東日本大震災で869人の死者・行方不明者が出た岩手県山田町で31日、介護が必要な被災者を受け入れてきた2カ所の「福祉避難所」が閉鎖された。町では1日から仮設住宅の入居が始まるが、抽選に外れるなどした要介護者と家族ら計21人は同日、約100キロ離れた同県八幡平市平笠の宿泊施設「いこいの村岩手」へバスで移動した。
避難所を出る同町八幡町の菊地藤八さん(74)は神経の難病と闘病中だ。介護する妻幸子さん(66)は「他に行くところがなく選択の余地はない」と移動を受け入れながらも「いつ帰って来られるか……。専門の医師も少なく心配」と話す。
92歳の母親を介護する小成弘志さん(58)は出発前に訴えた。「震災後5カ所目の移動になる。車に30分乗るだけで体調を崩す。3時間耐えられるか」
町は3月下旬、特養ホーム「平安荘」と居宅介護施設「恵みの里眺望」の2カ所を間借りし、福祉避難所を開設した。避難所での生活が難しい被災者を受け入れるためで、入所者を相部屋にするなどしてスペースを確保した。ただ「6月には全員が仮設住宅に入居できる」との見通しから施設側との契約を5月末までとしていた。
仮設住宅について、町は▽高齢者(75歳以上)▽障害者・要介護者▽乳幼児・妊婦--がいる世帯は優先入居できるよう6割を割り当てた。しかし、5月25日の1回目の抽選は希望地が集中したこともあり、優先世帯526戸のうち4割の212戸が抽選に漏れた。町建設課は「2回目の募集は6月中旬にしたい」と話すが、入居時期は未定という。
入居が決まりながら建設中の住宅もあり、福祉避難所にいる要介護者16人のうち、1日から入れるのは2人だけだ。町は急きょ受け入れ先を探し、バリアフリー設備がある「いこいの村」が応じた。
町国保介護課は「見通しが甘かったと言われれば、その通りと思う」とする一方で「医療や介護の態勢は八幡平市の方が整っている。引き継ぎもしっかりするので安心して行ってほしい」と理解を求めている。
毎日新聞 2011年5月31日
避難所を出る同町八幡町の菊地藤八さん(74)は神経の難病と闘病中だ。介護する妻幸子さん(66)は「他に行くところがなく選択の余地はない」と移動を受け入れながらも「いつ帰って来られるか……。専門の医師も少なく心配」と話す。
92歳の母親を介護する小成弘志さん(58)は出発前に訴えた。「震災後5カ所目の移動になる。車に30分乗るだけで体調を崩す。3時間耐えられるか」
町は3月下旬、特養ホーム「平安荘」と居宅介護施設「恵みの里眺望」の2カ所を間借りし、福祉避難所を開設した。避難所での生活が難しい被災者を受け入れるためで、入所者を相部屋にするなどしてスペースを確保した。ただ「6月には全員が仮設住宅に入居できる」との見通しから施設側との契約を5月末までとしていた。
仮設住宅について、町は▽高齢者(75歳以上)▽障害者・要介護者▽乳幼児・妊婦--がいる世帯は優先入居できるよう6割を割り当てた。しかし、5月25日の1回目の抽選は希望地が集中したこともあり、優先世帯526戸のうち4割の212戸が抽選に漏れた。町建設課は「2回目の募集は6月中旬にしたい」と話すが、入居時期は未定という。
入居が決まりながら建設中の住宅もあり、福祉避難所にいる要介護者16人のうち、1日から入れるのは2人だけだ。町は急きょ受け入れ先を探し、バリアフリー設備がある「いこいの村」が応じた。
町国保介護課は「見通しが甘かったと言われれば、その通りと思う」とする一方で「医療や介護の態勢は八幡平市の方が整っている。引き継ぎもしっかりするので安心して行ってほしい」と理解を求めている。
毎日新聞 2011年5月31日