≪状況をよくしたいなら自分で動かなきゃ≫
「私の人生は波瀾(はらん)万丈。めちゃくちゃな人生。自分の半生を面白おかしく話したら、みんな一様に衝撃を受けていた。同時に『ぜひ本にすべきだ』と口々にいってくれたので、執筆することにした」と話すのは金修琳(キム・スーリン)さん。
■口の動きやのどの振動を見て
はっきりとした口調で話す金さんは、耳が全く聞こえない聴覚障害者。韓国ソウル生まれの金さんは、2歳の時に両親が離婚し、4歳の時に両親から見放され、捨て子同然の目に遭い、6歳の時に聴覚を失う。
日本人と再婚した実母と暮らすため、12歳の時に言葉の分からない日本に来た。スナックを経営する実母にはほとんど構ってもらえず、一時的に他人の家に預けられたことも。耳が聞こえないから学校の授業の内容も分からず、成績も悪い。いじめにもあった。
苦難続きの人生、普通ならば生きることに悲観的になるが、金さんは違う。
「お金も学歴もない。聴覚障害もある。そんな自分が一人で生きていくためには、『英語を身につけるしかない』と思ったんです」。金さんはあくまで前向きだ。
高校卒業後、単身イギリスに留学することを決断。口の動きやのどの振動を覚え、飽くなき反復練習を行って英語をマスター。その後、3年間にわたって30カ国を旅行し、陽気なラテン系の友達がほしいとの思いからスペイン語も習得してしまう。耳が聞こえないゆえにマスターした外国語の発音がおかしいと指摘されても、金さんは「別にいいじゃないですか。わたしはしっかり前を向いて、大きな声で話し続けようと思います」と、決してひるんだりしない。
■マイナス思考では変わらない
就職した外資系金融機関で英語で話す際も、臆することなく「I’m a deaf(私は聴覚障害者です)」と自己紹介し、相手にゆっくりと話すよう求める。「だって、私の障害を伝えなきゃ仕事にならないですから」。あっさりと言いきる。
「マイナス思考からは何も生まれないし、何も変わらない。状況をよくしたいのなら、自分で動き出さなきゃ」。数々の困難を克服してきた金さんの言葉は説得力があるだけでなく、なんだか勇気さえも与えてくれる。(文・写真:植木裕香子/SANKEI EXPRESS)
◇
■キム・スーリン 1972年4月、韓国ソウル生まれ。聴覚障害を持ちながらも、韓国語、日本語、英語、スペイン語の4カ国語を話す。短大卒業後、王子製紙、ゴールドマン・サックスを経て現在、クレディ・スイスに勤める。2歳のまな娘の育児に奮闘中だ。
◇
「耳の聞こえない私が4カ国語しゃべれる理由」(金修琳(キム・スーリン)著/ポプラ社、1470円)
「マイナス思考からは何も生まれないし、何も変わらない」と話す、会社員の金修琳(キム・スーリン)さん
MSN産経ニュース -
「私の人生は波瀾(はらん)万丈。めちゃくちゃな人生。自分の半生を面白おかしく話したら、みんな一様に衝撃を受けていた。同時に『ぜひ本にすべきだ』と口々にいってくれたので、執筆することにした」と話すのは金修琳(キム・スーリン)さん。
■口の動きやのどの振動を見て
はっきりとした口調で話す金さんは、耳が全く聞こえない聴覚障害者。韓国ソウル生まれの金さんは、2歳の時に両親が離婚し、4歳の時に両親から見放され、捨て子同然の目に遭い、6歳の時に聴覚を失う。
日本人と再婚した実母と暮らすため、12歳の時に言葉の分からない日本に来た。スナックを経営する実母にはほとんど構ってもらえず、一時的に他人の家に預けられたことも。耳が聞こえないから学校の授業の内容も分からず、成績も悪い。いじめにもあった。
苦難続きの人生、普通ならば生きることに悲観的になるが、金さんは違う。
「お金も学歴もない。聴覚障害もある。そんな自分が一人で生きていくためには、『英語を身につけるしかない』と思ったんです」。金さんはあくまで前向きだ。
高校卒業後、単身イギリスに留学することを決断。口の動きやのどの振動を覚え、飽くなき反復練習を行って英語をマスター。その後、3年間にわたって30カ国を旅行し、陽気なラテン系の友達がほしいとの思いからスペイン語も習得してしまう。耳が聞こえないゆえにマスターした外国語の発音がおかしいと指摘されても、金さんは「別にいいじゃないですか。わたしはしっかり前を向いて、大きな声で話し続けようと思います」と、決してひるんだりしない。
■マイナス思考では変わらない
就職した外資系金融機関で英語で話す際も、臆することなく「I’m a deaf(私は聴覚障害者です)」と自己紹介し、相手にゆっくりと話すよう求める。「だって、私の障害を伝えなきゃ仕事にならないですから」。あっさりと言いきる。
「マイナス思考からは何も生まれないし、何も変わらない。状況をよくしたいのなら、自分で動き出さなきゃ」。数々の困難を克服してきた金さんの言葉は説得力があるだけでなく、なんだか勇気さえも与えてくれる。(文・写真:植木裕香子/SANKEI EXPRESS)
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■キム・スーリン 1972年4月、韓国ソウル生まれ。聴覚障害を持ちながらも、韓国語、日本語、英語、スペイン語の4カ国語を話す。短大卒業後、王子製紙、ゴールドマン・サックスを経て現在、クレディ・スイスに勤める。2歳のまな娘の育児に奮闘中だ。
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「耳の聞こえない私が4カ国語しゃべれる理由」(金修琳(キム・スーリン)著/ポプラ社、1470円)
「マイナス思考からは何も生まれないし、何も変わらない」と話す、会社員の金修琳(キム・スーリン)さん
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