【宮委員長】 ありがとうございました。太田委員、大久保委員、それから北住委員から、具体的な先駆的な事例や現実を踏まえた対応で、外国の実態などをもう少し対応すべきではないかということと、当事者のヒアリングといったようなことの御意見も頂戴いたしました。それから、大久保委員からは、具体的な提案として、障害者基本法との整合性をきちっと持って、ある方向性を持った形で具体的に当面する課題と、それから中長期という整理の仕方をすべきではないかと、こういう御意見だったと思います。様々に御意見を頂戴いたしました。
それでは、向山委員、お願いします。
【向山委員】 向山です。先ほどの委員長からの、検討事項が大変多い、ただスピード感も必要だ、それでどうしましょうというような御発言について、この特別委員会は30名近くの委員がいて、これまで月1回ペースでやってきたわけですが、30人が月に1回集まるというのはなかなか大変なことです。ですから、ワーキンググループみたいなものを設置して、委員長、副委員長中心に何人かで議論していただいて、それをまた御提言いただけるといったことができれば大変いいのかと思います。
【宮委員長】 ありがとうございました。
それでは、久松委員、お願いします。
【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。2点お話しさせていただきます。1つ目は、向山委員からお話がありましたとおり、それぞれのテーマごとに専門性を含めた話ができるように、専門性を生かしていくためにもワーキンググループをつくっていくことはぜひ必要であろうと前々から私は申し上げておりました。ぜひ実現していただきたいと思います。
また2つ目ですが、合理的配慮という言葉、これは1つの型が決まったわけではないですよね。その辺で、現時点でのどのように合理的配慮をしていくのか、5年後と10年後と合理的配慮の受けとめ方では、主観的な部分が入ってきて内容が変わってくることを理解する必要があり、何が合理的配慮であるかということを議論していくべきであると思っています。
それを考えたときに、事務局にお願いしたいことがあります。先駆的な事例など、実態を踏まえて、現実的な調査をするときの設問の仕方、その設問の項目など、どういった設問をつくっていくのか、これが非常に重要になろうかと思っています。調査の方法、調査の内容を次回のこの特別委員会、議論の場に提出していただきたいと思います。おそらくこの実態調査のような問題を整理すると合理的配慮に結びついた議論ができるし、また専門性をどのような方向性に結びつけていくのかという議論も必要であろうかと思います。調査の内容についての試案を次回に出していただきたいと思っています。
【宮委員長】 ありがとうございました。
それでは、品川委員、お願いします。
【品川委員】 ありがとうございます。教育ジャーナリストの品川です。私が申し上げようと考えておりましたことを、久松委員に御指摘いただいたのですが、それに加えまして私からもお話ししたいことが3点あります。
まず1点は、新しいインクルーシブ教育の制度を我々は考えるわけですから、研修内容や専門性の向上と同時に、インクルーシブ教育の評価の有り様についても併せて考える必要があると思います。研修のみ行って、結果がどうなのかというところが、これまでの教育においても曖昧でしたので、どう評価するのかという点を考えるようにしていただきたいと思います。
もう1点は、先ほど、杉山委員を始め、皆様からもいただいた実態調査の件ですが、今、久松委員がおっしゃったとおり、本当に、質問の内容によって結果は全く変わってきます。例えば、最近、知的障害の子どもさんたちを受け入れる特別支援学校の校舎が足りないと報道もされております。それについては尾崎委員が一番お詳しいと思いますが子どもたちを見ると、通常の学校で学ぶべきであるような子どもたちが、軽度の療育手帳を取得して在籍していたりするような実態もあります。その結果、本来、手厚い支援の下でより専門性のある指導者から学ばなければいけない子どもたちが、そういった子どもたちから使い走りにされたり、いじめに遭ったりして不登校になっていっているという実態もあるわけです。ですので、ただ特別支援学校で人が足りません、とか、児童生徒の数が増えていますという表面的なものではない調査の仕方を考えなければいけないと考えています。
