![]() | 心星ひとつ―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-7 時代小説文庫) |
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角川春樹事務所 |
シリーズ最新刊。店頭に並んだとほぼ同時に手に入れました。
4本のうちストーリーの軸が大きく動く話が2本。作品のファンもやきもき。大坂から出てきた女料理人の主人公澪が江戸の町で奮闘する主軸に幼いころに生き別れ、偶然足跡を知った太夫・野江との未来はいかに。また、天満の料理屋一兆庵の再建というのも物語の最初からの心願。さあ、さあ。思いがけないところから、手は差し伸べられるのですが…。
それに、まったく進展がなかった小松原への秘めた想いにも光が当たります。
ひゃー、きゃー、と(声は出さずに)電車のなかで悶絶しておりますたっ。
「決して譲れない、辿りたい道が目の前にはっきりと見えた」(289頁)
澪、源斉先生もいいかもよ。
今回も知らぬ東西食文化に関して作品中にでてきて勉強になりました。生麩は上方の食文化だそうです。
![]() | 出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫) |
クリエーター情報なし | |
角川春樹事務所 |
デビュー作。江戸時代の女納棺師が主人公です。
父子ともに行き倒れになったところを寺の住職たちに助けられたのが、9歳「艶」。亡くなった父をその寺で湯かん、荼毘に付し新しい名前「縁」をもらう。
このお寺、檀家がなくて葬礼(夜伽、湯かん、荼毘、埋葬)を行う墓寺なのだそうですが、幕府に認められた寺ではないので利権は発生せず、それゆえ現在では記録にも残ってないそうです。
やがて縁の心を込めた湯かんは評判を呼び、正縁という名前を与えられ「三昧聖(さんまいひじり)」と呼ばれるようになるのです。推理小説のような趣きもありながら、やっぱりキャラクターが生きているので何度も胸があったかくなりました。いや、でも、切なくなったのほうが近いかな。