もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ルメール&デムーロ騎手と競輪考

2021年05月17日 | カープ・スポーツ

 今週のGⅠ競馬もルメール騎手が騎乗する馬が勝利した。

 競馬に暗いので、年間何レースあるかも知らないGIを制するのは、ルメール(仏)騎手とデムーロ騎手(伊)の場合が多いようで、往時の武豊騎手時代を彷彿させる。GⅠの勝利を重ねれば強豪馬への騎乗依頼・騎乗機会が増えて更に勝利を重ねるというスパイラル状態であり、当分はこの状態が続くものだろう。
 艦船勤務にあっては、基地以外の港湾で週末を過ごす機会も多いために、時間つぶしの対象としては映画、パチンコと並んで公営ギャンブルがあった。あったと過去形で書いたのは、現在の若年隊員はギャンブルをしない人が大多数であるためである。公営ギャンブルでも、場外投票制度がない時代であるために、停泊港から近い競輪・競艇が主で、競馬場に行ったことは付き合いで出掛けた東京競馬場1回のみである。さらには、馬畜生の勝敗に人間が一喜一憂すること等許しがたいとも思っていたためで、それは今でも変わっていない。
 競馬に比べて人間が走る競輪はレースそのものが人間のドラマであり、人生の縮図であった。競輪選手の中には、60才を過ぎてなお現役の選手が概ねB級という最下位のクラスに在籍していた。彼等の中には、既にレースの賞金よりも周回車列の先頭に立って風除けとなることで手当てを受け取ることができる「トップ引き」に徹する選手もいた。トップ引きは、周回で力を使い切って概ねどん尻になるので、車券から外さなければならなかった。後年にはトップ引き選手は公表されることになったが、当時は誰がトップを引くのかも予想の対象であったが、衆目一致・暗黙の了解であったと思っている。
 トップ引き選手の特定予想の他にも考慮すべき要因は多く、例えば、同郷・同期選手の存在やライン・御当地選手の有無があり、中には選手の息子の進学や娘の結婚などで賞金を得る必要性も誠しとやかに噂されていた。これらの情報の多くは、見知らぬ者同士が饂飩をすすりながらの会話に依ることが殆どであったが、偶然の一致かどうかは分からぬが的中したことがある。特に年末のレースでは、ボーナスにも比定し得る優勝賞金を誰が手にするかという「餅代予想」は確度が高かったと思っている。

 現在の高齢競輪選手の状況はどうだろうかとネットで調べて見た。選手一覧は有料サイトでしか閲覧できなかったが、2021年5月現在の最高齢選手(実際にレースを走っている選手のみ)では佐古雅俊選手(広島・45期・60歳)との記事を見つけた。更には別の記事で、2019年11月23日の取手1Rで現役最年長レーサーの三ツ井勉選手(神奈川、45期)が勝利して競輪の最高齢勝利記録を64歳1カ月14日に更新したことも知った。このことから、現在の競輪界は当時に比べて高齢者は減っているものの、高齢者と雖も勝つために走っており、往時のような高齢選手の生き方は少なくなっているようにも思えるので、競輪を人生の縮図などと考えるのは競輪選手に対する冒涜であるように思う。更には、51歳の神山雄一郎選手のように、トップクラスのS級S1班として活躍している選手も居ることから、競輪自体もギャンブルのカテゴリーを越えてアスリートの勝負の世界に変身しているもののようで、Keirinが万国共通語となりオリンピック種目となったのも肯けるものである。