一方で、毎回お話させていただいておりますが、例えばLDとかディスレクシアは、我が国の場合、標準化されたアセスメントツールが非常に少ないです。これについて、筑波大学の宇野先生らがつくられたものがありますが、まだまだ学校の先生方はご存じなかったりします。標準化されたアセスメントツールがない中で調査を実施しても、LDの子はどれぐらいいるのか、ディスレクシアの子はどれぐらいいるのか、ということの判別が非常に難しくなってきます。そのようなことも含めて、調査方法を検討していく必要があると思うのです。
あともう1点、ぜひ検討していただければと思っていることです。先ほど齋藤委員から、地域を巻き込むという御発言があったのですが、インクルーシブ教育を推進していく場合には、学校だけがやって地域が全くそこに関わらなければ、結局は地域から浮き上がってしまう可能性があります。いかにコミュニティーを巻き込んだ学校をつくっていくのか、例えば段階的な学校にしても、特別支援学校ほどコミュニティースクールであるべきではないかなどと取材を通して考えております。そういったことも含めて御検討いただければと思っています。ありがとうございました。
【宮委員長】 ありがとうございました。
それでは、佐竹委員、お願いします。
【佐竹委員】 全国肢体不自由PTA連合会の佐竹です。ずっと皆様のお話を伺っておりまして、思い当たるところが1つだけあります。資料6の検討事項の案の中に入れていただきたいと私は思うのですが、特別支援学校がこれからインクルーシブのシステムの構築というところで、大きく担っていくというものは大変な大きなものだと思います。今日、この会議にもいらしている小学校の先生方、色々な先生方も、この会議にいる意味というのは、特別支援教育だけの問題ではなくて、いかに通常の学校において、そのノウハウが生かされるかというところがあります。御意見の中に、個々の特別支援学級のノウハウを通常の学校といかに、その、何というのか、リンクさせていく、そういったものをぜひ検討事項の中に入れていかないと、システムを構築というところで何かが欠けてしまうのではないでしょうか。あくまでも、あちら側、こちら側ではなくて、特別支援学校も、何度も申し上げておりますが、地域システムの1つであるということは有効であると私は考えています。いかがでしょうか。
【宮委員長】 ありがとうございました。向山委員、久松委員、品川委員から、実態調査等についての具体的な内容、項目についての整理が必要だということで、そのあたりについて事務局で少し考えてほしいという御意見がありました。
ワーキンググループをつくるということについては、向山委員、久松委員から御意見がありましたので、このあたりをどうするかというのが1つの課題かと思います。それから、品川委員からは、評価の在り方を整備すべきではないか。それから、佐竹委員からは、全体を通じた特別支援学校と通常の学校との連携の仕組みについての検討も必要ではないかという御意見をいただきました。
様々に御意見を頂戴しましたが、事務局から何かございますか。
【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今、いただいた御意見を委員長、委員長代理と相談させていただきながら、次回以降どうしていくかを検討いたしたいと思います。
【宮委員長】 今、事務局からあったことですが、検討事項について、よりスピード感を持って対応しなければいけないと思いますので、具体の検討事項、御意見をいただいたものを更に整理をして、そして早急に対応しなければいけないことについて、全体での協議と、それからワーキンググループをつくるなどして対応しなければいけない、例えば合理的配慮の問題ですとか、それから実態調査につきましても、かなり時間がかかると思いますし、予備調査のようなものについての御提案もいただいておりますので、そういうことも含めて、どんな形ならば実態調査ができるのか。お聞きしていると、前回のものとはまた少し視点が変わらなければいけないようなところもあるようですので、そのあたりも含めてですね。前回のときには大南委員をキャップにしてかなり長期にわたって検討をまとめていただき、6.3%の検討が行われたわけですが、かなり時間はかかったと思います。ですから、そのあたりについては、少し時期等もありますので、処理の仕方が少し時間を要すると思います。でも、先駆的な実態調査、予備調査という形で対応ができるのかどうかということも含めて、これを事務局と相談をさせていただいて、対応させていただく。それから、ワーキンググループについては、できることならば次回以降、できるだけ速やかに設置する方向で、事務局に案を考えていただくということができればと思います。
今日いただいたものを再度、私、石川委員長代理、事務局とで相談させていただきながら、次回に提案させていただくということでよろしいでしょうか。
