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昨日、「朗読とギターによる第9回郷音公演会」へ足を運んで参りました。
この度の公演では藤沢周平作『橋ものがたり』から「小さな橋で」と宮澤賢治作「オツベルと象」の二作品が取り上げられていました。
公演の舞台は札幌時計台ホールで、観光スポットとしても人気のある札幌時計台の二階にあります。
現役の時計台として今も活躍しているので、開演は時計が午後7時の鐘が鳴るのと同時で、同じように10分間の休憩をはさんで午後8時の鐘を待って後半が始められました。
この公演は第9回目を数え、朗読にも円熟味が増したと感じられました。また、ギターの音が朗読を引き立てるように繊細に奏でられていて、息のあった共演となっていたところは回を重ねて来られた賜物かと思いました。
「小さな橋」という作品は藤沢作品とあって楽しみにしていたものであり、この度の朗読で初めて作品内容を知り得ました。不条理な運命に置かれても幼馴染と心を通い合わせることができた少年の物語ですが、語られる言葉のひとつひとつが美しい響きとなり、情景が思い浮かんでくるようでした。
「オツベルと象」では、朗読によってオノマトペの効果がより浮き彫りになっていた気がします。
また、オツベルが言葉巧みに白象が本来持っている力をそぎ、どんどん過酷な働きをさせていく場面を聴いているうちに、ふと「過労死」という言葉が脳裏に浮かびました。
今まで、「オツベルと象」を読んで、「過労死」と結び付けた経験はなく、ニュースなどで取り上げれていた記憶が呼び起こされたのだろうと思います。
それにしても、賢治さんの作品は今という時代に引き寄せて鑑賞することもできる、深く広い内容を持っているのだとこの度も思った次第です。
この度の公演会もこうした思いを巡らせることができ、記憶に残るひとときとなりました。