IT後進国の面目躍如

2021年05月16日 | 科学

 ワクチン接種の一元管理が円滑でないようである。

 IT音痴の身には良く分らないが、ワクチン接種に関して報道されるところでは厚労省管轄の「ワクチン流通管理(V-SYS)」、官邸(総務省?)管轄の「ワクチン接種記録(VRS)」という2つのシステムが併存しているらしい。
 VRSは、予め自治体が準備している予防接種台帳や住民基本台帳から接種者の個人情報にマイナンバーを紐付けし、更に18桁の接種券番号をカードリーダーで読み取って接種記録とするという煩雑な仕組みであるらしいが、カードリーダーの御認識等もあってタイムリーな把握は困難な代物であるらしい。そんなこともあってか、接種事実が予防接種台帳に反映するまで2・3か月も要した事例があったとされている。ちなみに我が市(接種券未受領)の予約サイトを観ると、接種券番号は10桁となっているので、国の定めた18桁に変換するためには手入力であるかは判らぬものの1段階の結節があるように思える。
 武漢コロナの国内感染から1年4か月、ワクチン担当大臣の任命から4カ月経過してもこのような状態では、とても戦争などできない状態であることが実感できる。”戦争”という言葉に忌避感を持つ人にあっては、戦争を”究極の生命保護である食糧の配給”と読み替えて頂きたいが、ワクチン接種の混乱を観る限り、国民の生命に関しては最終的には国が守り、そのための基本の情報インフラはソフト・ハード共に国が一元して管理するというグランド・デザインがないままに、諸情報管理を自治体に丸投げしたために生じたものであるように思う。
 現在、戸籍と云う家系・人別制度がある国は、日本、中国、台湾の3カ国であるらしい。親日家に連なる一統を区別している韓国も2007年に廃止し、中国は一人っ子政策の後遺症による無戸籍者の存在等によって信頼性が揺らいでいるらしいので、正常な戸籍制度は日本と台湾の2国であるとされている。
 日・中・台以外の国にあってはマイナンバーと同様の管理で行われているが、定額給付金の支給やワクチン接種の進捗状況を観ると左程の混乱は報じられないので、マァ済々と機能しているのだろう。今となっては云うも詮無いことながら、なまじ戸籍制度がしっかりしていたために、多くの人は戸籍で十分、紙ベースでの出力で十分、税務や口座との紐付けは個人情報侵害と捉えていたと思っている。確かに、徴兵対象年齢層の抽出は僅かなキー操作で簡単に行えるが、例えば健康保険証と連接していれば基礎疾患治療者は迅速に抽出できる。自分も、ガイドラインを読む限りでは基礎疾患罹病者のカテゴリーに含まれるように思えるが優先接種等の打診もない。

 今回の中国コロナでは危機管理上の多くの脆弱性が見出され、指摘されているが、その改善意見に対しては政治家、特に野党の指導的立場の人は一様に「火事場泥棒的」と一蹴している。
 終戦後間もなく亡くなった自分の祖母であっても、現在の役場に行けば戸籍謄本を戦前と同じ手続きで・同じ書式で貰うことができるだろうことは、制度と時代の進歩が同調しているとは思えない。
 独善的な見方であろうが、現在の日本人の多くは、制度や法律の持つ正の面を過小評価し、深読み・裏読みした負の印象操作を過大に信じる傾向が顕著であるように思える。
 今回露わになった脆弱性の改善に対しては、野党指導者の妄言は虚言・眉唾と捉えて改革に取り組み、支持を与えない限り、日本がIT先進国となる道は閉ざされるだろうと思う。


