身体障害者を専門的に顧客とする派遣型風俗店があるという。日頃はなかなかうかがい知れないそんな空間を舞台に、グラビアアイドルとしての活躍に加え、近年は役者としても成長著しい小泉麻耶(24)がいわゆるデリヘル嬢を体当たりで演じた。「初めて目にする題材だったので興味津々でした。脚本をあっという間に読んでしまいました」
身体障害者が相手ならば、さほど怖い目に遭わないでお金を稼げるだろう-。気軽な気持ちで働き始めた沙織(小泉)だったが、店にやってくる客は一筋縄ではいかない個性派ばかり。バイク事故で体の自由を奪われた引きこもりがちの青年がいるかと思えば、全身に入れ墨を彫った進行性筋ジストロフィー患者もいる。果ては、障害をだしに、禁じられている「本番行為」を言葉巧みに求めてくる強者まで現れる-。
■生きるとは何か
本作はNHK番組を演出する戸田幸宏が初めて挑んだ長編映画だ。自分が今までいかに世の中を知らなかったのか、身をもって体験できたのだろう。接客を通じ、「生きるということ」は何なのかを考え始めた沙織は、少しずつ人間としての幅を広げていく。
そんな沙織の成長を表現する小泉自身も、ある意味では井の中の蛙だった。だから、デリヘルという未知の世界にリアリティーを持たせるため、「実際に風俗で働いていた子に体験談を聞き、しっかりと内面をリサーチしました。外見については新宿の歌舞伎町、渋谷の道玄坂に行き、歩いてるそれらしい女の子を見て、しぐさや雰囲気を学びました」と、自分なりに体験を重ね、暗中模索しながら撮影に臨んだことを話してくれた。
■普通の女の子
デリヘル嬢となった沙織については、自らの取材結果もふまえ、特別珍しい存在ではないとの考えにいたった。「普通の女の子であっても選んでしまう職業だと思います。主人公もごく普通の女の子だけど、きっと『楽にお金を稼げるから』という理由だけで選んでしまっていますからね」。また、小泉はネガティブな側面ばかりに着目することにも否定的で、「(デリヘル嬢をすることも)経験だと思います。人生で無駄なことはないです。人への接し方や考え方、その職業を選んだからこそ見えるものもあるので、否定も肯定もしないです」。
小泉は1日9時間の舞台稽古に明け暮れる日々。自分なりに選び取った今を精いっぱい生きていると胸を張った。3月23日から東京・渋谷ユーロスペースでレイトショー公開、ほか全国順次。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
◇
■こいずみ・まや 1988年7月2日、東京都生まれ。2009年、日テレジェニックに選ばれる。主な映画出演作は、09年の主演「エレクトロニックガール」、09年「特命女子アナ 並野容子」、10年「Re:Play-Girls」「TENBATHU」、12年「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」など。舞台、ラジオ、バラエティー番組でも活躍中。

「刹那的、思慮が足りない、目的があればそれでいい…。沙織についていろんな捉え方があってもいい」と語る、女優の小泉麻耶さん=東京都内
ウオーカープラス-2013.3.22 12:49
身体障害者が相手ならば、さほど怖い目に遭わないでお金を稼げるだろう-。気軽な気持ちで働き始めた沙織(小泉)だったが、店にやってくる客は一筋縄ではいかない個性派ばかり。バイク事故で体の自由を奪われた引きこもりがちの青年がいるかと思えば、全身に入れ墨を彫った進行性筋ジストロフィー患者もいる。果ては、障害をだしに、禁じられている「本番行為」を言葉巧みに求めてくる強者まで現れる-。
■生きるとは何か
本作はNHK番組を演出する戸田幸宏が初めて挑んだ長編映画だ。自分が今までいかに世の中を知らなかったのか、身をもって体験できたのだろう。接客を通じ、「生きるということ」は何なのかを考え始めた沙織は、少しずつ人間としての幅を広げていく。
そんな沙織の成長を表現する小泉自身も、ある意味では井の中の蛙だった。だから、デリヘルという未知の世界にリアリティーを持たせるため、「実際に風俗で働いていた子に体験談を聞き、しっかりと内面をリサーチしました。外見については新宿の歌舞伎町、渋谷の道玄坂に行き、歩いてるそれらしい女の子を見て、しぐさや雰囲気を学びました」と、自分なりに体験を重ね、暗中模索しながら撮影に臨んだことを話してくれた。
■普通の女の子
デリヘル嬢となった沙織については、自らの取材結果もふまえ、特別珍しい存在ではないとの考えにいたった。「普通の女の子であっても選んでしまう職業だと思います。主人公もごく普通の女の子だけど、きっと『楽にお金を稼げるから』という理由だけで選んでしまっていますからね」。また、小泉はネガティブな側面ばかりに着目することにも否定的で、「(デリヘル嬢をすることも)経験だと思います。人生で無駄なことはないです。人への接し方や考え方、その職業を選んだからこそ見えるものもあるので、否定も肯定もしないです」。
小泉は1日9時間の舞台稽古に明け暮れる日々。自分なりに選び取った今を精いっぱい生きていると胸を張った。3月23日から東京・渋谷ユーロスペースでレイトショー公開、ほか全国順次。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
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■こいずみ・まや 1988年7月2日、東京都生まれ。2009年、日テレジェニックに選ばれる。主な映画出演作は、09年の主演「エレクトロニックガール」、09年「特命女子アナ 並野容子」、10年「Re:Play-Girls」「TENBATHU」、12年「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」など。舞台、ラジオ、バラエティー番組でも活躍中。

「刹那的、思慮が足りない、目的があればそれでいい…。沙織についていろんな捉え方があってもいい」と語る、女優の小泉麻耶さん=東京都内
ウオーカープラス-2013.3.22 12:49