ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

追跡・累犯:/1 揺れる「更生」/出所しても…(その2止)

2010年10月16日 02時29分02秒 | 障害者の自立
 ◇路上生活の経験多く

 法務省が再犯防止を重要政策に位置づける中、再犯が多数に上り、社会的支援の弱さが犯罪につながると指摘される知的障害者と65歳以上の高齢者について毎日新聞は再犯歴のある各10人ずつ計20人にインタビューした。罪に至った理由や刑務所出所後の支援状況を聞いたところ、大半が生活苦から再犯に及んでおり、10人が路上生活の経験を持っていた。

 刑務所出所者が一時的に身を寄せる民間の更生保護施設や福祉施設、非営利組織(NPO)などに協力を求め、取材に応じると答えた人から順に面会した。その際、取材に正確を期すため、施設職員ら支援者に立ち会ってもらった。

 主な罪名別では、窃盗が19人で、大半が食料品などの万引き。1人は詐欺。10回以上の服役経験があったのは4人で、最多は19回。窃盗罪の場合、過去10年で3度以上6月以上の懲役を受けると、常習累犯窃盗罪に問われ、窃盗罪より重い3年以上の懲役刑となる。このため、万引きの繰り返しで人生の半分以上を刑務所で送った高齢者もいた。

 また、服役後も身を寄せる場所がなく、再び路上生活に戻ったケースも目立った。前回の刑務所出所(または釈放)から再犯までの期間でみると、判明した18人のうち11人が6カ月未満。出所後の支援がなく、生活苦から再犯に走る実態が浮かんだ。【坂本高志、石川淳一】

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 ◇インタビューに応じた人たち◇
          入所回数 主な罪名     路上生活経験    主な発言

 【知的障害】

 (1)男性(45)   7 窃盗(置き引き)      無    お金をためて結婚したい

 (2)男性(27)   2 窃盗(銅線盗)       有    お金の管理は自分ではまだ無理

 (3)男性(54)   4 窃盗(万引き)       無    相談に乗ってくれる人がいなかった

 (4)男性(31)   3 窃盗(さい銭盗)      有    結婚はしたい。今は特に思う

 (5)男性(63)   1 窃盗(万引き)       無    つらいことがいっぱいあった

 (6)男性(49)   3 窃盗(万引き)       無    地元だとまたやってしまいそう

 (7)男性(58)   4 窃盗(車上荒らし)     有    福祉の支援なんて考えなかった

 (8)男性(52)   0 窃盗(さい銭盗)      有    泥棒して殴られる夢を見るんです

 (9)男性(40)   4 窃盗(万引き)       無    刑務所に戻りたくないが自信ない

(10)男性(63)  12 窃盗(自動車盗)      無    出所時、生活できる金があったら

 【高齢者】※65歳以上

 (1)男性(69)   8 詐欺(金券詐取)      無    口先だけで自分を飾ってきた

 (2)男性(68)  19 窃盗(万引き)       無    今まで無駄な生活をしてきた

 (3)男性(69)   3 窃盗(空き巣)       有    無銭飲食して逆戻りしようかと

 (4)男性(66)   2 窃盗(万引き)       有    食事は5日くらい我慢してたかも

 (5)男性(72)  13 窃盗(万引き)       有    もう年だし、できる仕事もない

 (6)男性(69)   7 窃盗(万引き)       有    できるなら畳の上で往生したい

 (7)女性(67)   5 窃盗(万引き)       無    孫が生まれ、絶対最後にしないと

 (8)男性(74)  17 窃盗(万引き)       有    刑務所に40年近くいてしまった

 (9)男性(72)   3 窃盗(置き引き)      無    本来の自分に戻るチャンスだと

(10)男性(68)   2 窃盗(万引き)       有    60歳の誕生日を留置場で迎えた

毎日新聞 2010年10月13日 東京朝刊


追跡・累犯:/1 揺れる「更生」/出所しても…(その1)

2010年10月16日 02時26分10秒 | 障害者の自立
 ◇社会の支援こそ必要

 知的障害や高齢という事情を抱えつつ、社会と刑務所を行き来する人たちがいる。なぜそうなるのか。身元引受先のない出所者の約15%を自立困難な障害者、高齢者が占めるとの試算もあり、社会支援の乏しさが背景に浮かぶ。裁判員裁判を通じて「罪と更生」が改めて注目される中、刑事司法と福祉のはざまに落ち込んだ「累犯者」の姿を追った。

 ◇52歳・知的障害者「刑務作業楽しい」

 被告席に立つのは3度目だった。今年1月、関西地方の簡易裁判所。京都府の男性(52)はさい銭を盗んだとして2度目の執行猶予中、今度は自転車窃盗の罪に問われた。知的障害があり、知能は5~9歳程度。

