佐賀県は20日、知的障害者らが入所する県立障害者支援施設「佐賀コロニー」(河原祐一郎所長)で、20代男性職員が、知的障害の40代男性入所者を膝で蹴る虐待が起きたと発表した。男性は右あばら骨にひびが入る全治6週間のけがを負った。県はこの職員による同様の事例が他にもなかったか調査し、処分する。
県によると、職員は9日午前8時40分ごろ、男性がラジオ体操に参加しなかったことに腹を立て、男性の部屋で後ろから右膝で背中を蹴った。同日午後1時半ごろ、男性が痛みを訴えたが、別の職員が外傷がないため一時的な腹痛と判断。4時間後に再び痛みを訴え、看護士に蹴った職員名を上げ、「蹴られた」「痛い」と伝えたという。
施設の調査で、本人は当初、暴力を否定した。その後、別の職員から「本人が蹴ったと言っていた」との証言を得た。19日に上司が事実関係の説明を書面で求めたところ、「感情的になり、蹴ったことを深く反省しています」と認めた。
施設側は男性の家族に謝罪した。家族は被害届は出さない意向という。職員は現在、清掃などの管理業務にあたっている。県庁で会見を開いた河原所長は「全職員に再教育を実施し、利用者との対話を進めていく」と陳謝した。施設は113人が入所しており、近く利用者の家族向けに説明会を開く。
2015年01月21日 佐賀新聞