【石川委員長代理】 1点よろしいですか。品川委員に教えていただきたいのですが、標準化されたアセスメントツールがないというお話だったんですが、標準化されていないアセスメントツールであれば多く存在し、それによってエビデンスが違ってくるということなのか、あるいは原理的にそういうツールをつくることが困難だということなのか、あるいはそれ以外の何か理由があるのか。これは杉山委員にも教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【宮委員長】 杉山委員、品川委員、お願いします。
【杉山委員】 日本で長く使われている学力のチェックとしては、教研式の学力の診断のものがあって、それは今、比較的普遍的に使われているように思います。ただ、それは要するにお勉強がどのくらいできているのかということで、当然、指導要領が変わってくると、それによって変えなくてはいけませんので、ちょっと頭が痛いところだと思います。
それから、日本では世界標準の問題行動のスケールがほとんど標準化されていないという実態があります。今、我々がやっているのは、ヴァインランドという非常に精密な行動のチェックリストの標準化をしていまして、これが使えるようになると、かなり有力なチェックツールになるかと思います。障害横断的に使えますので。
それから、ついでに提案ですが、幾つかの市でコーホートスタディーが既に行われています。ただ、これは市が市名を出すことを非常に拒否しています。市名を出さずに、今まで出ているデータに関して集約を図ることができれば、それが全てではありませんが、1つのエビデンスとして用いることができるのではないかと思います。先ほど品川委員が言われた評価というのも、結局、なぜそれができていなかったのかというと、評価をするための検査結果がないからです。尺度の標準化がないからです。日本で、今まで標準化していなかったということがありますので、これから少しずつ変わってくるはずです。
【品川委員】 ディスレクシアについては、実態調査から判断するのか、標準化されたアセスメントツールで子どもたちを見るのかで結果は違ってきます。最近、よくエビデンスと聞きますが、エビデンスというからには、2次研究がなされたもの、SRなど統計処理をしたデータを出して、それで議論していくわけで、とするならば、先ほど申し上げたようなアセスメントツールなどを使って判別・評価していかないと正確な実態はわからないと思われます。感覚的にこの子はLDだとかディスレクシアなんじゃないかな、とするのでは実態把握ものちの指導も異なってくると思います。ですので、この間の6.3%という数字を出したような実態調査、先生方にアンケート調査をお手数ですがおかけして、やっていただくようなものであれば、実態はまた変わってくるでしょう。いずれにしてもディスレクシアについては、実際問題、標準化されたものは前述したものぐらいしかありません。それを使えば標準偏差からこれだけ落ちているから、こうだろうという診断がつきますが、他のアセスメントツールは現在開発中で、これは訓練を受けていなければ難しいというか、どの先生も簡単にできるということでは多分ないのかと思います。
LDについても前述同様、WISCをとったり、K-ABCをとったり、感覚統合を見たりとか、視覚や聴覚の情報処理を見たりとかなど、色々なツールを複合的に使って判断するので、実態調査というときに、どこをもってやるのかというのは非常に難しい。それよりもむしろ、先ほど山岡委員がおっしゃったみたいに、学習困難、2年遅れているという、わりと大きな枠組みでとらえるのであれば、またそれは実態も違ってくるということです。
【宮委員長】 よろしいですか。
【石川委員長代理】 はい。
【宮委員長】 具体的な対応をしなければいけなくなったときに、また杉山委員、それから品川委員に御助言いただければと思います。
先ほど申し上げましたように、具体的な対応については、次回、提案をさせていただいて、私どもの論議を深めていきたいと思っています。
それでは、事務局から資料で出していただいている平成23年度の特別支援教育関係予算(案)について、ごく簡単に御説明をお願いします。
【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。参考資料2として配付しております平成23年度特別支援教育関係予算ですが、時間もありませんので、大きく変わった点のみ紹介いたします。
2ページを御覧ください。平成23年度から小学校1年生について35人以下学級という対応をするということで、そのための定数改善を行ったということです。
3ページを御覧いただきますと、加配の教職員定数が義務教育段階であり、特に教育支援教育に関係の深いものとして通級指導対応は平成22年度に引き続き4,000名強の通級担当教員を加配しております。
4ページですが、子ども一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進ということで、その後の5、6、7ページに詳しく資料をつけておりますが、1つは4ページの右側に特別支援教育就学奨励費として特別支援学校へ行かれている方、特別支援学級に通われている方、通級指導を受けておられる方に対して援助を行っております。それから、各都道府県で行っている特別支援教育を推進するための事業というものが4ページ中ほどにあります。モデル事業、実践研究のための成果普及事業もやっております。また、NPOと連携した特別支援教育の推進といった事業なども行っております。
最後に、8ページ、一番最後のページですが、各地方公共団体に対して、国から地方財政措置をしておりまして、その中で特別支援教育支援員の配置がされております。具体的には、今まで幼稚園、小・中学校向けでしたが、幼稚園については、平成23年度約500人拡充し、高等学校については新たに500人の配置が措置されることになりましたので、報告いたします。以上です。
【宮委員長】 はい、ありがとうございました。それでは、本日の委員会はこれまでとしたいと思います。
今後の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。
【助川特別支援教育課課長補佐】 特別支援教育課の助川です。次回の特別委員会の日程については、改めて委員の先生方に御連絡申し上げます。
最後に、事務連絡が2点ほどあります。先生方の封筒の中に、大分前のものになってしまいましたけれども、前回の議事録の案を配付しております。こちらにつきまして、修正等がありましたら、1週間後の3月17日木曜日までに、私ども事務局までお送りいただきますようお願いいたします。
もう一点が、同じく封筒の中に、今後の開催に当たっての日程調整表も配付しております。こちらにつきましても、3月17日木曜日までにお送りいただきますようお願いいたします。なお、この両者につきましては、先生方にはメールでもお送り申し上げます。以上です。
【宮委員長】 それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席をいただきまして、委員の皆様方には改めてお礼を申し上げます。また、次回もよろしくお願いします。ありがとうございました。
文部科学省
それでは、向山委員、お願いします。
【向山委員】 向山です。先ほどの委員長からの、検討事項が大変多い、ただスピード感も必要だ、それでどうしましょうというような御発言について、この特別委員会は30名近くの委員がいて、これまで月1回ペースでやってきたわけですが、30人が月に1回集まるというのはなかなか大変なことです。ですから、ワーキンググループみたいなものを設置して、委員長、副委員長中心に何人かで議論していただいて、それをまた御提言いただけるといったことができれば大変いいのかと思います。
【宮委員長】 ありがとうございました。
それでは、久松委員、お願いします。
【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。2点お話しさせていただきます。1つ目は、向山委員からお話がありましたとおり、それぞれのテーマごとに専門性を含めた話ができるように、専門性を生かしていくためにもワーキンググループをつくっていくことはぜひ必要であろうと前々から私は申し上げておりました。ぜひ実現していただきたいと思います。
また2つ目ですが、合理的配慮という言葉、これは1つの型が決まったわけではないですよね。その辺で、現時点でのどのように合理的配慮をしていくのか、5年後と10年後と合理的配慮の受けとめ方では、主観的な部分が入ってきて内容が変わってくることを理解する必要があり、何が合理的配慮であるかということを議論していくべきであると思っています。
それを考えたときに、事務局にお願いしたいことがあります。先駆的な事例など、実態を踏まえて、現実的な調査をするときの設問の仕方、その設問の項目など、どういった設問をつくっていくのか、これが非常に重要になろうかと思っています。調査の方法、調査の内容を次回のこの特別委員会、議論の場に提出していただきたいと思います。おそらくこの実態調査のような問題を整理すると合理的配慮に結びついた議論ができるし、また専門性をどのような方向性に結びつけていくのかという議論も必要であろうかと思います。調査の内容についての試案を次回に出していただきたいと思っています。