 弁護人「自転車を盗んだらどうして裁判になるんですか」

 男性「窃盗やから。紙(起訴状)に書いてますから」

 弁護人「前の裁判で言われたことを覚えていますか」

 男性「剣道の練習を頑張りなさいと」

 どこかすれ違うやりとり。代わって検察官が質問する。

 検察官「なぜ自転車を取ったのですか」

 男性「(歩いて)足が痛くなったからね」

 罪を認めたが、「泥棒は悪い」と繰り返すばかりで法廷に身を置く深刻さは感じられない。検察は懲役1年を求刑した。逮捕前から男性を支援し、裁判を傍聴した社会福祉協議会の責任者は「誰かに教えられた『音』として『悪い』と話すだけ。なぜ悪いのか、本当の意味で理解していない」と言う。

 弁護人は心神耗弱を主張した。判決は知的障害を認定する一方で「物を盗むのが悪いことと十分理解できる」と懲役8月の実刑を言い渡した。

 京都府にある男性の実家を訪ねた。84歳になる父親は「本人は警察や検察に言われた通りに答えるのを名誉なことだと思っている」と嘆く。

 両親は男性が20歳ごろから知的障害者入所施設に20年近く預けた後、自宅に引き取った。父親が定年退職し、時間をかけて自立の手助けをしようと考えたからだ。家にいれば問題を起こさない。放浪した時だけ警察の世話になる。

 執行猶予中、父親は「息子の生活の見守りが必要」と、社会福祉協議会に相談した。母親の認知症が進み、父親自身がんの手術を受けた。男性が家を飛び出し、旅先で自転車を盗んだのはそのころだ。花見や紅葉の季節になったり、生活の変化で不安を覚えると放浪と野宿を繰り返す。社協の責任者は「行動の傾向がつかめ、対策を取る矢先だった。次の罪を犯さないためには福祉の支援こそ必要なのに」と残念がる。

 法務省は再犯防止を重要政策に掲げる。軽微な犯罪の場合、福祉施設などの身元引受先がしっかりあれば検察側が起訴を見送ったり、裁判所が実刑を避け、更生を社会に託すケースも出始めている。省内からは「福祉が刑務所に代わる受け皿となりうるのなら、有効だし実情にも合う」(幹部)という声も漏れる。近年、刑務所に刑務作業すらできない高齢者や障害者が少なくないという現状が指摘されていることが背景にある。

  ◇   ◇

 この夏、大阪拘置所で男性に面会した。「夢見るんですわ。泥棒してバットで殴られる夢。だからもうしません」。初対面でも屈託のない笑顔だ。「仕事(刑務作業)は楽しい」「(父親に)元気で頑張ってやっています、と言ってください」。最後も笑顔だった。

 弁護人は「刑が重すぎる」として上告したが9月に棄却され、執行猶予が取り消された分も含め1年半の刑が確定した。【長野宏美】=つづく

 ◇09年の新受刑者のうち 知能指数70未満23%、65歳以上7%
 07年版犯罪白書は過去約60年間に発生した犯罪を分析し、罪を犯した人の3割が再犯者で、起こした事件件数では全体の6割を占めている実態を指摘した。

 再犯傾向を詳しく調べると、短期間に罪を重ね、刑務所に何度も入る「累犯者」の中に高齢者や知的障害者が多いことが分かってきた。09年の新たな受刑者のうち、65歳以上は2100人で全体の7%。この10年間で約3倍に急増した。知的障害の疑いがある知能指数70未満の新受刑者も6520人で、23%を占める。

 福祉関係者からは「地域で適切な福祉の支援を得られないことで生きにくい環境に置かれ、犯罪につながりやすくなっている」との声が上がり始めた。これまで切り離されてきた刑事司法と福祉は連携を求められ、大きな転換期を迎えている。

 市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が09年5月に始まり、「裁かれた後」にも関心が集まる。社会的に弱い立場にある人たちの犯罪と更生にどう向き合うのか。ともに社会で生活する私たち自身が問われている。

毎日新聞 2010年10月13日 東京朝刊


追跡・累犯:/3 中高年にも「療育手帳」 障害気づかれず、福祉と無縁に成長

2010年10月16日 02時24分13秒 | 障害者の自立
 今年8月。長崎県内の福祉施設で暮らす50代の男性は、あるNPO法人の担当者とテーブルを挟んで向かい合った。その場で、年金証書と預金通帳、銀行印の管理を委託する契約を交わした。

 「あなたを守るサービスです」。男性はうなずいて、「感謝している。自分じゃ勝手に使ってしまうこともあるから」と日焼けした顔をほころばせた。

 男性は刑務所を出た後、出所者を一時的に受け入れる更生保護施設「雲仙・虹」(同県雲仙市)を経てグループホームに移った。日中はリサイクル品を選別する軽作業をこなす。福祉に支えられた生活は初めてだ。

 罪を重ねる知的障害者は幼少時代に障害が発見されず、福祉と無関係に成長したケースが多いとされる。雲仙・虹で男性をサポートした社会福祉士の大坪幸太郎さん(31)は「本来、福祉に守られるべき人。温厚な人だし、もっと違った人生があったはず」と語る。

