第15回ヤマト福祉財団小倉昌男賞の贈呈式が12月4日に開かれ、宮嶋望・農事組合法人共働学舎新得農場代表と、佐伯康人・㈱パーソナルアシスタント青空代表取締役が表彰された。両氏には、ブロンズ像と賞金100万円が贈られた。
同賞は、障害者就労の現場で、労働条件の改善などに貢献した人を表彰するもの。開会あいさつで、有富慶二・同財団理事長は「2団体は高い給料を払えるビジネスモデルを成功させている」と強調。障害年金と合わせれば、OECDが指摘する日本の貧困ラインの一段階上を超えると評価した。
北海道にある共働学舎では、知的障害者や精神障害者など約70人が町から無償で借りた土地で、畜産や有機野菜の栽培をしている。農産物の加工も行っており、特にチーズは世界的に認められているという。実質的な賃金は月7万円。宮嶋代表は「一人の人間としての隠された可能性を引き出していきたい」と述べた。
一方、愛媛県の青空社は、農薬や除草剤を使わずに、米や野菜など100種類を栽培。味のレベルも高いことから、中には市場平均の3倍の価格で取引されるものもあり、賃金は月5万円を超えるという。佐伯代表取締役は「一つの仕事を細かく分けることでそれぞれが一芸に秀でた職人になれる」と話した。
同財団は1993年、心身に障害がある人の自立と社会参加を目的に設立。ヤマト運輸㈱社長などを歴任した故小倉氏が会社の役職を退いた際、個人資産を寄付して創った。
2015年01月05日 福祉新聞WEB