◇目指せホールインワン
◇ホールポストに入れるだけ、マイペースのグラウンドゴルフ
ゴルフと聞くと、お金がかかる、時間がかかる、移動距離が長い……と障害のある人々にとって、敷居が高いスポーツのように思える。「それでも、ゴルフが好き」。そんな人たちが、気軽に打ち込めるのが「グラウンドゴルフ」だ。
グラウンドゴルフは、専用のクラブ、ボール、ホールポストを使ったゴルフで、ボールを打ってホールポストに入れるという、分かりやすく、気楽に始められるスポーツ。
1ゲーム8ホール。と言っても、だだっ広いゴルフ場を必死で移動するわけではない。規定はないが、1ホール数十メートル程度。個人差はあるが3~6打くらいで、ホールポストに入れることができる。
「アイアン倶楽部」は毎月2回、グラウンドゴルフを実施しているグループ。メンバーには、車椅子の人、つえが必要な人、クラブを握れない人……いろんな障害を持つ人がいる。そんなメンバーたちにとって、参加しやすい練習場となっているのが、主に夏場に使用している高松市国分寺町の屋内ゲートボール場だ。風雨防止のほか、平らな地面で車椅子も移動がしやすい。
毎月第3金曜日には、チーム内で記録会がある。参加費は300円。成績上位者には、洗剤やティッシュペーパーなどささやかな景品が渡され、和やかな「表彰式」もある。
独自で記録会を開くのは理由がある。
古屋輝彦代表(65)によると、グラウンドゴルフは、健常者の間にも普及し多くの大会が開かれているが、障害者だけの大会はまだないという。トイレや芝生の移動、階段の昇降……。気楽なスポーツとはいえ、障害を持つ人にとって、一般の人たちと一緒に行動するのはなかなか難しい。健常者なら30分程度で回れるホールも、「アイアン倶楽部」のメンバーたちは約1時間かかることもあり、一般の大会参加は見合わせているのだという。「いつか障害者だけの大会を開催したい」と思いながら、現在は、記録会を通して技術の向上を目指している。
メンバーには、もともとゴルフ好きな人も多い。約15年前に脳こうそくで右半身がまひした状態になったという上村一さん(78)は「ゴルフは若いころから大好きで、元気な時はコースにも出ていました」と胸を張る。「リハビリを兼ねてグラウンドゴルフを始めたけれど、友達ができていつも練習が楽しみ。健康第一で続けます」
主婦の岩瀬恵子さん(61)は、電動車椅子での参加。「個人競技なので、失敗しても気兼ねなく参加できるのがいいですね。右手がまひしているので、左打ちです。一番短いクラブを使っています」と「マイクラブ」を見せてくれた。仕事中の転落事故で脊髄(せきずい)を損傷した多田羅節也さん(77)は「だんだんうまくなるのが、自分で分かるのがいいですね」とうれしそうに話した。
「惜しい」「入った」「強過ぎるよ!」。ゲーム中には仲間たちのゲキが飛ぶ。ホールインワンのプレーヤーは思わずガッツポーズ。仲間の笑顔がはじける「マイペースのゴルフ」だ。【矢島弓枝】
◇自分で動いて健康になろう--古屋輝彦代表(65)
会社員のころゴルフをやっていたので、「またやってみようかな」と気楽に参加したのが、グラウンドゴルフを始めたきっかけです。
私は約20年前、原因不明の病気で左手がしびれてきました。今は両手両足がまひしている状態です。グラウンドゴルフに使うクラブも、しっかり握ることができません。それで、私は包帯で右腕にクラブを巻き付けて、参加しています。工夫次第で、皆と一緒にスポーツはできるんです。
このチームには、高松市、丸亀市、多度津町など県内各地から、メンバーが集まっています。障害があるからといって、部屋に閉じこもっていたら、ますます体が悪くなる気がしませんか? だから、私はできる限り外に出て、人と交流をしています。
国の政策が次々と変わって、障害者にとって厳しい時代です。だからこそ、自分で動いて健康になりましょう。一緒にプレーする仲間を募集しています。
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◆グラウンドゴルフ◆
一般のゴルフと同じように、ボールをクラブで打って、ホールポストに入るまでの打数を競うスポーツ。クラブやボール、ホールポストなどはグラウンドゴルフ専用を使う。ホールポストは、一般のゴルフのように穴があいているのではなく、地面の上に設置する円形のもの。そのため、運動場や芝生など、いろんな場所ですぐにコースを作ることができる。高度な技術がなくても参加できるため、子どもからお年寄りまで幅広い年代に浸透しつつある。
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◇アイアン倶楽部◇
06年10月発足。活動は、毎月第2、3金曜日、午後1~4時。第3金曜日は記録会。場所は、高松市国分寺町新名の市国分寺町橘ノ丘総合運動公園・屋内ゲートボール場、もしくは、高松市田村町のかがわ総合リハビリテーションセンター(要問い合わせ)。メンバーは約30人。障害の有無にかかわらず入会可能。古屋代表(087・865・0430)。
