もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

シェルター考

2025年01月09日 | 防衛
 本日の産経新聞が核シェルターの必要性を論じている。
 核シェルターについては、時折に・思い出したように報じられるものの、日本では余り進展しているようには思えない。
 今回の報道は、フィンランドでは国民の8割を収容できる施設を有しているに対して、日本は約5%の収容人員に留まっているので、日本でも核シェルター拡充の要有りとしている。しかしながら、日本での実情は核攻撃初期の爆風・熱戦から防護するため緊急避難的に利用できる強固な建物や地下施設を指定しているだけで、放射能防護機能を持ち中期的な籠城を可能とする他国の核シェルターとは比較できないものに過ぎない。加えて、その建物がどこにあるかとなると、申し訳程度に自治体のHPに掲載されているだけである。ちなみに現住地は市営地下鉄を有しているのでHPにはそれらが記載されてはいるものの、「営業時間内・改札外限定」とつれないものである。我が家からは最寄り地下鉄駅まで徒歩30分、どう考えても有事に役立つものではないだろう。
 さて、物の役に立つ「核シェルター」を20年で整備するための「法案」が上程されたと仮定した場合、朝野の反応はどのようであろうか。先ず不要論が大半を占めるだろうし、「そういう事態をひき起こさないために遣え」という似非正論や「そんな金が有ったら〇〇を無料に」の大合唱が起きるのは目に見えるようである。核シェルターは、いわば「運が良ければ恩恵に与れる」程度のもので、更には既に生殖能力を失った年齢層は若年者に籍を譲るべきものである。
 明日の国土建設に必要な若者の将来にのみ期待する趣旨から、核シェルター整備は多くの国民に「米百俵」以上の自制・理解が求められることを思えば、現世利益追及に必死の日本人には不可能に思うが如何。