ゴエモンのつぶやき

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障害者向け駐車 スペースに『利用証』 県が交付/栃木県

2008年09月02日 23時57分56秒 | 障害者の自立
 障害者らを利用対象とした駐車スペースの利便性を向上させるため、県は一日、障害者らに専用の「利用証」の交付を始めた。県によると、同様の取り組みは、県レベルでは全国で五例目、関東地方では初めてという。

 「健常者が障害者用の駐車スペースを使っている」といった苦情があり、本来利用すべき人をはっきりさせるために企画した。

 身体障害者や難病患者、妊婦など希望者は、県庁や各自治体の窓口で障害者手帳や母子手帳を見せると、無料で利用証がもらえる。駐車時には車外から見やすい場所に置くことで“適正利用”を周囲にアピール。不所持のドライバーが駐車しても罰則はないが、担当者は不適切な利用の抑止効果はあるとみる。

 交付に併せて県内の公共施設など二百二十五カ所では、駐車場の一部のスペースに、利用証の所持者が駐車対象であることを知らせるステッカーを張り出す。

 一日に県庁で行われた交付式では、福田富一知事から特定非営利活動法人「県車椅子(いす)の会」の会長の村上八郎さん(62)らが利用証を受け取った。村上さんは約二十年間、車いすを使っており「外出しやすくなると思う。この事業をきっかけに、一人一人の意識が変われば」などと期待を寄せた。

重度身体障害者の支援…「自立」に介護不足の壁

2008年09月02日 23時54分48秒 | 障害者の自立
 重い障害を持った人が、自宅で生活しながら社会参加を目指すケースが増えている。2006年度に施行された障害者自立支援法でも、必要な支援を行うことがうたわれているが、理念通りには進んでいない。

介護移住

 高校時代、柔道のけいこで頸髄(けいずい)を損傷した木下昌(あきら)さん(21)は、今年4月、東京・目黒区のアパートで母親と暮らし始めた。首から下が動かず、人工呼吸器を付けている。ヘルパーによる訪問介護と母親の介護を受けながら、大学進学を目指して勉強している。

 受験勉強は、静岡県掛川市内の実家でするつもりだった。だが、夜間の介護を家族が引き受けることにして、昼間の介護に1日12時間の訪問介護を市に打診したものの、6時間程度しか認められそうにない。たとえ認められても、市内に必要なサービスを提供できる事業所がないことも分かった。

 自宅で自立した生活を送るには、長時間の介護が認められやすく、サービス事業所が多い都市部に行くしかないと思った。東京都内への引っ越しを決意し、最終的に、支援団体の拠点に近い目黒区を選んだ。

 引っ越しに先立ち、昨年秋ごろ、同区に対して24時間の訪問介護を打診したが、認められたのは17時間だけ。これだけでは自立は無理なことから、母親も一緒に上京し、毎夜、呼吸器の管理や尿のチェックなどをすることになった。

 その後も、脊髄(せきずい)損傷者の支援団体「日本せきずい基金」の支援を受けながら区側と交渉を続け、24時間の支給の実現を目指している。

 木下さんは、「こんなに時間がかかるようでは、障害者にとって負担が大きい」と話す。

 和歌山市の石田雅俊さん(40)は、ヘルパーの介護を受けながら一人暮らしをしている。生まれつきの脳性まひで首から下が動かず、生活全般に介護が必要だ。昨年10月、訪問介護が月約100時間も減らされ、377時間に。市との交渉が決裂し、今年5月、訴訟を起こした石田さんは「地域社会で暮らすという当たり前の権利を認めてほしい」と訴える。

地域格差

 自立支援法は、障害者が自ら選択した場所に住み、自立した社会生活を営めるよう、市町村は必要な介護などを給付する責務があると明記している。

 介護の必要度には全国基準があるが、実際の給付は、市町村によってばらつきがある。特に、入浴やトイレ、外出時の介助など、ヘルパーから3時間以上の支援が受けられる「重度訪問介護」は、多額の費用がかかり、給付に消極的になりがちだ。

