もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

民兵を考える

2022年02月18日 | 軍事

 ウクライナの民兵育成の一端を知った。

 報道によれば、ウクライナではロシアのクリミヤ半島併合を機に軍が民間志願者に射撃や救護などを指導する「民兵育成」の取り組みが行わており、今回のロシア侵攻危機に際してこれまで以上のペースで民兵が拡大している模様である。
 第二次大戦の欧州各地のパルチザンや初期ベトコンにみられるように、一般的に民兵は後方支援やインフラ警護を主な任務とし正規軍の戦闘に直接加わることは少ないが、不幸にして占領地となった場合にはゲリラとなって粘り強い抵抗を維持し、「敵兵が安心して街を歩けない」状態を作り出して正規軍の反抗や友軍の来援を待つことであるように思う。
 民兵が存在するためには、多くの要素が不可欠と思うが、その中でも「①国民の戦意が高く、志願者がいること」と「②相応の武器・弾薬を持つこと」が挙げられるが、何よりも「③志願者が武器を取り扱えること」が最も重要であるように思う。
 では、尖閣有事が拡大して、中国軍が日本本土騒擾を画策した場合、日本で自発的な民兵が生まれるのだろうかと考えてみた。
 ①については、戦後の平和教育で牙を抜かれて非戦主義に陥っているとともに体力的に考えて50代以上には期待できないものの、香港・台湾の青年にみられるように30代以下で、明日の日本を憂うる人からの志願は多いと思う。
 ②については困難であるように思う。日本民兵の中核は陸海空の予備自衛官、陸自の即応予備自衛官にならざるを得ないが、彼らに対しては武器・弾薬を供給し得たとしても、一般国民に武器を持たせないという太閤刀狩の伝統からの忌避感は大きいと思う。加えて、隊員数以上の予備小銃や年間射耗量以上の保管弾薬を無駄遣いとする会計検査のこれまで、小銃生産企業(豊和工業)の生産能力を考えれば急速な拡充は出来ないように思える。
 ③については更に絶望的で、自衛隊OB以外で小銃を撃った経験を持つ人は極めて少ないと思う。射撃経験の多い警察と海保のOBについても経験の多くが拳銃であり、幾ばくかの教育訓練が必要である。
 以上のことから日本民兵の現状は、「抵抗したいにも武器がない」「武器はあっても撃ち方を知らない」ではないだろうか。

 民兵、武装勢力、ゲリラ・・・、状況に応じて多くの表現がなされるが、それらの多くを日本では「無法者」若しくは「法治の敵」と捉えるのが一般的である。しかしながら、ウクライナの現状に接すると、「首都キエフを3日で蹂躙できる」と広言する無法者に立ち向かうためには、国民が民兵となって抵抗することは避けて通れないものであるように思える。
 日本でも、武器操法に熟達して国民、救急治療に応じえる少壮国民、すなわち「民兵」を養成し・増やす努力を始めるべきではないだろうか。加えて、戦時所要に応じ得る火器・弾薬の備蓄を当然とする会計容認も併せて願うところである。


国会議員の免責特権に思う

2022年02月17日 | 与党

 産経新聞で、国会議員の発言に関する免責についての論を読んだ。

 論の背景・経緯は15日の衆院予算員会の公聴会で、公述人の原英史氏が自分の経験を例に「議員の国会において故無き誹謗中傷が免責される」ことに疑問を呈したことを論拠として展開されている。
 自分では「そう云えば原氏を巡る攻防があったなァ」としか覚えていないので、産経の伝える概要を転記すると。
 令和元年6月に毎日新聞が「原氏が戦略特区提案者から200万円の指導料と会食の接待を受けた」と顔写真付きで報じたが原氏は完全否定した。報道を受けて野党は、2日後に「野党合同ヒアリング」を立ち上げて10月までに10回のヒアリングを、国会では立憲民主党の森裕子議員が予算委員会で「国家公務員だったら斡旋収賄罪に当たる」と糾弾し、SNSでは同党の篠原孝議員が同等の批判をブログに展開した。
 一連の動きに対して、篠原議員には賠償命令が下されて、司法の場では原氏の正当性が認められているが、森議員の誹謗中傷は国会内での発言であったことから憲法の規定する免責特権に守られて今も真実然と議事録に残されている。
 原氏は公述人として、誤報・捏造報道を引用しての国会内発言については議員でない被害者には議場での反論機会もなく議事録訂正の方法が無いことから将来とも真実として残るので、「憲法改正を含め議員の免責特権の乱用について国会での議論が必要」と結んだとされている。
 こうした事実を時系列に並べると、また、モリ・カケ・サクラ時の週刊誌の読み聞かせを思い出すと、議員の免責特権には限界を設ける必要があるように思える。憲法制定時にあっては「議員は選良で一般人を超える品性と節度を持つ」ことが常識であったものであろうが、野にいる辻元清美氏やケンカ屋と評される西村智奈美幹事長の発言を眺めると、井戸端会議・居酒屋談義レベルの品性しか持たない議員に過剰な免責を与えることは分不相応と見るべきにも思える。

