透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

雲と風

2014-11-24 20:25:09 | 日記

曇り時々晴れ。最低気温-2.7℃、最高気温7.1℃。

初冬の野幌森林公園は華やかな紅葉の季節から落ち着いた寂びの世界となっていた。そのような中で青空に白い雲の動きが目に留まった。

雲の動きに注目して、1924年11月23日の日付を持った賢治さんの作品「孤独と風童」(『春と修羅 第二集』)を読んでみると、「雲もちらけてしまふ」とあった。この作品の先駆(発表)形の最終行に「こんどの童話はおまへのだから」とあり、「風野又三郎」との関連が示唆される所以となっている。「風野又三郎」は大正13(1924)年2月、賢治28歳の時、教え子に原稿筆写を依頼したと年譜(『新編銀河鉄道の夜』 新潮文庫)にあった。 

 

孤独と風童

 

シグナルの

赤いあかりもともったし

そこらの雲もちらけてしまふ

プラットフォームは

Yの字をした柱だの

犬の毛皮を着た農夫だの

けふもすっかり酸えてしまった

 

東へ行くの?

白いみかげの胃の方へかい

さう

では おいで

行きがけにねえ

向ふの

あの

ぼんやりとした葡萄いろのそらを通って

大荒沢やあっちはひどい雪ですと

ぼくが云ったと云っとくれ

では

さやうなら

                         

                         

                         

                         

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