もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ネット作法を学ぶ

2023年06月19日 | 報道

 本日の産経紙面で、ネット作法に関して自戒すべきワードを教えられた。

 東大大学院の鳥海不二夫教授は、《情報を得るのはそもそも楽しむ行為であり、気持ちの良い情報に浸る一方、実はどういう情報を観たいかを自己決定すらできない》。
 ハーバード大の法学者キャス・サンスティーン氏は《偶然の出会いと共有される経験が大事で、自分が選ぶつもりの無かった情報に曝されず社会の多くが共通経験を持たなければ、社会は分断して社会問題への対処は困難になる》
と、それぞれ述べておられるとし、産経紙は《この風潮を助長するのは(検索履歴などから)アルゴリズムで利用者の嗜好に沿うとみられる情報を推薦する「アテンションエコノミー」という経済モデルである》と続けている。
 数年前までは、検索エンジンでの表示は閲覧・アクセスの総数順に並べられていたが、現在は前述のアルゴリズムによって利用者個々の検索履歴をもとにした個人別表示順位が付されているかのように感じられる。
 自分を振り返れば、将に両氏の述べた状態に陥りつつあるようで、一つの事象の詳細を調べる場合は異なる複数の論調の記事を見つけて読むようにしてきたが、年齢の所為だろうか、例えば赤旗の記事を読み続けるためには相当な努力が必要となってきた。
 かって、ユリウス・カエサルは《人は、自分の見ようとするものしか見ない》と喝破したが、AIが利用者に忖度して好ましい情報しか与えないようになってくれば、ネット内で接する情報は自分の好みに沿ったものに限られ、それを信じることで特定階層の支持者・構成員となり、結局は社会の分断化に手を貸すことに繋がるように思える。

 孔子は「良薬は口に苦けれど病に利あり、忠言は耳に逆らえど行いに利あり」と諭し、古人も自分の様な無学者用に「良薬、口に苦し」とイロハ加留多にしてくれている。
 情報が多くなればなるほど、真実はより曖昧になってくると思っている。情報の分析官は、種々雑多な情報を精査して真実に辿り着く訓練をするとされるが、我々もAIが与える情報が全てではないことを知らなければならない時期に来たようである。