エジプトで300人超の犠牲者を出すテロがあった。
犯行声明が出ていないため実行者は不明であるが、IS傘下の武装集団「シナイ州」がイスラム教の一派であるスーフィー教徒をターゲットにしたものと報じられている。スーフィー(神秘主義)教団とは初めて聞いたのでウィキペディアで調べてみたが、関係者の名前が複雑なこともあり同教団がイスラムの世界でも異端とされているらしい他は良く理解できなかった。宗教に寛大というか、歳時記としてか、あるいは苦しい時にしか神仏を顧みない日本人にとって宗教対立はまだ理解できるものの、宗門間で殺し合うような激しい対立は全く理解できない。思うに、宗門対立は人種対立と表裏一体の関係のあるために理性を超えた激しい対立を生むのではないだろうか。日本にも日蓮の法華宗や親鸞の一向宗を巡る宗門対立があったし、現在でも東西本願寺の対立があるが、単一民族であるが故に国を二分する対立には至らずに、教義の対立ではない現世利益の衝突に伴う権力争いに終わっているように思える。古いハリウッド映画には、プロテスタントとカソリックの恋人同士が結婚を反対される場面が出てくるが、半世紀前までは先進国でも人種差別(人種に伴う富の格差を含む。)を内包する宗門対立は一般的だったのだろうが、人種差別意識の低下に比例して宗門対立も低下しているように思える。イスラム世界を見ると皆が貧しかった20世紀には宗門の対立は顕在化せずに、現在に至って人種間の格差が拡大したことにより先鋭化しているように思えてならない。
マルクスは「宗教は阿片である」と喝破したが、混乱したイスラム世界を見ると至言であるとも思える。
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