ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

(下)能力生かせる 就労環境作り

2008年09月17日 16時40分27秒 | 障害者の自立
広がる支援プログラム 人材育成など課題

 大人の発達障害者の自立を支えるカギとなるのが就労だ。従来の障害者支援に加え、発達障害の特性に応じたサポートも始まっているが、実際に就職にまでこぎ着けるケースは、まだ少ない。(


 巨大な倉庫が集まる千葉・浦安の臨海地域にある新晃(本社・千葉県船橋市)の浦安営業所。大手コンビニチェーンの約600店舗への商品の仕分けや配送を行っている。

 パート従業員の小田陽子さん(仮名、32歳)が、大きな台車を押しながら、菓子の箱が積まれた棚の間を進んできた。送り先の店舗ごとに、商品を1台の台車にまとめるのが仕事だ。手元のシールに書かれた品番に従って、商品の箱を棚から取り、台車に載せていく。

 小田さんは、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と学習障害(LD)があり、人とのコミュニケーションがうまくとれない。計算や字を書くのが苦手だが、読書は好きで、司馬遼太郎や陳舜臣の歴史小説をよく読むという。

 高校を出て、親せきの紹介で生花店に勤めたが、代金の計算ができず、1か月で退職。その後、地元の商店などの面接を何度も受けたが、採用されることはなかった。

働ける喜び
 26歳の時、精神科を受診して、発達障害があることがわかった。2006年11月から約3か月間、障害者職業総合センター(千葉市)で、発達障害者のために開発された就労支援プログラムを受講。仕事の手順を分かりやすく記したマニュアルの作り方や、分からないことがある時の質問の仕方などを学んだ。ストレスを和らげるストレッチなど、パニック防止に役立つ自己コントロール法も教わった。

 以前から通っていた福祉作業所の職員や、千葉障害者職業センターなどの支援で、新晃の面接を受け、採用された。2週間の実習期間中は、同センターなどの「ジョブコーチ」と呼ばれる指導者が、一緒に通勤経路を確認したり、仕事の手順で理解しづらい点を分かりやすく説明したりと、常に寄り添ってサポートした。

 小田さんが働く浦安営業所の山中正浩所長は、「これまでの経歴を細かく記した履歴書をもらっていたし、あらかじめ、障害の特性を詳しく説明されていたので、不安なく受け入れることができた」と話す。

 十数年ぶりに仕事に就いた小田さんは、「採用試験に落ち続けて、何もかも嫌になった時もあった。いろいろな人に支えられて働けるようになり、本当にうれしい」と喜ぶ。

雇用の壁
 小田さんが障害者職業総合センターで受けた発達障害者のための就労支援プログラムは、昨年度から東京と大阪、今年度から滋賀と沖縄の障害者職業センターでも実施されている。今後、全国の障害者職業センターに広げることが検討されている。

 発達障害者のためのプログラムと、従来の障害者就労支援を併用し、就労を目指すことが可能になったが、実際に採用にまでつながるケースはまだ少ない。昨年度、全国のハローワークの紹介で就職した障害者延べ4万5565人の大多数が、身体、知的、精神の障害を持つ。発達障害を含む「その他」は、近年急速に伸びてはいるものの、全体のわずか0・8%だ。「発達障害のことがまだ雇用側によく知られていないことが大きい」(障害者職業総合センター)ためとみられる。

 宇都宮大学の梅永雄二教授(発達障害臨床心理学)は、「発達障害者の中には、IQ(知能指数)が高かったり、特定分野の専門知識を持っていたりするなど、高い能力を示す人も少なくない。障害の特性に配慮しながら、本人の能力を生かす支援ができる人材の育成が重要だ」と話している。

東近江の古民家に「自立の店」 障害者の就労実習を支援

2008年09月17日 12時28分31秒 | 障害者の自立
 近江商人屋敷や古民家が並ぶ東近江市五個荘金堂町の一角で、知的障害者の就労、職場実習を兼ねた「うどんと喫茶の店 いっぺき」が23日から営業を始める。17日から3日間は、関係者への披露と店員の練習を兼ねプレオープンする。

 管理運営は県社会福祉事業団「クリエートプラザ東近江」(東近江市躰光寺町)。障害者の就労支援や生活介護、共同生活援助など多機能型事業所として今年4月開設し、地域の中で障害のある人の自立を支援したい-と同店をつくった。

 店は国が選定した重要伝統的建造物群保存地区内の近江商人屋敷「外村繁邸」の前にある。昭和初期の古民家を改修して20席を用意した。

 うどんは自家製めんを使用。きつねうどん(500円)野菜たっぷりうどん(650円)カレーうどん(同)とコーヒー(300円)など。

 店長の中村秀幸さん(37)は「地元の人にまず理解してもらい、地域の方たちと一緒に店づくりをしたい。障害者2人はフロア係と厨房(ちゅうぼう)で働いてもらいます。ここを自立へのステップにしてほしい」と話す。

 営業は水曜から日曜の午前11-午後3時。問い合わせは、いっぺき=電0748(48)7210=へ。

医療費、施設入所前の居住市町負担

2008年09月17日 12時27分01秒 | 障害者の自立
 滋賀県は障害者の福祉医療費を負担する市町間のバランスを図るため、入所施設がある市町ではなく、障害者が入所前に住んでいた市町が医療費を負担する特例制度を、来年8月から導入する方針をこのほど各市町に伝えた。導入すれば負担が増える市町もあり、「ただでさえ財政が厳しいのに…」と戸惑いの声も上がっている。

 福祉医療費は、医療費を都道府県と市町村が折半する。現行制度では、障害者入所施設数が多い市町ほど医療費負担が多い。施設がある県内市町は10市2町。湖南市は5施設と最も多く、他市町よりも負担が大きい。

 特例制度は、入所者が以前に住んでいた市町が負担することで、負担額の均衡を図る狙い。県は「障害者入所施設は所在地が一部の市町に固まっており、現行のままでは公平でない」としている。

 一方、特例制度の導入で負担が増えるとみられる西浅井町は「財政は厳しいが、県がそうするというなら仕方ない」、米原市も「財政支出がいくら必要かは分からないが、県に準じるしかない」としている。