透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

『森の絵本』

2017-06-09 21:47:58 | 

晴れ時々雨。最低気温12.2℃、最高気温22.5℃。

 

『森の絵本』(長田弘作・荒井良二絵 1999年8月10日第1刷 講談社)

北海道立図書館の1階エントランス付近で、「山へ川へ森へ海へ」のテーマのもと、たくさんの絵本が展示されていました。

酷寒に耐え、やっと巡り来たきらめく光の季節。「自然を楽しむ季節がやってきた」との言葉に誘われて、絵本を数冊借りてきました。その中の1冊が『森の絵本』です。

文は詩そのもので、絵は緑を基調としたグラデーションが印象的です。

ページを繰るたびに広がる森の生き生きとした姿。それは野幌森林公園で出会った様々な光景とも重なり、すっかり魅せられてしまいました。

美しい言葉で物語られている作中から終わりの部分の数行を、引かせていただきました。(すべての漢字にルビがふられていたのですが、勝手ながら一部のみにしました。


森が息(いき)しているのは ゆたかな沈黙 です。

 

森が生きているのは ゆたかな時間 です。


朝がきて 正午(ひる)がきて  午後(ごご)がきて

夕べがきて そして 夜がきて

ものみな 眠り ふたたび 朝がきて


夏がきて 秋がきて 冬がきて 春がきて

そして 百年が すぎて

きょうも しずかな 森のなか。


どこかで よぶ声が します。

—だいじなものは 何ですか?

—たいせつなものは 何ですか?


森がいつまでも豊かな沈黙と豊かな時間を持ち続けられることを願ってしまいます。

大事なもの、大切なものを見失って、大きな歯車に押し潰されてしまいそうな気がする今はなおさらかもしれません。

コメント (2)
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