ランニングブームが広がり、視覚、聴覚、手足の機能、知的障害など、さまざまなハンディを抱える人たちがランニングを楽しむようになった。伴走を習う一般ランナーも増加。東京マラソンなど市民参加型大会の多くは障害者にも門戸が開かれている。
◆交流が楽しみ
生まれつき目が見えない細川早苗さん=東京都青梅市=は、弱視だが単独走が可能な夫の一さん(74)とランニングをするようになって約25年。「走り終わったときの達成感。仲間との交流が楽しみ」と話す。
普段は一さんが伴走を務めるが、大会では大勢のランナーの中を走るため、難しい。かつては、一さんに代わる伴走者探しが大変だったが、一般ランナーの絶対数が増え、そんな苦労はなくなったという。
細川さん夫婦が参加している「アキレスインターナショナルジャパン」は、東京・代々木公園を拠点とする障害者・伴走者のランニングクラブだ。会員は双方合わせて約180人。ここ数年で1・5倍に増えたという。
元新聞記者の大島幸夫さん(75)=大田区=が1995年に設立した。大島さんは80年代初め、ニューヨークシティマラソンに何度か参加。義足のランナーら多くの障害者が走っているのを目の当たりにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/d3/20cb73022c7c5b60e9bcea50a3d8fd8d.jpg)
夫の細川一さん(右)の伴走で走る早苗さん(飯田照明さん提供)
大島さんは「日本人の多くは障害者と接して、同情するか、腰が引けるかのどちらか。普通の付き合いをニューヨークで教えてもらった」と話す。障害者は、危険だからと走ることを止められてきたケースも少なくなく、最初は走る楽しみを知らない。まずは一緒に歩くところから始め、そしてゆっくり走る。
◆伴走は気持ちで
伴走者は、ロープを握り視覚障害者と二人三脚の要領で走る。一定の技術は必要だが、肝心なのは寄り添い、励ます気持ちだという。「理想の伴走者は空気のような存在。いるかいないか分からないけど、いないと窒息してしまう」と大島さん。
視覚障害者が上空の飛行機の音から天気を言い当てるなど、伴走をしていて驚かされることも多いという。大島さんは障害を持つランナーたちとの出会いを著書『協走する勇者(アキレス)たち』(三五館)にまとめた。
サリドマイド製剤被害者の荒井貴さん(50)=世田谷区=も大島さんが接したランナーの一人。両腕がなく頭部をかばえないため、走行中の転倒は絶対にあってはならない。慎重に走るが、大会の給水テーブルなどではランナーが殺到し、「危険を感じることもある」という。
マラソン大会には、初心者やお年寄りを含め、さまざまな人たちが参加する。周囲のランナーへの配慮も必要だ。
■伴走を学ぶには
障害者・伴走者の練習会はアキレスインターナショナルジャパンなどのクラブによって東京・代々木公園、大阪・長居公園などで毎週末開催されている。全国各地の組織、練習日程は、伴走どっとコム(http://www.banso.com/)の「各地の練習会」で知ることができる。
MSN産経ニュース-2013.3.21 08:19
◆交流が楽しみ
生まれつき目が見えない細川早苗さん=東京都青梅市=は、弱視だが単独走が可能な夫の一さん(74)とランニングをするようになって約25年。「走り終わったときの達成感。仲間との交流が楽しみ」と話す。
普段は一さんが伴走を務めるが、大会では大勢のランナーの中を走るため、難しい。かつては、一さんに代わる伴走者探しが大変だったが、一般ランナーの絶対数が増え、そんな苦労はなくなったという。
細川さん夫婦が参加している「アキレスインターナショナルジャパン」は、東京・代々木公園を拠点とする障害者・伴走者のランニングクラブだ。会員は双方合わせて約180人。ここ数年で1・5倍に増えたという。
元新聞記者の大島幸夫さん(75)=大田区=が1995年に設立した。大島さんは80年代初め、ニューヨークシティマラソンに何度か参加。義足のランナーら多くの障害者が走っているのを目の当たりにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/d3/20cb73022c7c5b60e9bcea50a3d8fd8d.jpg)
夫の細川一さん(右)の伴走で走る早苗さん(飯田照明さん提供)
大島さんは「日本人の多くは障害者と接して、同情するか、腰が引けるかのどちらか。普通の付き合いをニューヨークで教えてもらった」と話す。障害者は、危険だからと走ることを止められてきたケースも少なくなく、最初は走る楽しみを知らない。まずは一緒に歩くところから始め、そしてゆっくり走る。
◆伴走は気持ちで
伴走者は、ロープを握り視覚障害者と二人三脚の要領で走る。一定の技術は必要だが、肝心なのは寄り添い、励ます気持ちだという。「理想の伴走者は空気のような存在。いるかいないか分からないけど、いないと窒息してしまう」と大島さん。
視覚障害者が上空の飛行機の音から天気を言い当てるなど、伴走をしていて驚かされることも多いという。大島さんは障害を持つランナーたちとの出会いを著書『協走する勇者(アキレス)たち』(三五館)にまとめた。
サリドマイド製剤被害者の荒井貴さん(50)=世田谷区=も大島さんが接したランナーの一人。両腕がなく頭部をかばえないため、走行中の転倒は絶対にあってはならない。慎重に走るが、大会の給水テーブルなどではランナーが殺到し、「危険を感じることもある」という。
マラソン大会には、初心者やお年寄りを含め、さまざまな人たちが参加する。周囲のランナーへの配慮も必要だ。
■伴走を学ぶには
障害者・伴走者の練習会はアキレスインターナショナルジャパンなどのクラブによって東京・代々木公園、大阪・長居公園などで毎週末開催されている。全国各地の組織、練習日程は、伴走どっとコム(http://www.banso.com/)の「各地の練習会」で知ることができる。
MSN産経ニュース-2013.3.21 08:19