Soft Machine - Teeth (1971)
カンタベリー・ロック特集をしばらくお休みしていました。まあ、マイペースでやっていきたいと思います。実は、もう一つ、あるイギリスのバンドの特集を計画してて、そちらの準備もあり、けっこう大変です。
さて、今回はソフト・マシーンの4作目。
メンバーはマイク・ラトリッジ(オルガン、ピアノ)、ヒュー・ホッパー(ベース)、ロバート・ワイアット(ドラム)という主要メンバーに前作から加わったエルトン・ディーン(アルト・サックス、サックセロ)の4人が中心。そして、ゲストとして、ロイ・バビントン(ダブル・ベース)、ニック・エヴァンス(トロンボーン)、マイク・チャリグ(コルネット)、ジミー・ヘイスティング(アルト・フルート、バス・クラリネット)、アラン・スキッドモア(テナー・サックス)が参加しています。
それにしても、ジミー・ヘイスティング!カンタベリー・ロックのバンドの色んな作品に参加してませんか?すごくフット・ワークが軽い。
この作品で言えるのは、ついにヴォーカルレスになってしまったこと。当然、ロバートは面白くはないはずですから、このアルバムを最後に脱退してしまいます。でも、この作品でいいドラムを叩いています。
この作品は、わりとにぎやかな印象があった前作に比べ、1曲目の「Teeth」を除くと、かなり地味。でも、「Teeth」という曲がかなりいいので、このアルバムは聴き方によって評価が変わりそう。つまり「Teeth」だけ聴いた人は「おっ、かっこいい、いい作品じゃないか!」と評価するし、「Teeth」以外の曲を聴いた人は、「うーん、マニアックだ。」と辛そうにするかもしれない。
まあ、公平に評価するために、全曲を説明します。
さて、動画を貼り付けた1曲目「Teeth」は、最初から、かっこいいジャズの雰囲気たっぷり。ラトリッジが前作までと違ってエレピで入ってくる。ベースもかなりジャズっぽい。緊張感漂うなか、けっこうポップなメロディがある。エルトンのサックスはノリまくり。ホッパーのファズ・ベースが入る3分台後半からロックっぽくなり、そして、さらにフュージョンっぽくなる。この辺の展開は見事。聴きやすい。6分過ぎからラトリッジのオルガン・ソロが入ると完全にロックだ。ホーン・セクションはバッキングになってしまう。8分過ぎからは自由なフリー・フォームな演奏になり、そして静かになって終わる。ラトリッジ作。
2曲めのホッパー作の「Kings and Queens」はやや暗くて地味め。シンプルなリフの繰り返しの中、クラリネットが自由に吹きまくる。
3曲目のディーン作の「Fletcher’s Blemish」はまさにフリージャズと言った感じの混沌とした曲。音で遊んでる感じが強い。
4曲目から7曲目までは組曲「Virtualy」。ホッパー作。
パート1はベースとドラムの音がかっこいいが、単調かな。
パート2は混沌としているが、3分40秒過ぎからパート1のメインテーマが復活し、スピードが出てきてかっこよくなる。フュージョンっぽくて聴きやすい。
パート3は変な管楽器とオルガンの音で始まる。静かなメロディアスな曲になっていくが、管楽器は変なまま。突然、ファズ・ベースが始まり、ロックになる。サックスも参加。
パート4はファズ・ベースはなくなり、静かになる。エレピが主張し始める。管楽器は小さな音。だんだんサックスの音が大きくなっていくが地味。盛り上がりそうで盛り上がらない。
うーん、1曲目以外は、かなり聴きこめば楽しめるかもしれないが、全体的に地味です。やはり1曲目「Teeth」に尽きますね。
次のカンタベリー・ロック特集はソフト・マシーンを脱退したロバートが結成した「マッチング・モウル」を取り上げる予定です。