もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

エビデンスから学ぶ

2020年12月04日 | 社会・政治問題

 昨今、エビデンスという言葉が多用されている。

 中国コロナの感染拡大とGo-Toの因果関係に関する議論で多用されることとなったもので、政府はGo-To施策維持のためにエビデンスが無い・不足していること挙げていると理解している。証拠、根拠、証明、検証結果等々の立派な日本語があるのに、敢て「エビデンス」というカタカナ語を使用する意図も判らないが、それ以上にGo-To参加者とコロナ感染者を短時間で照合できる制度になっているのだろうかと疑問に思う。
 Go-To制度を一度も利用していないので憶測の域を出ないが、ポイントやキャンセル料の不正受給が後を絶たない現状を見ると、Go-To制度申請時の本人確認が甘いのではないだろうか。Go-To制度は経済と雇用を維持するためのアクセルとして必要な手段であると思うが、残念ながら日本の社会インフラ、特にITネットワークは政府の施策に対してタイムリーに反応できるものでは無かったことが改めて示されたように思える。大容量のホストコンピュータが整備されていると仮定すれば、マイナンバーでGo-To制度を利用し、コロナ感染者をマイナンバーで追跡すれば両者の比較照合は短時間でできるように思えるが、現状では紙ベースの氏名・生年月日・電話番号を頼りに両者を照合して因果関係を探るという半世紀も前と同様な不毛の作業を強いられている方もいることだろう。
 英国では12月7日以降、米国では12日以降コロナワクチンの接種が始まると報じられている。今回のワクチンは、史上初めての遺伝子操作によるワクチンとされているが、残念ながら世界に先駆けて日本製ワクチン誕生にはいたらなかった。日本では米英の製造会社との契約を信じて来年の6月以降には2.4億回分を確保できるとしているが、民間会社の契約よりも自国民優先として輸出が承認されないことも予想されるので、成果を挙げつつある塩野義製薬以下の国内企業の奮闘に期待するしかない。

 以上の2つの事象を見ると、「羹に懲りて膾を吹く」「進取・変革を嫌う」という日本の国民性が鮮明に浮かび上がってくるように思える。マイナンバーは徴兵制の準備、遺伝子組み換え食品はNOという歴史。究極は「1番じゃなければだめなんですか?」という先端科学技術軽視が喝采を浴びる風潮。湾岸戦争の戦費の殆どを拠出しながらクエートから一片の謝辞を得なかったコンビニ感覚。積年のツケがコロナ禍を契機として国民に降りかかっているように感じられる。

 ドイツ第3帝国海軍のデーニッツ元帥(ヒトラー自殺後には遺書に基づき大統領)は、戦前の潜水艦増強計画が否決された際、「平時のツケは戦時に兵士の地で償うことが求められる」と慨嘆したとされている。現在の日本では、進取の施策に及び腰を良しとしたツケを、コロナ戦争における国民の死で償っているように思えてならない。


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