もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

邦人輸送について

2015年07月08日 | 社会・政治問題

 民主党は、朝鮮半島有事の際の邦人輸送は、民間航空機や民間船の活用で十分と考えているらしい。

 邦人を救出しなければならない事態において民間能力に期待するのは果たして可能であろうか。現に、ベトナム戦争末期のサイゴン陥落時も、邦人救出は米軍に依存している。また、臨戦態勢下においては空港・港湾施設や、運航管理は軍の管理下に置かれるのは世界の常識であり、政府の意を受けたとはいえ民間機の離発着や民間船の運航が不可能に近くなるであろうことは火を見るよりも明らかである。もし、運航可能な場合も、機体・船舶・乗員の危険性を度外視して輸送要請に応じる企業があるのだろうか。まして自由意思による乗員の確保は至難の業と思われる。集団的自衛権を放棄した場合は、紛争国の領海・領空において自衛隊の戦闘機や艦艇の行動は容認されないことからも、民間機や船舶の護衛はできない状態となる。自衛隊員のリスク増大を喧伝するものの一般国民の生命財産保護については一顧だにしない姿勢については大いに疑問を感じるものである。

 かってのフォークランド紛争時、英国は豪華客船「クイーメリー」を徴用して兵員輸送船に改造したことがあるが、これは船舶等の戦時徴用のルール(無償とは思われない)が平時から官民合意の下に定められていたためであると言われている。もし、民主党が緊急事態における邦人救出を民間能力で行うという前提で集団的自衛権をも否定するのなら、戦時徴用のルールと財源を提示して論戦に臨むのが責任政党のあるべき姿と思うのだが。


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