中東紛争とアメリカに思う

2021年05月15日 | アメリカ

 イスラエルとハマスの衝突に対してヨルダンのヒズボラも加担するなど、中東全域の紛争にまで拡大するかの情勢に思われる。

 衝突は、エルサレムにあるイスラム教のモスクで起きたイスラエル警察とパレスチナ人信者との衝突を発端とし、パレスチナ自治区であるガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスがイスラエルに向けてロケット弾を発射し、イスラエル軍は報復としてガザ地区を空爆したものと理解している。
 今回、ハマスが発射したロケット弾は2000発超、イスラエル軍の空爆箇所も500箇所超とされているが、ハマスが即座に2000発ものロケット弾を発射し得たことに驚くとともに、パレスチナ問題の根深さが実感できる。ハマスの発射したロケット弾がどのような物かは伝えられていないが、イスラエルが「その殆どを迎撃した」と発表していることから、迎撃が可能な大きさと飛行距離を持った兵器である可能性が高いと思う。
 日本に置き換えると、一地域に対して集中的に・即座に2000発のロケット弾を発射することは不可能である以上に、時間をかけて国内備蓄の陸上発射型ロケット兵器を集積しても2000発はどうだろうかと思うので、それほどの量の兵器を一軍事組織に過ぎないハマスがガザ地区に常備していたことは、他国の支援なしには起こり得ないように思える。
 ユダヤ人とアラブ人の民族的・宗教的な確執は4000年に及ぶもので、米英が第二次大戦協力の恩賞として流浪の民であったユダヤ人にイスラエルの地を与えたことで決定的になったと思っている。
 それまで流浪していたユダヤ人は何をして生き延びたかと考えれば、世界中に散在するユダヤ人ネットワークを利用して各国の経済・金融に絶大な影響力を獲得したためと思っている。試しに、アメリカにおけるユダヤ人・ユダヤ系アメリカ人の合計は、イスラエルの総人口700万人に匹敵するとされている。更には、世界的な企業の創業者や経営者、アインシュタインを始めとする学者・知識人、キッシンジャー等の政治家、ハリソン・フォードなどの文化人、等々アメリカを代表する若しくはアメリカに大きな影響力を持つ人も少なくない。トランプ大統領の長女も夫の影響を受けてユダヤ教に改宗したことは良く知られている。
 今回の衝突拡大は、バイデン大統領の外交力の欠如と軍事オプション選択に及び腰であることを、イスラエル・ハマス(支援国)の双方が見切った結果であると思っている。トランプ氏は、在イスラエル大使館のエルサレム移転やゴラン高原の占領地にイスラエルの主権を認める等イスラエル支援を明確にして「イスラエル有き」を前提にした中東和平を推進したが、ハマスもアメリカの強力な支援を得たイスラエルと事を構えることの不利から、和平交渉の席に着くとともに和平案に合意し一時的ではあろうが小康状態を維持してきた。しかしながら、バイデン大統領はイスラエル支援を表明したものの、多国間協議を重視するとして中東から一歩退く姿勢を見せるとともに5か月間もイスラエル大使を任命できないという不手際が双方の疑心暗鬼を招いたと思っている。

 トランプ氏のトップ・ダウン指揮を嫌う人々は調整型のバイデン氏登場に諸手を挙げて歓迎したが、今回の中東衝突を観る限りバイデン外交は緒線で破綻しかかっている。日本でも一部の人は同盟重視のバイデン氏登場でアメリカと対話の可能性が高まったとするが、何のことは無い「同盟重視は、敵対勢力との紛争からアメリカは一歩後退するので穴埋めは皆様でよろしく」に他ならず、中国との経済交流や尖閣諸島防衛には今まで以上の負担が要求されることになると思っている。
 今回の中東での衝突を他山の石として、力での現状変更を求める国に対して、対話による矯正・共生など空理・空論であることを、日本人も実感すべきであるように思う。
 日本も、イスラエル型「隠れ核保有国」となるべき時代を迎えつつあるのではないだろうか。


ワクチン狂奏曲と改憲

2021年05月14日 | コロナ

 ワクチン接種に関するあれこれがメディアで報じられている。

 報道されているところでは、自治体の首長や幹部が、キャンセル分や医療従事者分を優先的に流用接種した事例、地域経済の担い手が優先接種を自治体に強要した事例等である。
 該当者は一様に、それぞれの行為が適法であるとしているが道義的には「泥棒にも三分の理」としか見受けられないように思える。
 不正を思わせるワクチン優先接種は各国で起きており、途上国以外の欧米先進国からも幾多の事例が伝えられていることから、不正接種は洋の東西・理性の優劣・文化の成熟度・国民の監視(報道の自由)度とは反比例しないもののようで、人間の生への執着の一端を見せられた思いがする。
 日本の場合も、中国コロナの感染拡大やワクチンの入手量を考えれば、当初から危惧していたことが予想通り起きたもので殊更に騒ぐことでもないように思えるが、そこには日本独自の「法読み替えによる拡大解釈容認」という要因が働いているように思える。その先鞭をつけたのが憲法規定の武力は自衛力を意味しないと読み替えて自衛隊を保有したことで、その憲法読み替えの悪例は私学助成に引き継がれ、昨今では憲法に云う姓をジェンダーと読み替えて同性婚容認を要求、無償と定めた普通教育を大学まで含めると読み替えて大学教育の無償化を要求するという動きにまで拡大している。
 自衛隊(前身である保安隊・海上警備隊)の創設は、GHQの指示や朝鮮戦争という憲法改正論議の余裕がない時代・時期の苦肉の策であったが、何時しか苦肉の策は行政の妙手として大手を振ってまかり通ることとなった。行政府(政府・政権)が憲法を無視(読み替え)することは立法府(国会)軽視の最たるものであるが、立法府自身も憲法読み替えを立法の妙手として受け入れて好き勝手な法律を作る始末で、現行法律の違憲立法審査を右顧左眄しない法学者と言語学者が行えば、相当数の法律が憲法違反とされると思っている。
 報じられているワクチン接種割り込み者の牽強付会の強弁を聴くと、法の読み替えによる拡大解釈風潮が次第に伝播して国民の共通認識となったかの感がある。

