天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

山崎豊子『ぼんち』

2011-08-17 16:40:45 | 
ぼんち (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


放蕩を重ねても、帳尻の合った遊び方をするのが大阪の“ぼんち”。古い暖簾を誇る足袋問屋の一人息子喜久治は「ぼんぼんになったらあかん、ぼんちになりや。男に騙されても女に騙されてはあかん」という死際の父の言葉を金科玉条として生きようと決意する。喜久治の人生修業を中心に、彼を巡る五人の女達、船場商家の厳しい家族制度、特殊な風習を執拗なまでの情熱をこめて描く長編。 内容(「BOOK」データベースより)

船場の商家を舞台にしていた「仔猫」を稽古していたときに、すすめられたのがこの本。大正から昭和にかけての船場・足袋問屋を描いています。ぼんぼんていうと揶揄するニュアンスですが、ぼんちはその上、遊んでいても軸がしっかりしている旦那ということらしい。お約束のぼんち揚げは、この小説からヒントを得て名づけられたとか。
主人公喜久治は三代続いた婿取り女系家族の後取り息子。祖母と母は、自分の家を誇りに屋敷の奥から取り仕切っているのですが、このねっちっこさが気分が悪い。んが、だがしかし、嫁を追い出された喜久治は外の女に癒しと意地を見つけて放蕩三昧。なんでまあ、そんなに次から次へと、と思うものの相手は全部玄人さん。「船場」「花街」「本家」「妾」の慣習がこと細かく書かれています。喜久治は五人の女を持つのですが、それぞれに家を一軒たてるくらいのお金を渡し、それとは別に住まいに月々のお手当。男の子が生まれたら、生涯暮らせるだけのお金を渡して縁を切る。んー、お金持ちじゃないとこういう暮らしはでけしません。一夫多妻がOKな国は、奥さんは平等に扱わなくてはいけないと聞きますから、それが許されるだけの財力がないとできないという話。
正直、最初のうちは痛い目に合えっくらいの気持ちで読んでいたのですが、やはり甲斐性がある。喜久治が外の女を征服したがったのは祖母と母とのいびつな関係の裏返し。ラストの展開が秀逸で、うん女は強いと思うたし、ねっから商売人の喜久治の背中が見えたようでした。
コメント
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