櫻守 (新潮文庫) | |
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新潮社 |
子どもの頃から何度も書名だけは聞いていた水上勉『櫻守』をやっと読みました。
なぜ、書名を子どもの頃から聞いていたのかー舞台となっているのが地元なんです。
手塚治虫先生(宝塚育ち)の本でも(なんやったか忘れたけど)地名はでてきた地元ですが、
基本的になんにもないところなんで、そういう舞台なんかになることはないような土地。
でも、戦前、桜の研究をされていた方が駅近くの山に桜の演習林を切り開きました。
著名なその人ではなく、その下で学んだ植木職人の一生を描いた作品です。
「凩(こがらし)」という作品も同時収録されているのですが、こちらは時代がもう少しあとですが、
老宮大工が生き方と死に方を模索する作品で合わせて読むと職人としての気概を感じました。
さて、「櫻守」の主人公の嫁の出身地はなーんと本当に私の地元。
たぶん、私の祖父母と同じ世代。祖父母が見た当時の風景を見られたような気がしています。