牛丼つゆだく

帰宅したら牛丼弁当の容器がテーブルの上に転がっていた。
弟が昼食に買って食べたのだろう。

何気なく容器に貼られていたシールを見ると「つゆだく」とある。
意外だった。
濃い味を避ける傾向にある弟が、あえて「つゆだく」を頼むとは…
まあ、それは良い。

何においても濃い目の味が好みの私。
牛丼は、ほぼ毎回「つゆだく」を頼むのだが、最近それでエライ目に遭った。

数ヶ月前の事だ。
持ち帰りの牛丼弁当を大盛りの「つゆだく」で注文した。
しばらくすると、女の子の店員が「これくらいでよろしいでしょうか？」と出来たての弁当を持って来た。
そして私の前で容器を傾け、つゆの量を見せたのだ。

凍り付く私。
いくら何でも入れ過ぎだ。
「つゆだく」どころか「つゆだくだくだく…」だ。

茶漬けじゃないんだからコレは無いだろう…
と、口に出かかった。
しかし、もしここで私が作り直しを求めて受け取りを拒否すると、この牛丼は廃棄になってしまう。
しかも大盛りである。
もったいないなと一瞬頭に浮かび、仏心で「は、はい…」と返事をしてしまった。

その店員が女の子でなく女の人だったら作り直しを要求していたかも知れない。
だが、それは些細な事だ。

その弁当を持ち帰り、いざ食べようと蓋を開けた。
すると、その牛丼は、飯が出汁を吸って既にベチャベチャになっていた。

そんな弁当を作った店員が悪いのか。
それとも作り直しをさせなかった私が悪いのか。
未だに答えを出せない私である。。。