南北首脳会談後の共同宣言で、現在の休戦協定を平和協定に格上げする道程が示された。
北の非核化に対する言質は無かったものの、メディアは一様に「朝鮮半島安定化の前進」と捉えているが、冷静に考えれば平和協定の締結によって韓国・西側社会が失うものは極めて大きいと思う。1は戦争状態が終結することで停戦監視・休戦維持を名分とする国連軍駐留の根拠が無くなることである。朝鮮半島における武力行使の権限を国連から与えられている在韓国国連軍司令官は在韓米軍司令官が兼務しているが、形式的には朝鮮半島における武力行使の権限と戦力は国連が持っている構図である。国連軍撤退後において引き続き米軍が駐留することは、和平努力を逆撫でする行為と北が主張することは明らかであり韓国の無力化にも繋がり兼ねない。2は、現在の南北並立状態は朝鮮戦争という内戦の延長上にあるとする構図を韓国が自ら否定して北の主権を対等なものとして受容するもので、現在の南北分断状態を恒久的・固定的なものと認知する行為に他ならないと思う。そうなれば韓国の主張する朝鮮半島統一の主張は根拠を失い、北の核兵器に象徴される朝鮮半島の火種は今後も増幅されて存在し続けることになると思う。
今回の南北首脳会談に付随して南北ホットラインや共同連絡所の開設も実現したことから、韓国大統領府は今回の会談が米朝首脳会談の仲介役としての地位と一定の発言力を得るとともに、半島統一に寄与できる成果と述べているが、今後韓国が失うであろうものと北朝鮮が獲得したものを比較すれば、北朝鮮の圧勝とすべきでは無かろうか。有権者に対して一定の成果を示す必要があるポピュリズム韓国と国民に慮る必要のない北朝鮮の外交、勝敗は予想された通りとも思える。使い走りに利用された挙句に貧乏くじを引かされる韓国、同情を禁じ得ない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます