■地デジ放送の音声聞ける受信機
変圧器や電子部品の開発製造を手がける加美電子工業(大阪市平野区)は、地上デジタルテレビ放送の音声が聞ける受信機「ワンセグ・オーディオ・レシーバー NIC100」を発売した。2011年7月24日の地デジへの完全移行で、視覚障害者から「FMラジオを使ってテレビの音声を聞くことができない」との声が寄せられたのが開発のきっかけだ。
受信機は地デジのワンセグ放送の音声、ラジオのAM、FMの3バンド方式。本体には音声で操作を案内する機能を付けたほか、取扱説明書にCDを付属させるなど、視覚障害者が1人でも使えるように工夫した。
大きさは縦7.2センチ、横14センチ、奥行き3センチ、重さは270グラム。単3アルカリ乾電池4本で地デジなら連続10時間程度、ラジオなら連続40~50時間程度は使用可能だ。家庭用コンセントからも電源が取れる。
この受信機には、伸縮自在の棒状のロッドアンテナがない。視覚障害者向けの商品に突起物があるのは危険との判断からだ。そこでロッドアンテナの代わりに、本体の背面にアンテナを内蔵させた。
このほか、試作機を作るたびに視覚障害者に使ってもらい、操作性の検証を繰り返した。その結果「操作ボタンを大きくしたり、数を減らしたりしながら、必要な機能を備えた仕様になった」(山本貴男技術グループ課長)という。大きな電源ボタンを入れると「しばらくお待ちください」という案内音声が流れるが、これも「視覚障害者にとって、わずかでも無音になると不安になる」(山本課長)との配慮だ。
テレビ放送の電波は直進性が強いため、基本的には送信所から見通しの良い場所でしか受信できない。送信所の方向がよく見える窓側などに受信機を置くのがベストだ。とはいえ、受信状態が良好ではないケースも想定。付属品には受信機とテレビのアンテナ端子とをつなぐケーブルがあり、クリアな音を楽しめるようにした。
視覚障害者団体を通じて販売してきたが、「障害を持たない人からも購入したいという声が寄せられている」(山本課長)ことから、今年、各地の電機商業組合加盟の電気店で注文できるようにした。
同社は電気工事店向けに放送電波の強さを測る電界強度計を手がけ、技術を受信機の開発に生かした。寺脇弘二副会長は「部品メーカーとしての技術を生かし、人の役に立つ製品を開発していきたい」と話している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/c3/bc61f69b9297f505e3a82413b2734f85.jpg)
加美電子工業の地上デジタルテレビ放送の音声が聞ける受信機「ワンセグ・オーディオ・レシーバーNIC100」=大阪市平野区
SankeiBiz-2013.3.6 05:00
変圧器や電子部品の開発製造を手がける加美電子工業(大阪市平野区)は、地上デジタルテレビ放送の音声が聞ける受信機「ワンセグ・オーディオ・レシーバー NIC100」を発売した。2011年7月24日の地デジへの完全移行で、視覚障害者から「FMラジオを使ってテレビの音声を聞くことができない」との声が寄せられたのが開発のきっかけだ。
受信機は地デジのワンセグ放送の音声、ラジオのAM、FMの3バンド方式。本体には音声で操作を案内する機能を付けたほか、取扱説明書にCDを付属させるなど、視覚障害者が1人でも使えるように工夫した。
大きさは縦7.2センチ、横14センチ、奥行き3センチ、重さは270グラム。単3アルカリ乾電池4本で地デジなら連続10時間程度、ラジオなら連続40~50時間程度は使用可能だ。家庭用コンセントからも電源が取れる。
この受信機には、伸縮自在の棒状のロッドアンテナがない。視覚障害者向けの商品に突起物があるのは危険との判断からだ。そこでロッドアンテナの代わりに、本体の背面にアンテナを内蔵させた。
このほか、試作機を作るたびに視覚障害者に使ってもらい、操作性の検証を繰り返した。その結果「操作ボタンを大きくしたり、数を減らしたりしながら、必要な機能を備えた仕様になった」(山本貴男技術グループ課長)という。大きな電源ボタンを入れると「しばらくお待ちください」という案内音声が流れるが、これも「視覚障害者にとって、わずかでも無音になると不安になる」(山本課長)との配慮だ。
テレビ放送の電波は直進性が強いため、基本的には送信所から見通しの良い場所でしか受信できない。送信所の方向がよく見える窓側などに受信機を置くのがベストだ。とはいえ、受信状態が良好ではないケースも想定。付属品には受信機とテレビのアンテナ端子とをつなぐケーブルがあり、クリアな音を楽しめるようにした。
視覚障害者団体を通じて販売してきたが、「障害を持たない人からも購入したいという声が寄せられている」(山本課長)ことから、今年、各地の電機商業組合加盟の電気店で注文できるようにした。
同社は電気工事店向けに放送電波の強さを測る電界強度計を手がけ、技術を受信機の開発に生かした。寺脇弘二副会長は「部品メーカーとしての技術を生かし、人の役に立つ製品を開発していきたい」と話している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/c3/bc61f69b9297f505e3a82413b2734f85.jpg)
加美電子工業の地上デジタルテレビ放送の音声が聞ける受信機「ワンセグ・オーディオ・レシーバーNIC100」=大阪市平野区
SankeiBiz-2013.3.6 05:00