ウムニーついでに
はまっている、というほどではないが、芋(甘藷)を食う機会が増えている。脱サラ農夫Tから大きな芋を何個か貰っているということもあるが、「芋こそ食糧難の時代を救う食物だ」と、私自身が思っていて、芋食に慣れておこうという考えからである。
食糧難の時代が来るかどうかは全く不明だが、地球環境の悪化から、世界的不作があるかもしれないという不安は、以前よりは大きくなっていると思う。
さて、芋料理に慣れるには、いろんな芋料理を覚えなければならない。私の実家では、芋料理というと蒸かした芋、天麩羅にした芋、そして、ウムニーの3種があった。
ウムニーとは、煮た芋をつぶしてこねたもの。沖縄語辞典などにはンムニーと表記されていて、それが正確なのだとは思うが、我が家ではウムニーと発音していた。ちなみに、沖縄語のウとンの発音の違いは微妙である。日本語のンとはちょっと違う。
煮た芋は焼いた芋より甘味が少ない。さらに、私が子供の頃の沖縄の芋は、元々、さほど甘いものでは無かった。なので、砂糖を入れないウムニーはご飯の代わりとして扱われた。味噌汁とおかずとウムニーの食卓だ。母の作るウムニーには、砂糖が入っているものもあった。それはご飯の代わりでは無く、お菓子となった。琉球料理の本を見ると、確かに、ウムニーにはご飯としてのものと、お菓子としてのものの2種がある。
子供の頃から知っている芋料理には、母が作ってくれた上記の3種の他に、本土では普通の焼き芋(やーきいもー、いーしやーきいもー、おいも、の焼芋屋さん、私が子供の頃はなかった。焼き芋は焚き火をしている時などに作った。)と、本土ではあまり見かけないイモガリガリがあった。イモガリガリは、既にこのHPで紹介しているが、ポテトチップのサツマイモ版といったもの。沖縄にはイモガリガリ専門の店があった。
以上、合わせて5種の芋料理、だが、毎食、芋を食うということになると、それだけでは足りない。それと、日持ちする芋料理も必要、ということで、先日、芋羊羹作りに挑戦した。羊羹は日持ちすると覚えている。それが正しいかどうかは後日調べる。
で、とにかくトライ。芋を羊羹にするには先ず、芋をウムニーにすることから始まる。で、ウムニーを作る。皮を剥いて、小さくスライスして、煮て、潰して、こねる。ここで迷った。砂糖を入れるかどうかである。私の家に白砂糖は無い。黒砂糖しかない。黒砂糖を入れると色が変わる。母の作ってくれ た昔懐かしいウムニーの色じゃなくなる。
ということで、砂糖無しのウムニーとなる。久々のウムニーだ。実家で暮らしていた浪人の頃に食べたことがあったとしても30年ぶりくらいのウムニーだ。食べてみる。甘くない。昔の味は蘇らない。母のウムニーの多くは砂糖が入っていたようだ。
そのウムニーにゼラチンを混ぜ、羊羹作りに進む。羊羹はしかし、大失敗だった。ゼラチンを溶かす水分量が多かったみたいで、固まってくれなかった。
それを3日冷蔵した後、食べてみた。妙な味がした。見ると、表面が変色している。どうやら痛んでいるみたいだ。羊羹が日持ちするのは砂糖をたっぷり含んでいるからだと認識した。捨てるのは勿体無いので、表面を取り除いて食べる。あんまり美味くない。日持ちしない上に美味くもない。芋羊羹作りはさんざんな結果となった。
記:ガジ丸 2009.1.31 →沖縄の飲食目次