障害を持つ児童らが入所する県立福祉施設「養育園」(袖ケ浦市)で、あってはならない事件が起きた。入所する少年(19)が11月下旬に死亡したことをきっかけに、元職員の男性5人が少年を含む入所者10人を日常的に虐待していたことが、県などの調査で確認された。少年の死亡と虐待の因果関係は不明だが、呼吸困難で病院に搬送される前日に元職員の1人から虐待されており、県警が詳しい経緯を調べている。
この施設は民間で受け入れることが難しい障害者らが利用している。本人にとっても、その家族にとっても、施設は信頼の置ける「最後の受け皿」であるはずだった。しかし、実態は違った。現時点では元職員5人が平成23年5月から虐待を続けていたことが判明。他の男性職員3人も入所者を暴行していた疑いが浮上し、寮全体で虐待が行われた可能性も出てきた。
県の調査に、虐待を認めている元職員の1人は「安易な指導方法に頼ってしまった」と話しているという。だが「障害者への虐待」が「指導」であるはずがない。自らの指導力不足を認め、利用者を裏切った罪としっかり向き合うべきではないか。
また、この寮には当時、リーダー以下13人の職員がおり、虐待を目撃した別の職員もいたが、少年が死亡するまで誰も報告しなかった。直接かかわっていなくても、それを見過ごしていた責任は重い。なぜ虐待が起こらないように、職員同士で協力し合うことができなかったのか。現場を全く視察せず、虐待に気付かなかった施設幹部たちの管理能力も問われる。
障害者の日々の暮らしを支えることが、どれほど大変かは想像に難くない。職員の労働環境も過酷で、さまざまな改善が必要なことも事実だろう。だからといって、その鬱憤を社会的弱者にぶつけてよいはずがない。虐待した元職員らも、福祉の道に進むと決めた当初は「障害者の力になりたい」という高い志を持っていたはずだ。取り返しのつかない過ちを犯した5人には、事件の全容解明と再発防止のために真相を隠さず語ってほしい。
MSN産経ニュース- 2013.12.23 22:30
この施設は民間で受け入れることが難しい障害者らが利用している。本人にとっても、その家族にとっても、施設は信頼の置ける「最後の受け皿」であるはずだった。しかし、実態は違った。現時点では元職員5人が平成23年5月から虐待を続けていたことが判明。他の男性職員3人も入所者を暴行していた疑いが浮上し、寮全体で虐待が行われた可能性も出てきた。
県の調査に、虐待を認めている元職員の1人は「安易な指導方法に頼ってしまった」と話しているという。だが「障害者への虐待」が「指導」であるはずがない。自らの指導力不足を認め、利用者を裏切った罪としっかり向き合うべきではないか。
また、この寮には当時、リーダー以下13人の職員がおり、虐待を目撃した別の職員もいたが、少年が死亡するまで誰も報告しなかった。直接かかわっていなくても、それを見過ごしていた責任は重い。なぜ虐待が起こらないように、職員同士で協力し合うことができなかったのか。現場を全く視察せず、虐待に気付かなかった施設幹部たちの管理能力も問われる。
障害者の日々の暮らしを支えることが、どれほど大変かは想像に難くない。職員の労働環境も過酷で、さまざまな改善が必要なことも事実だろう。だからといって、その鬱憤を社会的弱者にぶつけてよいはずがない。虐待した元職員らも、福祉の道に進むと決めた当初は「障害者の力になりたい」という高い志を持っていたはずだ。取り返しのつかない過ちを犯した5人には、事件の全容解明と再発防止のために真相を隠さず語ってほしい。
MSN産経ニュース- 2013.12.23 22:30