昭和50年代の2年間、魚雷艇に乗組んだ。
魚雷艇はその名が示すように、高速を以て大型艦搭載砲の射程内にまで肉薄して魚雷攻撃を行う小型艇であるが、目標とする大型艦がレーダ連動の射撃指揮装置や自動砲を装備したことによって射撃精度が飛躍的に向上し、高速の小型艇ではあっても肉薄することが不可能になったことと攻撃武器の主流がミサイルになったことから、海上自衛隊からも姿を消した懐かしい艦種である。
今回は、魚雷艇に至る助走としての駄文であるが、セクハラとY談要素に満ちていることをお断りしておく。
欧米に於いて船は女性代名詞で語られるし、日本でも処女航海、母船、母港などの訳語が使用されている。
なぜ船は「She」「Her」なのかということについての有力な説は
・元来、船を操っていたのは男性であり、そのパートナーとしての船を女性に例えた。
・周囲には複数の男たちがつきまとい、常時大騒ぎをしているから。
・見栄えをよくするために多量の化粧(ペンキ)を必要とし、時には全身をきらびやかな装飾(満艦飾等)で飾りたてるから。
・下半身は水面下に隠しているものの上半身を露わにして、入港する際はブイ(ボーイ)に一直線に駆け寄るから。
・入手費(建造・購入)よりも維持費がかさんで人を破局に導くから。
等が挙げられているが、自分としては《上空から見た船の形状と中に男が居るから》なるY談風解釈を付け加えたい。
おそらく男性諸子はニヤリ・ナルホドと納得するであろうが、女性から見れば不愉快極まりないものであろうし、それもあってか現在のビジネス界やメディアでは「It」と無味乾燥な中性代名詞を使うようになっているらしい。
また船名にしても有名なところではクィーンエリザベス(英空母&客船)、ジャンヌダルク(仏空母)、新大陸発見のコロンブスの船は「サンタ・マリア」、清教徒の移民船は「メイフラワー」であり、故石原裕次郎氏の愛艇は「コンテッサ(伯爵夫人)Ⅰ~Ⅴ」と命名されていたように、女性名を付けることは珍しくない。さらにはTDLのアトラクション「パイレーツオブカリビアン」の船すべてが女性名ともされている。
船の人称は軍民で区別されないが、航空機では民間機は「She」、軍用機は「He」と呼ばれているらしい。
海上自衛隊では個人名を艦名とすることは無いが、艦名に個人名を拝借する米軍にも未だ女性名は無いようである。カマラ・デヴィ・ハリス副大統領が昇格して初の女性大統領になる公算が囁かれているが、後継空母にその名が付けられることはあるのだろうか。艦名が以後の運命を左右するという都市伝説は海上生活者の間では根強いために、カマラ・D・ハリスなる空母は運の悪い軍艦になってしまうように思える。
余談ながら、武勲を挙げた艦名は受け継がれるものの悲運な艦名やあまりにも政治色の強い艦名は継承されない場合が殆どであるので、海自艦艇にも継承されないであろう艦名が複数取り沙汰される。
次回は、水雷艇・魚雷艇のあれこれの予定です。
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