 今回の公述に対して共産党が「予算員会は予算質疑の場であり、予算以外の公述は相応しくない」と援護射撃したとされるが、「何でもアリ委員会」の実情を知っている我々にとっては、この”贔屓の引き倒し”が「立共閣外協力」の本質かに思える。
 2006年に起きた偽メール事件を思い出す。
 民主党の衆議院議員であった永田寿康氏が、出所不明の「武部自民党幹事長に多額の金銭を送ったという堀江貴文氏のメール」を手に政府を追及したが、メールが偽造であったことが判明して永田氏は議員辞職・民主党執行部は総退陣に追い込まれた。これは早期にメールの真偽が明らかとなったために永田氏の切腹で決着したが、真偽定かではない雑誌情報を基にしたモリ・カケ質疑は多くの人を「灰色」とする風評被害を今に残している。


F15戦闘機の救難に思う

2022年02月15日 | 自衛隊

 航空自衛隊小松基地所属のF15戦闘機墜落事故で殉職した操縦員2名(1佐・1尉)が帰還したが、殉職した隊員に心からの哀悼を捧げる。

 事故は、1月31日の夕刻、基地離陸直後に基地の西北西5㎞に墜落したものであるが、操縦員はブルーインパルスにも選抜されるほどの技量であったことから突発的な故障であろうとされている。
 遺体捜索には海自と海保の艦艇・航空機が当たったとされるが、海自兵力の詳細は明らかでないもののネット上の写真等を見るとヘリ空母型護衛艦「ひゅうが」と潜水艦救難母艦「ちよだ」であるよう思える。
 今回の事故では、墜落地点がほぼ特定されていることから、捜索には直ちに「ちよだ」の深海潜水員を投入したことで早期の機体発見と遺体収容ができたものと思うが、自分が経験した一時代前の航空機救難について書いてみたい。
 昭和50年代中頃、海自ヘリコプターが美保関北方で墜落し、搭乗員の一部は脱出・救助されたものの正副操縦士は機体とともに行方不明となった。
 自分が乗っていた掃海艇は半月に及ぶ「むつ湾掃海特別訓練」を終えて舞鶴帰投中であり、墜落の一報と機体捜索参加の命令は能登半島沖で受けた。舞鶴入港後に燃料や糧食を緊急補給して、直ちに墜落海面に急行したが海域到着はヘリ墜落から4日後であった。海域到着後に機雷探知機による機体発見に努めたが、乗り組んでいた掃海艇の機雷探知機は旧式で物体の識別能力も低く、加えて現場海域の水深は150mと探知能力の限界に近かった。位置極限の方法は「クラスター法」といって墜落予想地点を含む海域を規則的に走行して、探知機が「何かある」と複数回反応した箇所を候補地点(クラスター)とする前時代的なものであった。5日程の努力の結果複数個所のクラスターを作成したものの識別は不可能であったが、漸くに呉・横須賀基地から最新鋭掃海艇が到着して識別した結果、墜落ヘリコプタの位置を示す浮標を設標できたのは、墜落から半月以上も経っていた。
 遺体の引き上げについても、当時の海自には深海潜水の技術・装備がなかったので、民間船「ネリウス」のダイバーが2名の頭部を収容し得たのは、墜落から2か月近くも経過していた。

 今回の事故と往時の事故の事後対応を比べると隔世の感に打たれる。
 今回の報道では、30年近いF15戦闘機の安全性と事故原因に関するものが殆どであるが、今回の救難・救助活動における装備や技術の向上にも目を向けて欲しいと願うところでる。なぜならば、これらの進化は、何時かは国民の不測の事態に対しても有効に機能することが期待できるからである。