 サービス提供費用は、原則、9割が公費で賄われ、国が2分の1、都道府県と市町村は4分の1ずつの負担。24時間介護の場合、外出・夜間などの加算も含め、公費だけで1人年間約1800万円が必要で、市町村の負担は約450万円、国の負担は、本来ならば2分の1の約900万円になる。

 だが、介護の必要度によって基準額があり、実際に国から支給されるのは、最重度で一律約355万円。1日6時間分に過ぎず、これを超える長時間の利用者が多いと、市町村の持ち出しになることもある。

 重度訪問介護の利用者は、全国で約7000人に上る。日本せきずい基金によると、1日20時間以上の利用者がいる自治体は、基金が把握しているだけで88市区町にとどまっている。

 全国脊髄損傷者連合会など関係団体は、小さな自治体で24時間の利用者が現れても困らないよう、都道府県単位で費用負担を調整する仕組みを厚労省に提案している。大浜真副理事長は「今の仕組みだと、長時間介護を必要とする人は住みたい所に住めない」と話す。

サービス不在
 サービスが見つかりにくい状況も全国に広がっている。事業所が多いとされる都内ですら、ヘルパー派遣を80事業所に依頼し、すべて断られたケースもあった。

 多くの事業所が、厚労省が設定する重度訪問介護の報酬単価が安いことを理由に挙げる。利用者が最重度でも、日中で1時間平均1665円。介護保険の訪問介護(身体介護中心で4020円)に比べてかなり安い。

 事業者団体である全国自立生活センター協議会の中西正司代表は、「今の利用者にヘルパーを派遣するので精いっぱい。社会参加する重度障害者は、ほとんど増えていない」と明かすが、報酬単価の引き上げは、費用の増額につながるという問題もある。

 必要な介護が給付されず、当然の社会参加ができないのは、障害者本人だけでなく、社会にとってもマイナスだ。国は費用の確保に責任を持つべきだ。

欧米 専属ケアで権利保障
 欧米では、障害者が自立生活を送る権利を保障する制度が整備されており、参考になる点が多い。

 スウェーデンでは、障害者一人ひとりの心身の状態に応じたパーソナルアシスタントと呼ばれる専属の介護者が付く。費用は原則として市が賄うが、週20時間を超える場合は国が支出。市に過度な財政負担がかからないよう配慮されている。

 米カリフォルニア州では、重度の障害者は、専属介護者を1日最大9時間利用できるほか、必要に応じて追加的な介護・看護、夜間の緊急訪問などもあり、自立生活が送れるようになっている。専属の介護者制度は、英国やカナダにもある。

 このほか、米国には「障害のあるアメリカ人法(ADA)」という障害者差別禁止法があり、バリアフリー(障壁除去)が行き届いている。このため、介助なしでも車いすなどで移動できる場合が多い。同様の法律は、英国などにもある。

[プラスα] 社会参加の権利 条約にも
 重い障害があっても、地域で暮らし、社会参加する権利があることは、国連の障害者権利条約にもうたわれている。

 同条約は、障害者の基本的人権や尊厳の保護、促進を目的に、06年12月に国連総会で採択され、今年5月3日に発効した。前文と50条からなり、「教育」「労働・雇用」など項目別に、障害者への差別禁止を定めている。

 差別する気はなくても、「合理的な配慮」に欠け、実質的に権利を侵害する場合も差別と見なす。例えば、店の入り口に階段があり、車いすで入店できない場合、店主が入店を拒んでいなくても差別とみなされる。店はスロープを設置するなどの配慮をしなければならない。

 条約の批准国は、国内の法制度を整備し、差別を撤廃することが求められる。既に三十数か国が批准しており、日本政府も現在、批准に向け、障害者団体と協議を進めている。

3つの提案費用負担は都道府県単位で調整

重度訪問介護の報酬引き上げを

地域生活の権利、公的支援で保障