在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使の発言が注目を浴びている。
発言は、韓国メディア記者との非公式の懇談の席で、文大統領の対日姿勢に「マスターベーション」という言葉を使用したというものである。相馬公使は、文大統領が1人で神経戦をしているとの趣旨で言葉を使用したことを認め、抗議した韓国の外務省第1次官に謝罪し、日本外務省も外交儀礼を欠く行為として本人に厳重注意したとされている。
「非公式の懇談の席」ということであるので、記者とは「オフレコ」合意した上での発言かとも考えるが、日韓の各級会談でも双方が合意したプレス発表範囲を無視して我田引水的に内容を発表することに異を感じない韓国の実状からすると、相馬公使の脇の甘さは確かであろう。
確かに「マスターベーション」なる言葉は外交官に限らず人前で口にすることは憚るべき言葉とは思うが、文大統領の対日外交姿勢を端的に述べるとすれば、最も適切な比喩表現であるように思える。文大統領の言動に垣間見えるのは、日本は「徴用工・慰安婦・福島」さえ持ち出せば意のままに操ることができて、反撃されることなど思いもよらないとの思念・妄想である。
相馬公使の比喩は適切ではないものの核心をついており「云い得て妙」であるが、更に秀逸であるのは、相馬公使を呼び出して抗議した韓国外務省の「韓日関係の発展に向けた文大統領の努力を大きく損なわせる無礼な発言」という抗議の内容で、就任以来一貫して関係悪化のためにのみ努力したといっても過言では無い文大統領のこれまでを考えると、最高のブラックジョークである。
文大統領の日韓関係改善の努力を探しても、韓国大法院が判断した徴用工に対する補償のための日本企業資産差し押さえに対して、司法判断はそのままに現金化手続き凍結に影響力を行使したであろうお粗末なマッチポンプ行動くらいしか思いつかない。
文大統領は、東京五輪開会式に出席して「あわよくば首脳会談」を持ちたいとしているらしいが、日本側の30分程度とする提案に対しても反発している。この一事をとっても「償うべき負い目を負っている日本は偉大(尊大?)な韓国の要求する時間を割くべき」との思い入れ(妄想)が透けて見える。首脳会談を持ったとしても、韓国の拒否によって諸問題の各級実務者協議すら行われていない現状では合意できるテーマは全く無く、もし首脳会談で合意したとしても慰安婦財団解散に見られるように大統領が変われば梯子を取り外すことを何とも思わない韓国であれば、合意そのものが意味をなさないと思う。ましてや既にレイム・ダック状態の文大統領であれば猶更に思える。
ここは、警備上の理由とか何とかで、文大統領の来日をやんわり・かつキッパリとお断りするのが最良であるように思える。