高木美帆選手に拝礼

2022年02月14日 | カープ・スポーツ

 北京五輪のスケート500mで密やかに応援する(させて頂く)高木美帆選手が銀メダルを獲得した。

 高木選手は中距離の第一人者であったが、近年は500mや5000mにも参戦してオールラウンダーとしての評価が高まったものの、500mでは小平奈緒選手に次ぐ2番手と見られていた。
 高木美帆選手を密かに応援し始めたのは、2010年のバンクーバー五輪からである。
 バンクーバー五輪では日本スピードスケート史上最年少(15歳)で代表に選出されたが、1000m(35位・最下位)、1500m(32位)、団体パシュート(補欠)の成績に終わった。応援するきっかけとなったのは、パシュートで銀メダルを獲得したチームメートから補欠(練習相手)の功を労わられるかのように銀メダルを掛けて貰い、はにかむ映像に接したことである。天才少女と呼ばれながら大舞台では活躍できなかったが、必ずや大成されるであろうと祈った。
 しかしながら、2014年のソチ五輪は代表選考会で全ての種目が5位に終わり落選したが、その後の世界大会では徐々に力を発揮して中距離で好成績を残した
 2018年の平昌五輪では1500m銀メダル、1000m銅メダル、団体パシュートで金メダルを獲得し、同一大会で金を含む3個以上のメダル獲得したのは長野五輪の船木和喜選手以来20年ぶり2人目、夏冬を通じて女子で初めて1大会で金銀銅すべてのメダルを獲得する快挙を成し遂げた。
 そして今回。五輪初挑戦の3000mでは6位、大本命の1500mでは銀メダルに終わったが、得意とする1000mと予選で五輪新をマークした団体パシュートにもエントリーしていることから、さらなる成果を期待しているところである。

 勝手な想像で申し訳ないが、高木選手が大成された裏にはソチ五輪の代表落選という挫折があるのではないだろうか。いろいろな情報を眺めると代表落選を機に、師事コーチやトレーニング方法を一変させたことで体力・技術を磨き、挫折がメンタルを鍛え、天才少女からトップアスリートに変態を遂げたようにに思える。
 今回五輪では、日本選手団の主将にも補されていることから、彼女のリーダーシップにも一度の挫折を乗り越えた経験が生かされているのかもしれない。
 艱難辛苦を乗り越えてもはや玉となった高木選手の、残り試合と将来に限りないエールを送って終演。


EUへの液化天然ガス支援

2022年02月13日 | エネルギ

 日本が、ウクライナ情勢の緊迫化で天然ガスの調達に不安を抱える欧州に液化天然ガス(LNG)を融通することを決めたが、考えさせられることが多い。

 萩生田経産相によると、融通は3月分として数十万トン規模であり、LNGの国内備蓄は無いために日本企業の国内向けLNG運搬船数隻を欧州に回航させる方式とされる。経産相は、融通は米国の欧州支援要請に応えるものであるが、国内の必要量を確保した上での措置であり国内の電力・ガス供給に対する影響は限定的ともしている。日本の輸入量(令和2年度:763万㌧)から見れば融通規模はほぼ一月分で限定的ともいえるが、融通によるLNG取引市場価格の上昇等、将来的には電気・ガス料金に影響する可能性も取り沙汰されているが、自分的には対ロ対策として止むを得ないと考えている。
 欧州の天然ガス危機は、ウクライナに対するEUの姿勢に不満のロシアが恫喝手段としてLNGパイプラインを通しての供給量を6割程度に絞ったことによって顕在化したものであるが、特にドイツが最も大きな影響を受けているとされる。
 ドイツは全電力の半分近くを再生可能エネルギーに置き換えた環境先進国で、再生エネの補完電力もLNG火力発電としており、国内6基の原発は既に3基が稼働を停止し残る3基も年内に稼働停止させる予定となっていた。さらに、EUが再生エネの補完をガス火力+原発としたことにも反発していたが、肝心のガス火力の死命をロシアが握っているという現実に直面して西側諸国の支援を仰がなければならない事態となった。
 今回の列国の支援に対してもドイツが即座に受け入れ可能かどうかも疑問で、一旦パイプライン需給を原則として整備された精製・輸送のインフラが、海上輸送に即応できるとは思えないので、列国の支援が効果を発揮するまでには幾許かの時間が必要であるのではないだろうか。そうであれば、市民は厳しい冬をいかにして過ごすことになるのだろうか。

 日本を見ても、ドイツを手本として脱原発を金科玉条とする政党・環境団体が存在するが、現在のドイツと同様な事態、すなわち補完電量の動力や燃料の調達を考慮しての主張ではないだろうと思っている。
 メディアやメディアに登場する識者の主張を見ても、ガス融通の事実を他人事と伝えるのみで、他山の石として警鐘を鳴らすものは見当たらないが、サプライチェーンの一角が恣意的に需給統制することの危険性を考える格好の事象に思える。