【宮委員長】 ありがとうございました。
それでは、品川委員、お願いします。
【品川委員】 ありがとうございます。教育ジャーナリストの品川です。私が申し上げようと考えておりましたことを、久松委員に御指摘いただいたのですが、それに加えまして私からもお話ししたいことが3点あります。
まず1点は、新しいインクルーシブ教育の制度を我々は考えるわけですから、研修内容や専門性の向上と同時に、インクルーシブ教育の評価の有り様についても併せて考える必要があると思います。研修のみ行って、結果がどうなのかというところが、これまでの教育においても曖昧でしたので、どう評価するのかという点を考えるようにしていただきたいと思います。
もう1点は、先ほど、杉山委員を始め、皆様からもいただいた実態調査の件ですが、今、久松委員がおっしゃったとおり、本当に、質問の内容によって結果は全く変わってきます。例えば、最近、知的障害の子どもさんたちを受け入れる特別支援学校の校舎が足りないと報道もされております。それについては尾崎委員が一番お詳しいと思いますが子どもたちを見ると、通常の学校で学ぶべきであるような子どもたちが、軽度の療育手帳を取得して在籍していたりするような実態もあります。その結果、本来、手厚い支援の下でより専門性のある指導者から学ばなければいけない子どもたちが、そういった子どもたちから使い走りにされたり、いじめに遭ったりして不登校になっていっているという実態もあるわけです。ですので、ただ特別支援学校で人が足りません、とか、児童生徒の数が増えていますという表面的なものではない調査の仕方を考えなければいけないと考えています。
一方で、毎回お話させていただいておりますが、例えばLDとかディスレクシアは、我が国の場合、標準化されたアセスメントツールが非常に少ないです。これについて、筑波大学の宇野先生らがつくられたものがありますが、まだまだ学校の先生方はご存じなかったりします。標準化されたアセスメントツールがない中で調査を実施しても、LDの子はどれぐらいいるのか、ディスレクシアの子はどれぐらいいるのか、ということの判別が非常に難しくなってきます。そのようなことも含めて、調査方法を検討していく必要があると思うのです。
あともう1点、ぜひ検討していただければと思っていることです。先ほど齋藤委員から、地域を巻き込むという御発言があったのですが、インクルーシブ教育を推進していく場合には、学校だけがやって地域が全くそこに関わらなければ、結局は地域から浮き上がってしまう可能性があります。いかにコミュニティーを巻き込んだ学校をつくっていくのか、例えば段階的な学校にしても、特別支援学校ほどコミュニティースクールであるべきではないかなどと取材を通して考えております。そういったことも含めて御検討いただければと思っています。ありがとうございました。
【宮委員長】 ありがとうございました。
それでは、佐竹委員、お願いします。
【佐竹委員】 全国肢体不自由PTA連合会の佐竹です。ずっと皆様のお話を伺っておりまして、思い当たるところが1つだけあります。資料6の検討事項の案の中に入れていただきたいと私は思うのですが、特別支援学校がこれからインクルーシブのシステムの構築というところで、大きく担っていくというものは大変な大きなものだと思います。今日、この会議にもいらしている小学校の先生方、色々な先生方も、この会議にいる意味というのは、特別支援教育だけの問題ではなくて、いかに通常の学校において、そのノウハウが生かされるかというところがあります。御意見の中に、個々の特別支援学級のノウハウを通常の学校といかに、その、何というのか、リンクさせていく、そういったものをぜひ検討事項の中に入れていかないと、システムを構築というところで何かが欠けてしまうのではないでしょうか。あくまでも、あちら側、こちら側ではなくて、特別支援学校も、何度も申し上げておりますが、地域システムの1つであるということは有効であると私は考えています。いかがでしょうか。
【宮委員長】 ありがとうございました。向山委員、久松委員、品川委員から、実態調査等についての具体的な内容、項目についての整理が必要だということで、そのあたりについて事務局で少し考えてほしいという御意見がありました。
ワーキンググループをつくるということについては、向山委員、久松委員から御意見がありましたので、このあたりをどうするかというのが1つの課題かと思います。それから、品川委員からは、評価の在り方を整備すべきではないか。それから、佐竹委員からは、全体を通じた特別支援学校と通常の学校との連携の仕組みについての検討も必要ではないかという御意見をいただきました。