 自動車製造、土木作業、解体、清掃……。仕事を転々とした。金がなくなれば路上で生活し、盗みを重ねた。4度の執行猶予の後は、実刑判決を受けては社会と刑務所を行き来する人生だった。転機は今年2月。大坪さんたちの助言を受けて「福祉のパスポート」と呼ばれる「療育手帳」を初めて取得した。男性は「こんな助けがあるなんて知らんかった」と言う。

 原則として、療育手帳は18歳までに知的障害が見つかった人に交付される。だが、社会的支援がないまま罪を繰り返す知的障害者を福祉につなぐ取り組みが進み始め、最近では年齢が高くても交付されることが増えている。男性は簡単な足し算や掛け算も難しく、障害程度は「重度」と認められた。

 とはいえ、男性を巡るすべての課題が解消したわけではない。「さすらいの旅に出ます」。こんな書き置きを残して施設を飛び出し、保護されたことも数回ある。男性の社会復帰を支える長崎県地域生活定着支援センターの主任相談員、副山明則さん(56)は「嫌なことがあっても、我慢した方が自分を守れるんだという意識を持てるか。それが課題です」と話した。

   ◇   ◇

 今までうち解けて話す相手がいなかった。「ここで初めて、相談に乗ってもらえた」。6月下旬、東京都内の更生保護施設で男性(54)がふと漏らした。買い物、借金、万引きの繰り返しで4度刑務所に入った。「話し合える人がいないと、また変な道に行ってしまう」

 特別支援学級に通っていた。小学校で母を、中学校で父を亡くし、教護院に送られた。16歳で上京し、印刷工場で働いたが、先輩に貯金をだまし取られて「やけを起こした」という。

 4回とも仮釈放が許可され、出所後は更生保護施設へ。過去3回はホテルの清掃などの仕事を自分で見つけ、自力で生きてきた。今回たどり着いたのは福祉スタッフのいる施設。職員が男性の障害に気づき、療育手帳を取得した。7月からは、生活支援のNPO施設に身を寄せる。

 更生保護施設の施設長は自戒を込めて言う。「障害に気づかれず、支えがないままならまた犯罪に走っていたかもしれない。更生保護施設は、出所者を自立させて送り出すことが目的だったが、福祉の支援を利用することも大切だ」

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 ■ことば

 ◇療育手帳
 日常生活に支障がある知的障害と判定された人に都道府県知事が発行する。障害の程度に応じた福祉サービスや税の減免を受けられるほか、交通機関の割引利用もできる。08年度末の交付者は約78万人。療育手帳を持たない潜在的な知的障害者はもっと多いとの指摘もある。

毎日新聞 2010年10月15日 東京朝刊


聴覚障害や手話に理解深めて 岡山県福祉協会が冊子販売

2010年10月16日 02時22分50秒 | 障害者の自立
 岡山県聴覚障害者福祉協会(岡山市北区南方)は、聴覚障害者を取り巻く環境や手話通訳などについて分かりやすく解説した冊子「We Love コミュニケーション」の販売を始めた。収益は活動資金に充てることにしており、同協会は「耳の不自由な人が安心して暮らせる社会の実現へ力を貸してほしい」と呼び掛けている。

 障害者に健常者と同じ権利を保障する障害者権利条約の批准を国に求めるため、全国の聴覚障害者団体や手話通訳団体などで組織する「聴覚障害者制度改革推進中央本部構成団体」が製作した。

 冊子はA5判、32ページ。聴覚障害者542件が日常生活で不便に感じている具体的な事例をはじめ、コミュニケーション手段として重要な役割を果たす手話通訳や要約筆記について説明。障害者基本法の中で手話を「言語」として定義するといった、法改正の必要性も提言している。

 同協会の木村智子さんは「冊子を通して障害者542件が健常者とともに地域の中で生活していることを知ってもらいたい」と話している。

 一部300円。問い合わせは同協会(086―224―2275)。

山陽新聞

障害者と野外散策などで交流 松山

2010年10月16日 02時21分41秒 | 障害者の自立
 「障がい者と楽しむ野外のつどい」が15日、松山城と周辺であり、県内の視覚障害者やボランティアが散策やフォークダンスを通じて交流を深めた。
 障害者に町歩きの機会を提供しようと、福祉フォークダンスの会(松山市、長井哲朗会長)が毎年開いており、10回目。視覚障害者12人と、会員やボランティア78人が参加した。
 参加者は山頂側のロープウエー乗降口から登山道を下り、ボランティアガイドから233メートルある上り石垣などの説明を受けながら、二ノ丸跡の庭園や堀之内などを散策した。
 午後からは堀之内で、ボサノバなどのフォークダンスを踊って楽しんだ。参加した松山市道後町1丁目の細川富子さん(78)は「普段外にはあまり出ず、急な坂道を下りたのも初めて。参加して良かった」と話していた。

愛媛新聞