 一部の不心得者によるワクチン接種割り込み事案を記述する心算が憲法改正にまで飛躍してしまったが、聖書やコーランという絶対的規範を持たない日本では、民族統一の唯一の拠り所である憲法を整え直す必要があると思っている。今回のパンデミックを機に、現行憲法の脆弱性を改正しなければならないという意見を持つ議員が増えたようにも報じられているが、彼等が危惧する箇所は緊急時の登院数規定であり、衆院の任期規定であるとされる。
 なにはともあれ、これまで神国アメリカから下賜された聖典・預言・金科玉条とされて来た憲法を改正しようとする気運・機運は、コロナ終息後にも持ち続けて欲しいものである。まず、軽易な一章・一節・一条・一項を改正して、憲法改正は大事(オオゴト)ではないことを国民が理解することから着手するとすれば、非常時の登院数規定などは適当であるかもしれない。


バイデン大統領の中朝戦略

2021年05月13日 | アメリカ

 アメリカが人道支援として北朝鮮にコロナワクチンを提供する可能性が報じられた。

 アメリカは、ワクチン提供を北朝鮮との対話再開の糸口としたい思惑があると観られているが、政権内部からも否定の声がないことから信憑性は相当に高いものと思う。
 バイデン政権は、選挙期間を通じてトランプ政権の対中強硬路線を継承することを公約していたが、就任後には同盟国と連合しての対中戦略に変質し、対中包囲網の弱い部分、例えば韓国・日本を中国が個別に攻略できる余地を与えたと思っている。更には大統領報道官がクリントン・オバマ政権の失敗例とされる「戦略的忍耐」を口にする等、明らかにトーンダウンしていた。
 今回のワクチン提供は、1994年にクリントン大統領主導で北朝鮮の核開発放棄の代償として軽水炉原子炉を与えたことの再現であり、クリントン・オバマ・バイデンと看板は変われど、民主党の容共姿勢は不変であるように思える。
 民主党は歴史的に内政重視を党是としており、アメリカ本土が直接攻撃されない限り単独での軍事行動はとらない傾向がある。ケネディはアメリカの裏庭に核兵器が配備される懸念から対キューバ強硬政策を採った。フランクリン・ルーズベルトは、日本に真珠湾を攻撃させて開戦の大義としたものの、将兵の犠牲が余りにも大きいことからヤルタ・ポツダム会談では、対日参戦の代償としてポーランドを始めとする東欧諸国をソ連が実質的に支配することを容認した。民主党政権下で起きた朝鮮戦争やベトナムへの本格介入は、ルーズベルトの容共路線失敗経験とマッカーシーの赤狩りが国民の支持を得ていた時代背景を考えると、必然的ではあるが消極的な参戦であるように思える。

 ルーズベルト大統領の容共戦略が、以後のソ連の伸長、東西冷戦と米ソ代理戦争の激化を招き、挙句の果てには米ソ双方が疲弊して世界秩序の崩壊と混乱の原因であったことは明らかである。
 ソ連に代わって、ソ連以上に言葉の通じない中国が台頭している現在、アメリカの腰砕けは将来に良い結果をもたらすとは思えない。ソ連は第3国に対して軍事技術以外に供与できる資産は無かったが、中国は、窃取した先進技術とサプライチエーンの中心として欧米から流れ込む豊富な資金力があるので、米中冷戦の勝者は中国となり兼ねない。現在の状況は、自分の上に落ちて来るかも知れない「核弾頭」「長征5号B」「天和」「神舟」を西側諸国自身が中国に買い与えている構造に他ならない。
 アメリカの北朝鮮支援で喜ぶのは、国連決議違反という手を汚さずに北朝鮮支援を実現した中国と、レイムダック状態の文大統領ではないだろうか。