唐津さん「皆さんの役に」
ごみ出し、話し相手にも
志賀町福浦港、元郵便局員唐津洋政さん(60)が町内の要介護の高齢者や障害者の通院、買い物などを支援する有料の送迎サービスを目的としてNPO法人を発足させ、活動を始めている。「なでしこ志賀」と称し、「これからの人生、地域の皆さんの役に立ちたい」と張り切っている。(島崎勝弘)
他市町在住でも志賀町内の病院や施設の利用者ならサービスの対象となるため、この日は輪島市門前町に住む八十三歳の男性を福祉車両で富来病院まで運んだ。付き添いの七十九歳の妻によると、夫は脳梗塞を患い同病院で入院し、初めての通院だった。「息子がおるけど、仕事があっさかい助かるわいね」と話していた。
唐津さんは定年前に郵便事業会社を早期退職。ヘルパー二級の資格を取得し、一年半、羽咋市内の特別養護老人ホームに勤務した。家族の都合で盆や正月もホームで過ごす高齢者もいる現状に、住み慣れた家や地域で過ごすための支援をしたいという思いが一層強くなったという。
町内から七尾市内や金沢市内の病院への通院も請け負うほか週一回、一人暮らしの高齢者宅を訪れ、ごみ出しや話し相手をするサービスも行っている。八十三歳の女性宅を訪ね血圧を測定した際、あまりにも高く、すぐに町内の病院に運んだ。心筋梗塞と診断され、そのまま金沢市内の病院に搬送され、事なきを得たこともあった。
唐津さんは「組織として末永く、このサービスを続けていくことができる体制を築いていきたい」と話している。日曜を除き、午前八時から午後七時まで従事している。問い合わせは、なでしこ志賀=電090(3768)0450=へ。
送迎サービスのNPOを立ち上げた唐津さん(奥)=志賀町富来病院で
中日新聞 - 2012年6月21日