もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

交通機関の計画運休を評価

2018年10月01日 | エネルギ

 台風24号が、北海道東方に去った。

 今回、首都圏を中心とする鉄道機関では異例の計画運休が実施されたが、日曜日であったことも幸いして大きな混乱も無かったようである。計画運休とは異例の決断と思っていたが、今朝の新聞で関西地方を含む西日本では既に平成26年の広島の水害時にJR西日本が行ったことを皮切りに数回実施されており、西日本では周知の方法であるらしい。突発的で予測困難なゲリラ豪雨や竜巻と違って、近年の観測精度向上によって台風の強さや進路は略正確に予測できる時代となった。これまで首都圏の鉄道各社は、〇〇m以上の風速で・〇〇mm以上の降雨量で運行を止めるという基準で運行されていたために、運転区間内で立ち往生して乗客が車内に長時間閉じ込められたり基準の甘い会社路線に乗客が殺到したりする混乱があった。計画運休では事前に運休時間が告知されるので、乗り遅れたり立ち往生は利用者の責任範囲とされるもので、いっそ清々しい方法と思う。テレビで埼玉アリーナで行われた格闘技イベントに対する観客の動向が報じられたが、最終列車に乗るべくイベントの途中で退出する人、計画運休を承知の上でイベントを最後まで楽しみ歩いて帰ることを選択する人、対処の方法はさまざまであったがそれぞれの遣り方で対応していた。ここで曽野綾子氏の云う「自然災害に対する人間力(サバイバル術)」(9月12日記事参照)が試されているのだと感じた。今回の計画運休では、何事にも一家言しなければ収まらないマスコミは計画運休の周知方法に対して問題提起していたが、情報収集能力とその活用法は将に現代社会を生き抜くための必須の人間力であり、今回の告知程度で十分ではないだろうか。

 防災関係者の間では「空振り三振はまだ許されるが、見逃し三振はやってはいけない」という鉄則があるそうである。公共交通機関は何時でも動いているので、自分自身の都合だけで行動すればよいというような状況は、神話となる日も近いと思った計画運休であった。