やはり、新聞記事は字数の制限もあるし、なによりも速報性を目的としているから限界がある。最近の政治家のなかにもマスコミで報道しやすいように、ワンフレーズを話す人がいた。研究論文でもキーワードをつけることが当たり前になった。たしかに検索のときは便利だろうと思う。障害者(大阪府は「障がい者」と表記するが)雇用率未達成企業とは取引しないという見出しが先日の新聞をかざった。しかも総理府が「待った」をかけ、記事では慎重な姿勢でもあることが報じられた(読売新聞、2009年06月28日付け)。それに関連していくつかの文章を書いた(「2009.07.07 中央政府は障害者雇用に違反した企業を放置するのか?」と「2009.07.12 大阪府の雇用率未達成企業を排除方針案について中小企業を配慮すべきとの意見」)である。どちらも資料の現物を見ていない段階で新聞記事を頼りに書いたものである。大阪府の雇用関係を担当している人に聞いたところが、新聞記事はある一面を書いていると思うようになった。条例関係資料は2009年07月13日に大阪市内で行われた「平成21年度第1回大阪府・市町村就労支援事業推進協議会総会」の場で配布された。
■ 予算案で見る大阪府障害者雇用関係の構造
大阪府が定めようとしている取組みは重層的になっているので、よくわからないところがある。条例案は「大阪府障害者雇用促進条例(仮称)」という題名らしい。
しげしげと関係書類を見ると「法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」は大阪府の平成21年度(2009年度)予算案に盛り込まれている「障がい者雇用No.1に向けた企業の取組み促進事業(新規)」のなかに入っている(案の段階での予算額は5,398千円とある)。大阪府の障がい者雇用状況は民間企業の実雇用率が1.59%(全国30位)という。法定雇用率達成企業の割合が42.8%(全国43位)と低調だという。
大阪府の橋下知事が「障がい者雇用No.1」の実現を叫ぶが、この低さは変わらないという。そこで、平成21(2009)年度予算案で「障がい者雇用の取組み促進事業」を明確にしたものといえる。
■ 予算案の主な内容
障がい者雇用の取組み促進事業には2つの柱がある。その1つは「障がい者雇用誘導・支援事業」である。平成21年度(2009年度)の予算額は4,640千円となっている。その具体化の中に「法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」がある(先ほどの新聞記事はここを取り出したものと思われる)。
この「宣言」は平成21(2009)年10月を予定しているとなっている。大阪府議会に条例案が上程されるのは平成21(2009年)年09月だそうだ。さらに条例は平成22(2010)年の04月01日が施行時期となっている。
この内容を紹介するが「取引しません宣言」から予想されるような勇ましいものではない。総理府から慎重にというクレームがついたためだろうか。予算案は平成20年の秋に編成されたというから、少なくとも記事が公表された段階ではない。
■ 予算案に示された「取引しない宣言」の概要
その条例案の概要は、業務発注や補助金交付の相手方となる法定雇用率未達成の事業主に雇入れ計画の提出を義務づけるというものだ。雇入れ計画の達成に向けた取組みを行う事業主を人材紹介などによりサポートすることも規定されている。設置予定としては「障がい者雇用企業促進戦(仮称)」を「雇用推進室内」に置くことも予算案では示されている。
達成に向けた努力が見られない事業主に対し、改善勧告を経て事業主名等の公表を行うことが唯一の罰則のように読める。ただ、条例案の趣旨では「とりわけ、府(大阪府)が発注する調達契約又は補助金交付の相手方には、府税等の貴重な財源でまかなわれていることに鑑み、事務事業の誠実な執行はもとより、法定雇用率を速やかに達成するという高い法令遵守意識と取組みが強く求められる」とある。
未達成企業を放置することは認めないという大阪府の姿勢が見える。条例案にも「事業主の取組みの促進」として、同じような規定が盛り込まれるようだ。少なくとも大阪府が未達成企業に対して取引を拒否するというだけの条例案ではないように受け止めた。
■ 特例子会社の設立促進事業も予算化された
障がい者雇用の促進事業に盛り込まれた2つ目の柱は「特例子会社設立促進事業」でこちらは758千円である。障害者雇用促進法に規定されている障害者の雇用を特別に配慮した「特例子会社」を設立を促進しようとするものである。