様々に御意見を頂戴しましたが、事務局から何かございますか。
【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今、いただいた御意見を委員長、委員長代理と相談させていただきながら、次回以降どうしていくかを検討いたしたいと思います。
【宮委員長】 今、事務局からあったことですが、検討事項について、よりスピード感を持って対応しなければいけないと思いますので、具体の検討事項、御意見をいただいたものを更に整理をして、そして早急に対応しなければいけないことについて、全体での協議と、それからワーキンググループをつくるなどして対応しなければいけない、例えば合理的配慮の問題ですとか、それから実態調査につきましても、かなり時間がかかると思いますし、予備調査のようなものについての御提案もいただいておりますので、そういうことも含めて、どんな形ならば実態調査ができるのか。お聞きしていると、前回のものとはまた少し視点が変わらなければいけないようなところもあるようですので、そのあたりも含めてですね。前回のときには大南委員をキャップにしてかなり長期にわたって検討をまとめていただき、6.3%の検討が行われたわけですが、かなり時間はかかったと思います。ですから、そのあたりについては、少し時期等もありますので、処理の仕方が少し時間を要すると思います。でも、先駆的な実態調査、予備調査という形で対応ができるのかどうかということも含めて、これを事務局と相談をさせていただいて、対応させていただく。それから、ワーキンググループについては、できることならば次回以降、できるだけ速やかに設置する方向で、事務局に案を考えていただくということができればと思います。
今日いただいたものを再度、私、石川委員長代理、事務局とで相談させていただきながら、次回に提案させていただくということでよろしいでしょうか。
【石川委員長代理】 1点よろしいですか。品川委員に教えていただきたいのですが、標準化されたアセスメントツールがないというお話だったんですが、標準化されていないアセスメントツールであれば多く存在し、それによってエビデンスが違ってくるということなのか、あるいは原理的にそういうツールをつくることが困難だということなのか、あるいはそれ以外の何か理由があるのか。これは杉山委員にも教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【宮委員長】 杉山委員、品川委員、お願いします。
【杉山委員】 日本で長く使われている学力のチェックとしては、教研式の学力の診断のものがあって、それは今、比較的普遍的に使われているように思います。ただ、それは要するにお勉強がどのくらいできているのかということで、当然、指導要領が変わってくると、それによって変えなくてはいけませんので、ちょっと頭が痛いところだと思います。
それから、日本では世界標準の問題行動のスケールがほとんど標準化されていないという実態があります。今、我々がやっているのは、ヴァインランドという非常に精密な行動のチェックリストの標準化をしていまして、これが使えるようになると、かなり有力なチェックツールになるかと思います。障害横断的に使えますので。
それから、ついでに提案ですが、幾つかの市でコーホートスタディーが既に行われています。ただ、これは市が市名を出すことを非常に拒否しています。市名を出さずに、今まで出ているデータに関して集約を図ることができれば、それが全てではありませんが、1つのエビデンスとして用いることができるのではないかと思います。先ほど品川委員が言われた評価というのも、結局、なぜそれができていなかったのかというと、評価をするための検査結果がないからです。尺度の標準化がないからです。日本で、今まで標準化していなかったということがありますので、これから少しずつ変わってくるはずです。
【品川委員】 ディスレクシアについては、実態調査から判断するのか、標準化されたアセスメントツールで子どもたちを見るのかで結果は違ってきます。最近、よくエビデンスと聞きますが、エビデンスというからには、2次研究がなされたもの、SRなど統計処理をしたデータを出して、それで議論していくわけで、とするならば、先ほど申し上げたようなアセスメントツールなどを使って判別・評価していかないと正確な実態はわからないと思われます。感覚的にこの子はLDだとかディスレクシアなんじゃないかな、とするのでは実態把握ものちの指導も異なってくると思います。ですので、この間の6.3%という数字を出したような実態調査、先生方にアンケート調査をお手数ですがおかけして、やっていただくようなものであれば、実態はまた変わってくるでしょう。いずれにしてもディスレクシアについては、実際問題、標準化されたものは前述したものぐらいしかありません。それを使えば標準偏差からこれだけ落ちているから、こうだろうという診断がつきますが、他のアセスメントツールは現在開発中で、これは訓練を受けていなければ難しいというか、どの先生も簡単にできるということでは多分ないのかと思います。
