「立民 外交安保強化へ」との見出しが、産経記事に踊った。
記事では、泉執行部が衆院選敗北の原因を「外交・安保で具体的な政策を打ち出せなかったために、無党派層や保守層の受け皿になれなかった(国民・維新の躍進?)」として、外交安保に関するワーキングチームやプロジェクトチームを設立するとしている。
これまで立民や社民は、恰も「平和憲法さえ堅持していれば全世界はその理念に共感して日本を侵すことはない」との立場で、出血を伴う外交・安保を軽んじていたきらいがあり、日本をユートピアか桃源郷にしようと考えていた節がある。
ウイキペディアではユートピアを「トマス・モアの思想書に由来する思想。理想社会を実現しようとする主体的意志で、《夢想郷ではなく、普通の人々が努力して築き上げる社会主義国家》である」と解説している。
このユートピア志向は、反戦・護憲の運動と相乗的に喧伝されたこともあって多くの国民が程度の差こそあれそれを政治に求めるという風潮を根付かせたと思っている。その風潮は際限を知らぬように、兵役を苦役と呼ぶことに疑問を持たず、自衛隊を暴力装置と呼ぶ政治家を出現させ、防衛予算を福祉に回せと合唱し、究極には国のコロナ支援金を1円でも多く貰うことを望む以上に不法に取得する火事場泥棒的拝金者を産み出してしまったように思える。
ユートピアに似た響きを持つ桃源郷は、陶淵明の散文作品「桃花源記」が出処とされ、「理想社会の実現を諦める」という理念でユートピアとは似て非なる正反対のものとされているように現実には到達し得ない形而上の世界としている。しかしながら、その後桃源郷は道教・伝承とりわけ霞を食って生きる仙人思想と結びついて唐代の李白などは桃源郷=仙郷と考える一方で、宋の蘇軾・王安石は搾取や戦乱のない人間の世界だと考えていたとされるが、いずれにしても諦観を持った現実逃避の亜種と呼ぶべきで、無党派層や投票所に出向かない人が該当するようにも思える。
今回の立憲民主党の改革は、日本の政治や外交安保をユートピア・桃源郷の視点から現実直視に変革を目指すもので、一定の評価を与えるべきと思うが、産経新聞の論調には「党内には日米同盟の強化に消極的な左派勢力の影響が根強い」としての危惧が述べられているので、前途は多難であるようにも思える。
まして、ブリッジで指揮する泉船長よりも船室に籠る枝野漁労長の力が圧倒的であることを思えば・・・。