死にさせた後、羽柴秀吉が光秀を討つまでの「三日天下」
と言われる史実を脚色したもので、絵本太功紀の十段目のこの「尼崎の段」は特に有名とか。
登場人物は明智光秀、その母さつき、妻のみさお、光秀の息子の十治郎と許嫁の初菊、それに羽柴秀吉
などなど。
小学生高学年の生徒とは思えぬ名演技で、その立ち居振る舞いに会場から盛大な拍手がおこりました。

芝居が終わり幕が下がると、会場は出演者におひねりを投げようと総立になり、一気に賑やかに。
おひねりの大きなお菓子の包があちこちから壇上めがけて投げられます。
出演した子供の家族の方やお友達からは勿論のこと、近所のお馴染みのおじさん、おばさんからもお祝い
のおひねりが飛び交い盛大のうちに終了となりました。
今でもこうして伝統文化が引き継がれていることにはちょっと感動です。
この日は子供が主役、大人はそのひきたて役の縁の下の力持ちといった感じでしょうか。
本物の歌舞伎自体も見ることがない私にとっては有難い催しで、秋の日の平和なお祭りでした。