医療費の自己負担分を自治体が助成する福祉医療制度を適用してほしいと、県内の精神障害者や家族らが訴えている。精神障害者は就労が困難なため、経済的に不安定で、十分な医療を受けにくいという。統合失調症を30年以上患う橿原市の栃本一弥さん(53)は「大きな病気になったらどうしようと大きな不安がある」と話す。
精神障害者保健福祉手帳を持つ人は、通院による精神疾患の治療のみ助成され、精神疾患以外の治療は自己負担となる。
栃本さんは、19歳から精神安定剤など複数の薬が手放せない。集中力が持続しにくく、のどが渇くなどの副作用に苦しむ。障害を隠して仕事に就いても、誰かに監視されているような妄想や幻覚に悩まされたり、人間関係がうまく築けずに職を転々とし、雇用保険で食いつないできた。
現在は1人暮らしをしながら、精神障害者10+件の作業所を運営するNPO法人「なゆたの会」(橿原市)の理事長を務める。月収は障害年金と合わせて約14万円。生活に余裕はない。「しんどくても金の心配があるので病院はなるべく行かない。今後、年を取っていくので不安です」と明かす。
県精神障害者家族会連合会奈良の副代表、三島利子さん(63)=御所市。59歳の弟は統合失調症で働けず、入退院を繰り返しながら三島さんの自宅近くで暮らしている。
昨年末、弟が向精神薬の副作用により、腸の収縮運動が止まってしまう「まひ性腸閉塞」になった。手術と約1カ月の入院でかかった医療費は、三島さんがパートをして支払った。「自分たちの生活も今後どうなるか不安なのに、家族が経済的に支えるのは厳しい。安心して見守れるようにしてほしい」と訴える。
毎日新聞 2013年03月03日 地方版
精神障害者保健福祉手帳を持つ人は、通院による精神疾患の治療のみ助成され、精神疾患以外の治療は自己負担となる。
栃本さんは、19歳から精神安定剤など複数の薬が手放せない。集中力が持続しにくく、のどが渇くなどの副作用に苦しむ。障害を隠して仕事に就いても、誰かに監視されているような妄想や幻覚に悩まされたり、人間関係がうまく築けずに職を転々とし、雇用保険で食いつないできた。
現在は1人暮らしをしながら、精神障害者10+件の作業所を運営するNPO法人「なゆたの会」(橿原市)の理事長を務める。月収は障害年金と合わせて約14万円。生活に余裕はない。「しんどくても金の心配があるので病院はなるべく行かない。今後、年を取っていくので不安です」と明かす。
県精神障害者家族会連合会奈良の副代表、三島利子さん(63)=御所市。59歳の弟は統合失調症で働けず、入退院を繰り返しながら三島さんの自宅近くで暮らしている。
昨年末、弟が向精神薬の副作用により、腸の収縮運動が止まってしまう「まひ性腸閉塞」になった。手術と約1カ月の入院でかかった医療費は、三島さんがパートをして支払った。「自分たちの生活も今後どうなるか不安なのに、家族が経済的に支えるのは厳しい。安心して見守れるようにしてほしい」と訴える。
毎日新聞 2013年03月03日 地方版