LDについても前述同様、WISCをとったり、K-ABCをとったり、感覚統合を見たりとか、視覚や聴覚の情報処理を見たりとかなど、色々なツールを複合的に使って判断するので、実態調査というときに、どこをもってやるのかというのは非常に難しい。それよりもむしろ、先ほど山岡委員がおっしゃったみたいに、学習困難、2年遅れているという、わりと大きな枠組みでとらえるのであれば、またそれは実態も違ってくるということです。
【宮委員長】 よろしいですか。
【石川委員長代理】 はい。
【宮委員長】 具体的な対応をしなければいけなくなったときに、また杉山委員、それから品川委員に御助言いただければと思います。
先ほど申し上げましたように、具体的な対応については、次回、提案をさせていただいて、私どもの論議を深めていきたいと思っています。
それでは、事務局から資料で出していただいている平成23年度の特別支援教育関係予算(案)について、ごく簡単に御説明をお願いします。
【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。参考資料2として配付しております平成23年度特別支援教育関係予算ですが、時間もありませんので、大きく変わった点のみ紹介いたします。
2ページを御覧ください。平成23年度から小学校1年生について35人以下学級という対応をするということで、そのための定数改善を行ったということです。
3ページを御覧いただきますと、加配の教職員定数が義務教育段階であり、特に教育支援教育に関係の深いものとして通級指導対応は平成22年度に引き続き4,000名強の通級担当教員を加配しております。
4ページですが、子ども一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進ということで、その後の5、6、7ページに詳しく資料をつけておりますが、1つは4ページの右側に特別支援教育就学奨励費として特別支援学校へ行かれている方、特別支援学級に通われている方、通級指導を受けておられる方に対して援助を行っております。それから、各都道府県で行っている特別支援教育を推進するための事業というものが4ページ中ほどにあります。モデル事業、実践研究のための成果普及事業もやっております。また、NPOと連携した特別支援教育の推進といった事業なども行っております。
最後に、8ページ、一番最後のページですが、各地方公共団体に対して、国から地方財政措置をしておりまして、その中で特別支援教育支援員の配置がされております。具体的には、今まで幼稚園、小・中学校向けでしたが、幼稚園については、平成23年度約500人拡充し、高等学校については新たに500人の配置が措置されることになりましたので、報告いたします。以上です。
【宮委員長】 はい、ありがとうございました。それでは、本日の委員会はこれまでとしたいと思います。
今後の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。
【助川特別支援教育課課長補佐】 特別支援教育課の助川です。次回の特別委員会の日程については、改めて委員の先生方に御連絡申し上げます。
最後に、事務連絡が2点ほどあります。先生方の封筒の中に、大分前のものになってしまいましたけれども、前回の議事録の案を配付しております。こちらにつきまして、修正等がありましたら、1週間後の3月17日木曜日までに、私ども事務局までお送りいただきますようお願いいたします。
もう一点が、同じく封筒の中に、今後の開催に当たっての日程調整表も配付しております。こちらにつきましても、3月17日木曜日までにお送りいただきますようお願いいたします。なお、この両者につきましては、先生方にはメールでもお送り申し上げます。以上です。
【宮委員長】 それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席をいただきまして、委員の皆様方には改めてお礼を申し上げます。また、次回もよろしくお願いします。ありがとうございました。
文部科学省