ウクライナの民兵育成の一端を知った。
報道によれば、ウクライナではロシアのクリミヤ半島併合を機に軍が民間志願者に射撃や救護などを指導する「民兵育成」の取り組みが行わており、今回のロシア侵攻危機に際してこれまで以上のペースで民兵が拡大している模様である。
第二次大戦の欧州各地のパルチザンや初期ベトコンにみられるように、一般的に民兵は後方支援やインフラ警護を主な任務とし正規軍の戦闘に直接加わることは少ないが、不幸にして占領地となった場合にはゲリラとなって粘り強い抵抗を維持し、「敵兵が安心して街を歩けない」状態を作り出して正規軍の反抗や友軍の来援を待つことであるように思う。
民兵が存在するためには、多くの要素が不可欠と思うが、その中でも「①国民の戦意が高く、志願者がいること」と「②相応の武器・弾薬を持つこと」が挙げられるが、何よりも「③志願者が武器を取り扱えること」が最も重要であるように思う。
では、尖閣有事が拡大して、中国軍が日本本土騒擾を画策した場合、日本で自発的な民兵が生まれるのだろうかと考えてみた。
①については、戦後の平和教育で牙を抜かれて非戦主義に陥っているとともに体力的に考えて50代以上には期待できないものの、香港・台湾の青年にみられるように30代以下で、明日の日本を憂うる人からの志願は多いと思う。
②については困難であるように思う。日本民兵の中核は陸海空の予備自衛官、陸自の即応予備自衛官にならざるを得ないが、彼らに対しては武器・弾薬を供給し得たとしても、一般国民に武器を持たせないという太閤刀狩の伝統からの忌避感は大きいと思う。加えて、隊員数以上の予備小銃や年間射耗量以上の保管弾薬を無駄遣いとする会計検査のこれまで、小銃生産企業(豊和工業)の生産能力を考えれば急速な拡充は出来ないように思える。
③については更に絶望的で、自衛隊OB以外で小銃を撃った経験を持つ人は極めて少ないと思う。射撃経験の多い警察と海保のOBについても経験の多くが拳銃であり、幾ばくかの教育訓練が必要である。
以上のことから日本民兵の現状は、「抵抗したいにも武器がない」「武器はあっても撃ち方を知らない」ではないだろうか。
民兵、武装勢力、ゲリラ・・・、状況に応じて多くの表現がなされるが、それらの多くを日本では「無法者」若しくは「法治の敵」と捉えるのが一般的である。しかしながら、ウクライナの現状に接すると、「首都キエフを3日で蹂躙できる」と広言する無法者に立ち向かうためには、国民が民兵となって抵抗することは避けて通れないものであるように思える。
日本でも、武器操法に熟達して国民、救急治療に応じえる少壮国民、すなわち「民兵」を養成し・増やす努力を始めるべきではないだろうか。加えて、戦時所要に応じ得る火器・弾薬の備蓄を当然とする会計容認も併せて願うところである。