大阪府内・大阪府外の企業に対して支援機関や制度などをアッピールして大阪府内で設立するように、積極的な働きかけを行うというものだそうだ。そのことによって、障害者雇用率を少しでも高くしたいという思いが伝わってくる。この特例子会社の設立支援についても、条例案には含まれている。
もっとも、条例案では大阪府自身も府の職員に率先して障害者を採用したいということも「基本的施策」のなかに盛り込まれている。大阪府が率先して障害者を雇用するのでなければ、民間企業は障害者雇用をやる気にならないだろう。ぜひ大阪府当局としても障害者雇用を民間企業に対して率先して行なってほしい。
■ 予算案で見る大阪府障害者雇用関係の構造
大阪府が定めようとしている取組みは重層的になっているので、よくわからないところがある。条例案は「大阪府障害者雇用促進条例(仮称)」という題名らしい。
しげしげと関係書類を見ると「法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」は大阪府の平成21年度(2009年度)予算案に盛り込まれている「障がい者雇用No.1に向けた企業の取組み促進事業(新規)」のなかに入っている(案の段階での予算額は5,398千円とある)。大阪府の障がい者雇用状況は民間企業の実雇用率が1.59%(全国30位)という。法定雇用率達成企業の割合が42.8%(全国43位)と低調だという。
大阪府の橋下知事が「障がい者雇用No.1」の実現を叫ぶが、この低さは変わらないという。そこで、平成21(2009)年度予算案で「障がい者雇用の取組み促進事業」を明確にしたものといえる。
■ 予算案の主な内容
障がい者雇用の取組み促進事業には2つの柱がある。その1つは「障がい者雇用誘導・支援事業」である。平成21年度(2009年度)の予算額は4,640千円となっている。その具体化の中に「法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」がある(先ほどの新聞記事はここを取り出したものと思われる)。
この「宣言」は平成21(2009)年10月を予定しているとなっている。大阪府議会に条例案が上程されるのは平成21(2009年)年09月だそうだ。さらに条例は平成22(2010)年の04月01日が施行時期となっている。
この内容を紹介するが「取引しません宣言」から予想されるような勇ましいものではない。総理府から慎重にというクレームがついたためだろうか。予算案は平成20年の秋に編成されたというから、少なくとも記事が公表された段階ではない。
■ 予算案に示された「取引しない宣言」の概要
その条例案の概要は、業務発注や補助金交付の相手方となる法定雇用率未達成の事業主に雇入れ計画の提出を義務づけるというものだ。雇入れ計画の達成に向けた取組みを行う事業主を人材紹介などによりサポートすることも規定されている。設置予定としては「障がい者雇用企業促進戦(仮称)」を「雇用推進室内」に置くことも予算案では示されている。
達成に向けた努力が見られない事業主に対し、改善勧告を経て事業主名等の公表を行うことが唯一の罰則のように読める。ただ、条例案の趣旨では「とりわけ、府(大阪府)が発注する調達契約又は補助金交付の相手方には、府税等の貴重な財源でまかなわれていることに鑑み、事務事業の誠実な執行はもとより、法定雇用率を速やかに達成するという高い法令遵守意識と取組みが強く求められる」とある。
未達成企業を放置することは認めないという大阪府の姿勢が見える。条例案にも「事業主の取組みの促進」として、同じような規定が盛り込まれるようだ。少なくとも大阪府が未達成企業に対して取引を拒否するというだけの条例案ではないように受け止めた。
■ 特例子会社の設立促進事業も予算化された
障がい者雇用の促進事業に盛り込まれた2つ目の柱は「特例子会社設立促進事業」でこちらは758千円である。障害者雇用促進法に規定されている障害者の雇用を特別に配慮した「特例子会社」を設立を促進しようとするものである。
大阪府内・大阪府外の企業に対して支援機関や制度などをアッピールして大阪府内で設立するように、積極的な働きかけを行うというものだそうだ。そのことによって、障害者雇用率を少しでも高くしたいという思いが伝わってくる。この特例子会社の設立支援についても、条例案には含まれている。
もっとも、条例案では大阪府自身も府の職員に率先して障害者を採用したいということも「基本的施策」のなかに盛り込まれている。大阪府が率先して障害者を雇用するのでなければ、民間企業は障害者雇用をやる気にならないだろう。ぜひ大阪府当局としても障害者雇用を民間企業に対して率先して行なってほしい。