安倍総理の訪中に関して、標記の2案件が脚光を浴びている。
対中ODAについては、平成19年で終了した「低金利円借款」以後も引き続き行われていた無償資金協力等も終了するとのことであり、世界2位の規模まで成長した中国に上納金的な関係を引きずることに抵抗を覚えていた自分としては、今回の全面的な取り止めは遅きに失した感があるものの評価するものである。一方「通貨交換(スワップ)協定は、2002年に締結した協定が、2012年9月の沖縄・尖閣諸島の国有化による日中関係の悪化で更新されず、2013年9月に失効していた旧協定の10倍(約3兆円)にまで規模を拡大して締結しようとするもので、アメリカとの貿易戦争に先行き不安の中国元にとって円の支援は喉から手の出る程に欲しいものと思う。スワップ協定に関して、運用の詳細まで理解しているわけではないが、素人考えでは「手形の裏書保証」や「連帯保証人」的なものと考えている。円と元の通貨不安が起きる事態を考えれば、アジア諸国で相次ぐ「一帯一路構想」の見直し、アメリカから求められている知的財産保護に起因する「中国製造2025」の停滞、「軍備拡張」等の諸条件を見る限り、元の通貨不安が起きる公算の方が大きいと思う。もし元の通貨不安に対して円が支援する事態となれば、中国の新植民地政策や軍備拡張に手を貸すこととなり、結果的に日本は自分で自分の首を絞めることにしかならないと思う。中国経済の躍進に手を貸した形の総額4兆円近いODAが、中国国民に知らされることもなく、感謝どころか反日政策で応えられた歴史を持っている。日中首脳会談、特にスワップ協定の締結のためか今日にして急に対中ODAの実情を広報し始めた中国政府の姑息な手法に、日中関係好転の兆しと喜ぶべきではないだろう。日中首脳会談の手土産げにしてはあまりにもリスクが大きく、もし締結するならば、尖閣諸島近海からの公船の撤退、或いは白樺ガス田の廃棄等の目に見える対価を得て欲しい。おそらく中国はスワップ協定の対価として中国人旅行者の拡大や、文化交流促進、東シナ海の海底資源の共同開発程度しか提案してこないと思う。それらの空文にも等しい提案で過去に何度も煮え湯を飲まされた経験を思い起こして、安倍総理の外交に期待するものである。
アメリカとの擦り合わせを終えてのスワップ協定締結であろうが、全世界的な中国膨張警戒感の下での協定を決して急ぐべきではないと思うし、具体的な対価の無い安易なスワップ協定は敵に塩を送り・地歩を与えることにしかならないと思う。
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