◇ホールポストに入れるだけ、マイペースのグラウンドゴルフ
ゴルフと聞くと、お金がかかる、時間がかかる、移動距離が長い……と障害のある人々にとって、敷居が高いスポーツのように思える。「それでも、ゴルフが好き」。そんな人たちが、気軽に打ち込めるのが「グラウンドゴルフ」だ。
グラウンドゴルフは、専用のクラブ、ボール、ホールポストを使ったゴルフで、ボールを打ってホールポストに入れるという、分かりやすく、気楽に始められるスポーツ。
1ゲーム8ホール。と言っても、だだっ広いゴルフ場を必死で移動するわけではない。規定はないが、1ホール数十メートル程度。個人差はあるが3~6打くらいで、ホールポストに入れることができる。
「アイアン倶楽部」は毎月2回、グラウンドゴルフを実施しているグループ。メンバーには、車椅子の人、つえが必要な人、クラブを握れない人……いろんな障害を持つ人がいる。そんなメンバーたちにとって、参加しやすい練習場となっているのが、主に夏場に使用している高松市国分寺町の屋内ゲートボール場だ。風雨防止のほか、平らな地面で車椅子も移動がしやすい。
毎月第3金曜日には、チーム内で記録会がある。参加費は300円。成績上位者には、洗剤やティッシュペーパーなどささやかな景品が渡され、和やかな「表彰式」もある。
独自で記録会を開くのは理由がある。
古屋輝彦代表(65)によると、グラウンドゴルフは、健常者の間にも普及し多くの大会が開かれているが、障害者だけの大会はまだないという。トイレや芝生の移動、階段の昇降……。気楽なスポーツとはいえ、障害を持つ人にとって、一般の人たちと一緒に行動するのはなかなか難しい。健常者なら30分程度で回れるホールも、「アイアン倶楽部」のメンバーたちは約1時間かかることもあり、一般の大会参加は見合わせているのだという。「いつか障害者だけの大会を開催したい」と思いながら、現在は、記録会を通して技術の向上を目指している。
メンバーには、もともとゴルフ好きな人も多い。約15年前に脳こうそくで右半身がまひした状態になったという上村一さん(78)は「ゴルフは若いころから大好きで、元気な時はコースにも出ていました」と胸を張る。「リハビリを兼ねてグラウンドゴルフを始めたけれど、友達ができていつも練習が楽しみ。健康第一で続けます」
主婦の岩瀬恵子さん(61)は、電動車椅子での参加。「個人競技なので、失敗しても気兼ねなく参加できるのがいいですね。右手がまひしているので、左打ちです。一番短いクラブを使っています」と「マイクラブ」を見せてくれた。仕事中の転落事故で脊髄(せきずい)を損傷した多田羅節也さん(77)は「だんだんうまくなるのが、自分で分かるのがいいですね」とうれしそうに話した。
「惜しい」「入った」「強過ぎるよ!」。ゲーム中には仲間たちのゲキが飛ぶ。ホールインワンのプレーヤーは思わずガッツポーズ。仲間の笑顔がはじける「マイペースのゴルフ」だ。【矢島弓枝】
◇自分で動いて健康になろう--古屋輝彦代表(65)
会社員のころゴルフをやっていたので、「またやってみようかな」と気楽に参加したのが、グラウンドゴルフを始めたきっかけです。
私は約20年前、原因不明の病気で左手がしびれてきました。今は両手両足がまひしている状態です。グラウンドゴルフに使うクラブも、しっかり握ることができません。それで、私は包帯で右腕にクラブを巻き付けて、参加しています。工夫次第で、皆と一緒にスポーツはできるんです。
このチームには、高松市、丸亀市、多度津町など県内各地から、メンバーが集まっています。障害があるからといって、部屋に閉じこもっていたら、ますます体が悪くなる気がしませんか? だから、私はできる限り外に出て、人と交流をしています。
国の政策が次々と変わって、障害者にとって厳しい時代です。だからこそ、自分で動いて健康になりましょう。一緒にプレーする仲間を募集しています。
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◆グラウンドゴルフ◆
一般のゴルフと同じように、ボールをクラブで打って、ホールポストに入るまでの打数を競うスポーツ。クラブやボール、ホールポストなどはグラウンドゴルフ専用を使う。ホールポストは、一般のゴルフのように穴があいているのではなく、地面の上に設置する円形のもの。そのため、運動場や芝生など、いろんな場所ですぐにコースを作ることができる。高度な技術がなくても参加できるため、子どもからお年寄りまで幅広い年代に浸透しつつある。
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◇アイアン倶楽部◇
06年10月発足。活動は、毎月第2、3金曜日、午後1~4時。第3金曜日は記録会。場所は、高松市国分寺町新名の市国分寺町橘ノ丘総合運動公園・屋内ゲートボール場、もしくは、高松市田村町のかがわ総合リハビリテーションセンター(要問い合わせ)。メンバーは約30人。障害の有無にかかわらず入会可能。古屋代表(087・865・0430)。